ファイトケミカルズ:日刊ゲンダイ引用
【丸元淑生 短命の食事・長命の食事】

「果物と野菜をたっぷり食べる食事がガンを予防する」
それが世界中で行われてきた多数のガン予防の研究が導き出してきた結論である。
研究が進んで知見が蓄積されればされるほど答えは単純になっていったのだが、この「野菜」は広義の野菜なので、ナッツ、豆、種も加えて考えていただきたい。
ガンを予防する物質を探す研究が本格的に行われるようになったのは、米国立ガン研究所が予算をつけてその後押しを始めた1980年以降だが、1990年にはすでに栄養学の歴史を塗り変えるような画期的な知見が集まっていた。
そして、ファイトケミカルズ(訳すと植物化学物質)という英語の新語も生まれていたが、それはガンを予防する物質が動物からは見つからずに植物性の食品からだけ見つかっていったからである。しかも、その数があまりにも多数だったために、新語を作って総称するようになったのだ。
それが栄養学を変えたのは、ファイトケミカルズがアマゾンの雨林やチベットの奥地からではなく、最もありふれた植物性の食品、つまり日常的な果物と野菜の中から最も多く見つかったからである。
われわれはそれを昔から食べてきているのだから、食事とは元来、ファイトケミカルズを摂る行為だったのだということがわかった。
食事は必須栄養素を摂る行為であると同時に病気を遠ざける働きを持ったファイトケミカルズを摂る行為でもあったのだ。
そして、ファイトケミカルズに共通しているのは抗酸化作用なので、それを多く含んだ食事によってガンが予防された場合には、ガン以外の病気も多く予防されるし、老化の速度もスローダウンすることがわかった。
ファイトケミカルズが薬品と異なるのは、ガンが出来てしまった後で、それをやっつけるのではなく、体自体の防衛力を高めて、病気にならないようにする点である。少量で猛烈な効果を生み出す薬品ではなく、栄養素として毎日かなりの量を摂っていると力が発揮されてくる物質なのである。
そのために果物と野菜を「たっぷり食べる」必要があるのだが、果物と野菜はスナック菓子のように止まらないほど食べることはできない。
誰でも適量に達するとそれ以上は食べられないものである。「たっぷり」とは、その量と思っておいていただきたい。
●まるもと・よしお 1934年、大分県生まれ。東京大学文学部仏文科卒。作家、栄養学ジャーナリスト、料理研究家。
2006年1月6日 掲載
ガン予防物質は植物性の食品からだけ見つかった「果物と野菜をたっぷり食べる食事がガンを予防する」
それが世界中で行われてきた多数のガン予防の研究が導き出してきた結論である。
研究が進んで知見が蓄積されればされるほど答えは単純になっていったのだが、この「野菜」は広義の野菜なので、ナッツ、豆、種も加えて考えていただきたい。
ガンを予防する物質を探す研究が本格的に行われるようになったのは、米国立ガン研究所が予算をつけてその後押しを始めた1980年以降だが、1990年にはすでに栄養学の歴史を塗り変えるような画期的な知見が集まっていた。
そして、ファイトケミカルズ(訳すと植物化学物質)という英語の新語も生まれていたが、それはガンを予防する物質が動物からは見つからずに植物性の食品からだけ見つかっていったからである。しかも、その数があまりにも多数だったために、新語を作って総称するようになったのだ。
それが栄養学を変えたのは、ファイトケミカルズがアマゾンの雨林やチベットの奥地からではなく、最もありふれた植物性の食品、つまり日常的な果物と野菜の中から最も多く見つかったからである。
われわれはそれを昔から食べてきているのだから、食事とは元来、ファイトケミカルズを摂る行為だったのだということがわかった。
食事は必須栄養素を摂る行為であると同時に病気を遠ざける働きを持ったファイトケミカルズを摂る行為でもあったのだ。
そして、ファイトケミカルズに共通しているのは抗酸化作用なので、それを多く含んだ食事によってガンが予防された場合には、ガン以外の病気も多く予防されるし、老化の速度もスローダウンすることがわかった。
ファイトケミカルズが薬品と異なるのは、ガンが出来てしまった後で、それをやっつけるのではなく、体自体の防衛力を高めて、病気にならないようにする点である。少量で猛烈な効果を生み出す薬品ではなく、栄養素として毎日かなりの量を摂っていると力が発揮されてくる物質なのである。
そのために果物と野菜を「たっぷり食べる」必要があるのだが、果物と野菜はスナック菓子のように止まらないほど食べることはできない。
誰でも適量に達するとそれ以上は食べられないものである。「たっぷり」とは、その量と思っておいていただきたい。
●まるもと・よしお 1934年、大分県生まれ。東京大学文学部仏文科卒。作家、栄養学ジャーナリスト、料理研究家。