あんこう料理は眼に効く:日刊ゲンダイから引用
| 【丸元淑生 短命の食事・長命の食事】 2006年2月10日 掲載
アンコウのゼラチンは関節、眼に効くムコ多糖類の塊 深海魚のアンコウは冬には産卵のために浅いところに移動してくる。 それを捕獲するのだが、まだ卵を持っていない2月が最も美味である。今が旬の魚なのだ。 この魚は骨格が軟骨でできていて肋骨がなく、ぐにゃぐにゃしているうえに、ぬるぬるで俎板の上ではとても切れない魚である。それで吊るして切る。 だが栄養的には、ぐにゃぐにゃ、ぬるぬるが重要で、それは組織の多くをムコ多糖類が占めていることを意味している。 われわれの体も軟骨や関節の滑液、眼の組織などにはムコ多糖類が多く含まれているが、40代も半ばになると、それが減ってくる。そして柔軟性と若さが失われてくる。だから食事で補わなくてはならないのだが、アンコウはムコ多糖類の塊といってよいだろう。 ムコ多糖類は保水性が高く、それの塊のアンコウは当然水分が多いということになるが、実際アンコウの身肉は80%が水分である。非常に水分の多い特異な魚なのだ。 アンコウは肝臓が珍重されるので、市場では肝臓は高いけれども、肝臓以外の部分は安く売られている。 皮、エラ、卵巣、胃、ヒレ、身肉。どこも捨てるところがなく全部食べられる。そして、中高年が食べるべきはそれらの部分なのだ。 煮ると皮やヒレの組織はゼラチン状になっておいしい。スノと呼ばれる未熟の卵巣は長いので別名フンドシだが、これは体が希求しているのがわかる感じの味である。 今の時期はスーパーでも鍋用にパックして売っているので、簡単に鍋にできる。 調理する上でのアンコウの特異な点は、煮出してもダシが出ないことである。だから、昆布とかつお節でだしをとって、そのだし汁で煮る必要がある。 調味は醤油でも味噌でもよいが、醤油の場合は塩も加えて味を調え、醤油の量は控えめにする。 〈アンコウ鍋〉 材料 アンコウ1~2パック、昆布30グラム、かつお節(削って)100グラム、春菊、白菜、ごぼう、生椎茸、豆腐、白たき。 〈作り方〉 (1)2リットルの水を鍋にとり昆布を入れて強火で加熱。 (2)沸騰したら昆布を取り出して中火にし、かつお節を入れて5分間加熱。 (3)漉(こ)して土鍋に入れる。 (4)アンコウを沸騰した湯にくぐらせてから土鍋に入れて火にかける。 (5)醤油または味噌で汁の味を調え、材料を入れながら食べる。 |