超自虐的人生告白ノンフィクション作者コメント:日刊ゲンダイ引用
- 叶 てつこ
- くるくるキレキレ人生
【NEW WAVE】
2005年7月16日 掲載
超自虐的人生告白ノンフィクションで人気 叶てつこ氏に聞く「こんなダメ女でも暮らしていけるんだと笑い飛ばしてほしい」
《作品概要》まずは医学書の解説文と共に、ゴミまみれの部屋でアルコール、リタリン(心療内科臨床で唯一使われる覚醒剤)だけを頼りに生きた境界性人格障害の日々を回想する。
病は11歳時の極端なオナラ恐怖症に始まり、親戚のお兄ちゃんのレイプ未遂、家族の無理解、愛した男性の逃亡などを経て本格的に進行。アルコール、リタリンにおぼれ、手首カットに顔面カット、小指切断、そして入院に脱走、再入院まで。爆走機関車さながらの自暴・自虐人生をハイテンションな笑いでつづる。
――それにしてもすさまじい闘病告白記。というか、もうとことん自虐記。自暴自棄・破滅型を通り越して狂気の笑いを感じさせる。今は病状はどうですか?
「境界性人格障害はまだチョボチョボあるんですが、この本も無事に出せたし、かなり精神的には良い状態です(笑い)。年が年なので、今、私を支えてくれている男性の子どもを産みたいこともあって(彼のご家族には結婚を反対されてしまったんですが)、2週に1度の通院と、薬も軽い抗鬱剤と安定剤、睡眠導入剤で済ませてます」
――精神病院ではたばこは支給制。皆、最後まで吸う癖がつく、といったくだりがまたリアル。自爆人生をとことん笑いのめす迫力もものすごいが、一番書きたかったことは?
「こんなダメ女でも生きて、何とか暮らしていけてるんだよ、ということですね。サクサクッと読める本ですから寝っ転がって笑い飛ばしていただければ。ただ1度病院を脱走して、2度目の入院のときは、本当につらくて物を書くどころじゃなかった。そこを除けば、自分でも無理なく笑っちゃえる人生なんですよね」
――告白しづらかったことは? また体験的な鬱攻略法は?
「書きにくかったのは私の放火のこととか(笑い)、レイプ未遂事件。一番はお医者さんから私の心の病の大本である親御さんを責めなさい、と言われ、母親を責めてしまったことですね。母は責められる原因を覚えてすらいなくて……。攻略法は、何といっても普段から笑えるビデオを見たり、本を読むこと。笑う日々が鬱を防ぐ。その意味でも私は皆さんが笑える本を書きたかった」
血液型AB型の獅子座。現在の彼氏がオタクなので、趣味はオタク好みのアニメ・ホラーなどのビデオ観賞。また体調のいい時は国内外のリゾートダイビング(歴10年)も楽しむ。
今後は「やっぱり病気がらみの書き手とみられるでしょうけど(笑い)、とにかくノンフィクションでもフィクションでも、元気の出る本を書き続けることが目標」と語る。
●かのう・てつこ 1968年、千葉県生まれ。県立船橋高校定時制中退。ビデオ店店員、ビル清掃員を経て20代はホステス業を続け、格闘技雑誌やダイビング雑誌でリポーター兼ライターとして活動する。だが、その間も精神の病に苦しみ、入院時に書き出した本書が初の単行本となる。