西鶴一代女 | なんでも日記

西鶴一代女

溝口健二監督作品の、西鶴一代女を見た。

日本映画チャンネルの解説を引用する。

以下引用

井原西鶴の「好色一代女」をも・とに、封建制度下で御殿女中から夜鷹にまで流転する女・お春の過酷な生を綴る。徹底したリアリズムの演技、クレーンを駆使した1ショット長回しなどがもたらす映像の厳しさ、美しさは他に類例を見ない。お春が巡礼帰りの百姓たちにさらしものになるシーンは白眉。田中絹代が一世一代といえる名演技を見せる。ヴェネチア国際映画祭で国際賞を受賞して、溝口の名は世界に知られるようになった。

引用終わり

江戸時代の身分制のもとで、このような悲惨な物語があるのだろう。現代では考えられない。

まず、身分違いの恋にこたえた御殿女中のお春が親ともども洛外追放で、男のほうが斬首されてしまう。

次には、三万石の大名のお世継ぎを生むが、殿が夢中になって体に悪いということで、家に帰されてしまう。そして、その間に親が作ってしまった借金のため、島原(京都の廓)に売られ、太夫となるが、金をばら撒くお客を拒否して、首。

商家の手伝いに入るが、廓の過去をばらされて主人の女房にやきもちを焼かれ、髪の毛を切られてしまう。その仕返しに、病気ではげになった秘密をばらす。その方法が面白い。猫に、髷をくわえさせ、はげが露出して、あわてふためく商家の女房。

そして、次は、商家からのれんわけをしてもらった男に請われて女房に納まる。しかし、その男は、盗人に殺されてしまう。そして、次は尼寺に、その次は、道端の三味線ひきに、そして、ついには遊女に堕ちる。

百姓たちにさらしものにされ、かわいい息子がかごに乗って通りかかっても、名乗ることもできない。

最後に、息子が大名になるとき、おはらさまとして、迎えられたが、このようなみだらな生活をしていたものは、恥じであるとして、遠くから息子を見るだけで、追い出され、出家させられ、托鉢に歩く。


美貌の傾城と詠われようと、このような末路では、悲惨のきわみである。

美人薄命というのも、もっともだ。