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住友信託高値買収の深謀

ファーストクレジットを1300億円!で

「あのシタタカで、渋チンの住信がこんな高値で買収するとは……絶対に何か裏があるよ」
 10月14日に発表された住友信託銀行による不動産担保ローン大手「ファーストクレジット」買収をめぐって憶測がくすぶっている。1300億円という買収金額が高すぎるからだ。
 不良債権問題が峠を越し、メガバンクは過酷な収益競争にさらされている。不良債権処理ではライバル行の一歩先を行った住信だったが、投資家の評価対象は収益性に移行。そこで、大型買収に打って出たというわけだが……。
「ファーストクレジットは、2001年12月末、メーンバンクの新生銀行に会社更生法を申請されるという異例の事態で話題になりました。当時は、新生銀行の株主であるリップルウッドが会社更生法申請後に、買い叩くという噂もあったほどです。実際には、ローンスターが約170億円で買収。それを1300億円で売ったのだから、実に1000億円強という強烈なハイリターンです」(外資系証券幹部)
 住信側には早く今後の収益力向上につながる投資をしなければならないという事情があった。
 昨年4月、一度決まった「UFJ信託銀行」買収がその後、白紙撤回され、買収資金として用意された3000億円が宙に浮いた格好となっていたからだ。
 売り手のローンスターも、ただ高値で売り抜ければいいというわけでもなかったようだ。
「実は、住信よりも高値を提示する買収希望者が他にもあった。が、買収先が銀行というほうが、投資家の受けがよく、今後、資金集めする場合にも効果がある」(関係者)という。
 住信は今回の買収をきっかけに、ローンスターとのビジネスを検討しているのではないかといった観測も一部に流れている。
 メガバンクにとって、収益力に定評のあるノンバンク囲い込みは大きな関心事。外資にボロ儲けさせたことは間違いないが、それで終わらないのが住信のたくましい商魂。「何かまだ、裏がありそうだ」とライバル行は警戒する。【上村覚】