新生銀行関連ニュース
住友信託、ファーストクレジットを買収
不動産融資強化“勝ち組”目指す
住友信託銀行が不動産担保ローン大手のファーストクレジット(東京都千代田区)を買収することが14日、分かった。ファースト社は中小・零細企業相手の不動産担保ローンに強く、住信は手薄だったリテールの不動産関連融資を拡大するのが狙い。三菱UFJ信託銀行の誕生で一層激化する信託業界での“勝ち組”を目指す。
当時、ファースト社は再建計画を立て、準主力銀行などから「承諾を得た」(関係者)と主張していたが、主力銀行の新生銀が再建計画を拒否したため、破綻に追い込まれた。
不動産融資強化“勝ち組”目指す
![]() 住友信託銀行・森田豊社長 |
住友信託はきょう14日にも、ファースト社の全株式を米投資ファンドのローンスターから約1300億円で買い取る契約を結ぶ。メガバンクが中小企業向け融資に力を入れるなか、住信はファースト社を買収することで小口の不動産関連融資を一気に広げ、収益力を向上させる。
ファースト社は昭和56年に創業した旧日本長期信用銀行(現・新生銀行)系のノンバンク。旧長銀が平成10年に経営破(は)綻(たん)。経営を引き継いだ新生銀行が13年、「ファースト社は実質的に債務超過」として東京地裁にファースト社の会社更生法適用を申請した。
![]() ファーストクレジットを買収する住友信託銀行(顔写真は同行の森田豊社長) |
「この件に関しては、ファースト社の主力行の新生銀が、取引先であるファースト社の法的処理を申し立てたケースとして、金融界に大きな波紋を広げた」(金融アナリスト)。
背景には、新生銀が、旧長銀から引き継いだ貸出債権が2割以上目減りした場合、同行が政府に買い戻しを要求できるという瑕疵(かし)担保特約(行使期限15年3月まで)を持っていたためで、新生銀が再建計画に応じると、この特約が認められなくなる可能性が高かったことがある。
「外資系として生まれ変わった新生銀の利益優先主義が、ファースト社の破綻の引き金を引き、金融界の非難の対象となった」(同)という。
ファースト社は14年にローンスターが1000億円超で買収し、15年に更生手続きを終了した。16年3月期に黒字に転換し、前期の最終利益は59億円だった。
ファンドがこぞって不動産を買い漁り、首都圏の地価に回復傾向がみえ始めるなか、独立独歩を貫く信託の雄、住信がついに動き始めた。
ZAKZAK 2005/10/14

