日本長期信用銀行譲渡時の記事 | なんでも日記

日本長期信用銀行譲渡時の記事

以下引用


投稿日 9月29日(水)09時56分 投稿者 F・P・アダム・ワイスハウプト 削除


日本長期信用銀行の譲渡先は二十八日、米投資会社リップルウッド・ホールディ
ングスを中心とする投資集団「ニュー・LTCB・パートナーズ」に決まった。
これまでに例のない巨額の事業譲渡となったが、なじみの薄い米投資会社が日本
の大手銀行を押しのけて、わずか十億円の買収価格で仕留めた。にもかかわらず、
約四兆五千億円もの公的資金の“お土産”付き。政治や金融再生委員会の思惑、
米国の圧力などが複雑に絡み合うなかで決着した「長銀譲渡劇」を検証した。

《国民負担を極小化 外圧も働く?》

【決まった理由】
リップルウッドに軍配が上がったのは、「国民負担を極小化するという観点でい
えば、他候補とはかなりの差があった」(柳沢伯夫金融再生委員長)ことがひとつ。
また、外資系との提携を打ち出して収益性の向上を掲げ、ボルカー前米連邦準備
制度理事会(FRB)議長や今井敬経団連会長ら有力財界人を経営陣に据える事業
計画も決め手となった。さらに、今月に柳沢氏が訪米した際、サマーズ米財務長
官が、長銀問題に異例の言及をした。この“外圧”が効き、「外資系を排除する
のは閉鎖的だ」との批判をあおり、有力候補だった中央信託・三井信託銀行連合
への流れを押し戻した面も否定できない。
大蔵省や政治家には、巨額の公的資金を投入する長銀を外資系に売却することに
反発もあったほか、中央信託・三井信託銀行連合に売却することで金融再編の起
爆剤とすべきとの議論もあった。このため、いまだに「リップルウッドは本意で
はない」(大蔵省幹部)との批判もくすぶっている。

《のれん代…営業権の価値》

【なぜ10億円】
一時国有化されている長銀の株式は現在、国の代理として預金保険機構がすべて
保有している。この保有株は普通株二十四億株のほか、優先株一億株だが、今回
の決定では普通株二十四億株を十億円でリップルウッドなどが出資して設立する
ニュー・LTCB・パートナーズが買い取ることになった。長銀は負債が資産を
三兆六千億円も上回る債務超過の状態にあり、そもそもその価値はマイナスで株
価は当然ゼロとなる。
したがって、十億円は営業権の価値で、いわゆるのれん代と考えていい。資産十
一兆円という巨大銀行が十億円で買収できたという“錯覚”を覚えるかもしれな
いが、銀行を経営するためには資本金が必要で、自己資本比率は最低でも四%以
上を確保することが求められている。このため、リップルウッドが中心となり、
GEキャピタル、シティグループなど欧米金融機関が新生長銀の株式三億株を引
き受ける形で千二百億円を拠出。また、国も優先株の形で二千四百億円の資本注
入する。

《債務超過の穴埋め 取引先の倒産防止》

【なぜ公的資金】
長銀譲渡に伴って、いわゆる税金による公的資金が総額で四兆五千億円におよぶ
規模でつぎ込まれる。米投資会社が再生するというが、その元手が国民負担とな
るのはなぜだろうか。
ひとつは債務超過の穴埋めだ。長銀のような破たん処理では法律に基づき、債務
超過分は公的資金で穴埋めして譲渡することに決まっているからだ。長銀の債務
超過額は昨年十月に経営破たんしたときは二兆六千五百三十五億円だった。しか
し、地価下落などで長銀の担保価値の劣化が進み、三兆六千億円程度にまで債務
超過額は膨らんでいるとみられている。
さらに、これから長銀の取引先などが倒産したりして資産劣化する可能性もある。
その将来の損失拡大に備え四千億円規模の貸し倒れ引当金を積み増すことが必要
で、これも公的資金で補うことになっている。また長銀が自己資本の増強のため
に発行する優先株を国が引き受ける。その購入額は二千四百億円。これで合計四
兆五千億円の公的資金が必要となる勘定だ。

《金融当局意向 政治問題化避ける》

【なぜ時間が…】
昨年十月下旬に長銀が一時国有化された際、目標とした「半年以内の譲渡」が大
幅にずれ込んだのは、「長銀処理を政治問題化させない」との金融当局の意向が
強く働いたからだ。
「譲渡先を早期に決定するように」と、六月下旬、首相官邸から金融再生マ員会に
小渕恵三首相の指示が伝えられた。関係筋によると、同月中旬に開かれたケルン
サミットで「米国側から無言の圧力が掛かった」(政府筋)ためという。
しかし、その時点では、「交渉が緒についたばかり」(関係筋)。また、長銀処理
で多額の公的資金投入が明らかになれば、公的資金の枠組みを変更する必要が出
てくる。七月以降の終盤国会は重要な政治日程がめじろ押し。金融当局は「紛糾
必至の譲渡先決定は、国会が終わってから」との判断に急速に傾斜していった。
この構図は九月に入っても変わらず、最終的に、金融再生委員会の初代委員長で
ある柳沢伯夫氏の退任が予想される中、ぎりぎりのタイミングだった。

《日米欧連合戦略へ 結束力の維持課題》

【経営の行方】
リップルウッドは長銀の経営を軌道に乗せたうえで東証に再上場を果たし、株式
譲渡益を手にするのが最終的な狙いだ。
この目標を達成するために、リップルウッドが設立する長銀の買い手企業には、
ドイツ銀行や米GEキャピタル、米メロン銀行など欧米金融機関に出資を求めた。
この布陣で十-十五年以上の長期にわたり、長銀の経営を支えるとみられる。業
務面では米証券会社ペインウェーバーグループとGEキャピタルが資産担保貸し
付けやリース事業など幅広い分野で提携を希望しており、この日米欧の連合で収
益を上げる戦略だ。
また、経営陣に今井敬経団連会長(新日鉄会長)や樋口広太郎アサヒビール名誉会
長ら有力財界人に就任を要請。ボルカー前米連邦準備制度理事会(FRB)議長が
戦略的助言を行うなど顔ぶれは豪華だが、それが経営再建に結びつくかは即断で
きない。長銀が抱える人材の流出も目立ち始めており、組織としての結束力をど
う維持するかが問われそうだ。

《貸し倒れ引当金 要求額4000億円弱》

【2次損失】
地価下落や倒産で、長銀の貸出債権が劣化して生まれる二次的な損失負担の扱い
は迷走した。リップルウッドは商品を購入した後で破損が判明した場合、売った
側に賠償を求められる「瑕疵(かし)担保責任」の原則を活用した案を再生委に提
出。中央信託-三井信託連合は要注意債権(二分類)を含めた正常債権について整
理回収銀行(RCC)から資金を借り受けた後、両信託から正常な取引先への融資
を維持する「信託方式」と「瑕疵担保責任」の両案を併記して交渉に臨んだ。
最終的に今年四月以降の資産劣化に備えた貸し倒れ引当金の要求額について、中
央-三井が一兆円超であるのに対して、リップルウッドが四千億円以下だったこ
とが明暗を分けた。譲渡後三年間に簿価より二割以上資産価値が減少する二次損
失が発生した場合は、新生長銀はこの資産を国に返還、国は当初の簿価に相当す
る金額を新生長銀に払い戻す。つまり、譲渡後三年間の二次損失は国民負担で穴
埋めされることになる。

《貸出先の選別不可避 不振企業破たんも》

【融資先企業】
長銀の取引先はどうなるのか。新生長銀は金融再生委員会から「長銀が引き続き
保有することが適当」とされた資産をすべて引き継ぐとともに、融資を継続する。
譲渡後三年間は融資先企業の貸出債権の売却や急激な回収は行わず、借り換えな
どを含めて融資先の資金需要に応じる方針だ。
ただ、問題は地価下落などに伴う二次的な損失の発生だ。金融再生委員会が不良
債権でないと判断して長銀に残した「適資産」の中にダイエーやそごう、熊谷組
といった経営不振企業が含まれており、今後の景気動向次第で新たな損失になる
可能性がある。
債権放棄に応じることも可能だが、その場合は融資は打ち切られ、融資先は大き
なダメージを受けることになる。経営不振企業に、もう一段のリストラの断行な
どが求められそうだ。新生長銀は収益力向上実現を最大の目標にしているだけに、
融資先など貸出先の選別は避けられず、大企業の経営破たんが現実化する恐れは
残ったままだ。

★「譲渡後三年間の二次損失は国民負担で穴埋めされることになる」
              ↓
 「今後3年間は地価・株価の動向によっては更にユダヤに貢物を捧げる必要がある」

引用終わり