2024年9月27日(金)の夜は、東京オペラシティコンサートホールへ。
バッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)の演奏する「ミサ曲ロ短調」を聴いてきました。
大好きな推し(加耒徹さん)がバスのソリストってこともあるけど、何よりこの曲が私にとって思い出深く特別なのです。
もう大昔ですが、ミサ曲ロ短調は大学時代に定期演奏会の楽曲としてこの大曲に取り組み、なんと合唱指揮の先生などの意向で暗譜もしました。
そりゃもう譜読みは大変だし、暗譜も頑張ったけどフーガの入りをパート皆で落ちると大変なことになるし、とにかく必死だった記憶しかない…曲を味わう余裕なんて全く無かったなぁ。100人規模の大合唱だってブレスどこで取るか決めるの大変だったのに…
BCJの演奏では各パート3人または4人。
ソプラノだけIとIIに3人ずつで、アルト、テノール、バスは4人(ドッペルコーアの時は2人ずつ分かれる!!)。
ひぃぃぃ〜凄すぎる。
私はアルトIだったので、ついついアルトパートばかり見ちゃうし、昔暗譜した音符はそりゃ全部は無理だけどけっこう脳内から出てくるのが面白い。あーこんな大変なの暗譜取り組めたのはやっぱり若かったんだなとしみじみしちゃうけど。
そんなわけで私のミサ曲ロ短調との出会いは音楽の中身も祈りもへったくれも(汗)ない、とにかく必死によじ登った壁のようなものでした。
大学卒業前頃からバロック音楽など古楽とBCJを好きになって、その後何度も色々な演奏会でミサ曲ロ短調を聴いてきました。
聖路加国際病院の礼拝堂での毎月のオルガンコンサートに通うようになってから、ようやく宗教音楽の祈りの部分が腑に落ちるようになってきたり
様々な音楽を聴いてきて、改めて向き合うと、本当に小さなパズルのピースが細かく噛み合って大きな構造物になっている凄さ、空恐ろしさを感じるほどの複雑な仕組みが前よりは理解できるようになってる自分がいたり
聴くたびに新しい発見があって飽きることがありません。
加耒徹さんを応援するようになって10年近く経ちますが、ソリストを担当する演奏を聴くたびに加耒さんの歌声の進化、深化を感じられるのもこの曲を外せないひとつ。今回も輝かしい声と立ち姿に、より一層の進化が見られて胸が躍りました。
もうひとつ語りたいこと。
ミサ曲ロ短調 は大合唱の重々しい演奏だと、「見えないものへの畏怖」みたいな感情が生まれがちだけど、今宵のBCJみたいな究極の少人数合唱の響きを聴くと、「我々とともに歩んでくださる神さま」が見えてくるのを感じます。
私にとってBCJは神さまを近くに感じられるきっかけのひとつでもあったりするのです。
翌日28日(土)は、彩の国さいたま芸術劇場にてBCJの別プログラム「祝祭のオールバッハプログラム」を聴いてきました。
ミサ曲ロ短調の中のアリアや、グローリアを転用したカンタータなどゆかりの曲もあり、またバッハの残した器楽や声楽の様々なジャンル、言うなればバッハの人生そのものを総括するようなプログラムでした。
前の週に鈴木雅明さんのレクチャーもあって、この本番もとても楽しみだったのでした。
メンバーは前日と同じで、美しい合唱とアリアに加えて管弦楽組曲や二つのヴァイオリンのための協奏曲など器楽のプログラムも堪能!
なんとも幸せな二日間でした。
彩の国さいたま芸術劇場からの帰り道は、なんだか教会からの帰りみたいな素敵な夜景でした。
折に触れて聴くミサ曲ロ短調は、その時その時で受け止め方が毎度違う気がします。初めのキリエで涙が止まらなくなることもあるし、オペラのように音楽をじっくり味わいながら聴く時もあるし。切迫した祈りの気持ちで音が頭に入ってこない時もあったっけな。
でも、いずれにしてもこれからも大好きな曲であることに変わりはないでしょう。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。