今年は、自分のすみだジャズ本番と重なってしまい、夏の音楽祭は聴きに行けなかったので、今日の演奏会とても楽しみにしていました。
いつもながら、すみだトリフォニーホール大ホールを満席近くまで埋める集客力は凄い!
シューベルト・コーアは40代〜80代まで53名の女声合唱団で、大学時代の友人である吉元貴弘さんが指導、編曲、指揮をしています。今回の演奏会は14曲を全て暗譜で臨むという偉業!団員さんの頑張りに感動しました。
第1部はシューベルトのセレナーデ、ショパンの別れの曲、イヴァノビッチのドナウ川のさざなみ。
本来器楽曲である作品も、オリジナルな美しい日本語詞で歌われるのがこの団の特徴のひとつ。歌詞にも注目して聴く楽しみがあります。それには歌詞がきちんと伝わる歌唱技術が不可欠で、発声と日本語の語感、どちらも譲らずに演奏されているのが凄いところ。
セレナーデのハッとするような強弱の抑揚。
別れの曲では歌詞の魅力とピアノ曲としての聴きごたえの両立。藤村さんブラーヴァ!!
ドナウ川ではアクセントスタカートがたくさん出てきてさぞかし腹筋がプルプルきたことでしょう(汗)おかげで一音一音際立つ表現と、遠くまで飛んでくる言葉のチカラを堪能出来ました。
第2部はクロスオーバーと映画音楽など。
タイムトゥセイグッバイ、シェルブールの雨傘、ニューシネマパラダイスメドレー。
大好きな曲ばかりでワクワク聴きました。
ソプラノのオブリガートがとにかく高音で続いていて、美しい発声をキープする凄まじさに圧倒されてしまいました。
それから同じメロディが出てきても同じアレンジにはせず単なる繰り返しになってないのも、どの曲についても言えることですね。さすが!!
ニューシネマパラダイスでは、キーボードのキラーンとした音が絶妙なタイミングで味付けしているのが印象的。合唱も伴奏も後半に向かってグッと盛り上げていく様子に引き込まれます。そして波が引いていくようなラストの集中力。
第3部はサンシティアンサンブルの友情出演。
同じく吉元さんの指導するシニア世代アンサンブルで、ヴァイオリンやチェロ、フルートやクラリネットなどの他にキーボード、ピアノ、マンドリンといった普通のオケでは珍しい編成。
ロドリーゴのアランフェス協奏曲第2楽章、真田丸テーマ、新世界より第4楽章、そして合唱団も入ってのフィンランディアと盛りだくさん。
とにかくキーボードの音色割り振りがうまいアレンジなので、オーケストラの演奏会を聴いている満足感が充分に味わえるのです。
今回強く感じたのが、弦楽パートとフルートパートの音色の美しさ!もちろんキーボードでも色々な楽器の音を奏でているけれど、まずは弦の響きの華やかさで演奏を引っ張ってくれていてバランスが良く、心地良いまとまりが生み出されていました。
真田丸、楽しみにしていました。コンミスさん大健闘で素晴らしいソロでした!ほかのパートも素晴らしかった!リズムの噛み合わせが難しいところも心を合わせてコンミスを支えているように聴こえました。
新世界は金管担当キーボードのキレが良くて全体のテンションをあげてくれていて、そこに弦の張りのある音色が乗っかってものすごく上手い!本気でこの団上手いなと思いました。普通に私が普段プロのオーケストラを聴きに行ってる時と同じ感覚で聴いてました。
吉元さんの指揮、好みだなーとか。ただのひとりのクラヲタ(クラシックマニアのことよ、念のため!笑)になってました(笑)
そして圧巻のフィンランディア!
冒頭の重い場面から合唱の出てくる厳かな中間部、怒涛のエンディングまで集中力が切れることなく密度の濃い演奏。美しい日本語詞で会場内の心もグッと掴んでいきます。ゾクゾクするような感動。
ちなみに私、9月にパーヴォ・ヤルヴィ指揮のN響でエストニア国立男声合唱団の加わった「ホンモノの」フィンランディア聴いていますけど、その時の感動にもかなり近いって思えるほどです。こちらも本気で上手いと思いました。
圧巻のエンディング!ってあれ?もう一度休憩?
というわけで第4部。まぁなんて盛りだくさんなんでしょう!
劇音楽の世界と題したプログラム。
「ペールギュント」より三曲
「くるみ割り人形」より花のワルツ(ピアノ連弾)
「椿姫」より乾杯の歌
「ウェルテル」よりオシアンの歌
「カルメン」よりジプシーの踊り
花のワルツは藤村さん富松さんのピアノ連弾。
いつもピアノだけのステージが必ず一つあるのも楽しいです。ピアノの演奏会ような雰囲気、日頃コンサートホールとか行かない人には貴重なはず。いつもながら音数の多い鬼編曲(!!)で、お二人の技術と演奏センスあってこそのステージですね。流石としか言えない演奏でした。
(富松さんの譜めくりが凄い迫力だったなぁ←どこ見てるんだ私…)
オペラの一コマはどの曲もとても華やかで、ここの団の一番の魅力だと思います。劇音楽らしい盛り上がりがお客さんを沸かせていました。
カルメンは新しいアレンジかな?歌の部分が始まるまでを「ルーーー」で伸ばしたりなどより器楽的な味付けが加えられていたようです。
ウェルテルも初めて聴きました。いつも新しい何かが聴けて、同じところに留まらないのも素敵なこと。これからも応援してますね。
アンコールにはグノーのアヴェマリアを。
最後の音が消えるまで、シューベルト・コーアの丁寧な演奏を楽しませて頂きました。