今年も、大学時代の友人の吉元貴弘さんが指導する大編成の女声合唱『シューベルト・コーア』の演奏を聴きに、すみだトリフォニーホールの大ホールに行ってきました。
ちょっとビックリ!
私はひとつ前の男声合唱のステージの時に二階の客席に入りました。一曲終わるごとに人が増えていき、休憩からシューベルト・コーアの出番直前には二階席ほぼ埋まっていました。それだけでもビックリなのに、ステージから吉元さんが、
「うわぁ!三階まで!こんなにたくさんのお客さんの前で演奏できることが幸せです!」と言っていたのでその集客力にただ驚き!!
今日の合唱団の衣装は落ち感のある生地の、妖精のような白いドレスでした。
一曲目のシューベルト『セレナーデ』が始まった瞬間から、その人数を感じさせない音程の正確さ、線のクリアさ、ダイナミックレンジの広さにいつもながら感心します。演奏も声も、こだまのように呼び交わすフォルテとピアノの対比がこの曲の魅力を引き出していました。
次はチャイコフスキー『白鳥の湖』より。
ピアノ、キーボード、パーカッション、そして声も時には弦楽器のようなうねりを聞かせたり、もちろん言葉のチカラを存分に活かしてストーリー展開を支えたり。
曲の美しさはもちろん、それを最大限に引き出すための工夫が至る所に感じ取れます。
例えば、『情景』では、ソプラノの高い音域で歌われたメロディを次はキーボードで返したり、クレッシェンドディミヌエンドの効果的なつけどころや、次第にアッチェレランドがかかってきた時の熱を増していく感じなど。。。さらにその音楽の世界を「見える化」してくれるかのような照明。照明の色にもこだわってるんだそうで、なるほどと感心しました。
吉元さんは、『小さな白鳥たちの嘆き』の演奏前に「この音楽の魅力は『絶望の中にある気品』にあると思っています」といった趣旨のMCをされてて、これもとても共感しました。
そして終曲に向かい。。。
激しい胸の思いの吐露も、裏切られた絶望感も、悪魔が近づく切迫感も、激しい音楽ではあるけれど決して乱暴な演奏にはしないのです。この団の演奏する白鳥の湖、聴くのは何度目かになりますが、初演時よりも冷静になったというか、全体の音のまとまりが増してさらに価値の高い仕上がりになっていると感じます。最後のハミングでのハーモニーが美しく決まり、壮大な組曲を締めくくるのに相応しい響きとなりました。
で、終わりかと思えば!!(;゜0゜)!!
さらにその後、ドヴォルザーク『ルサルカ』より「月に寄せる歌」。
ドヴォルザークの音楽って、なんか日本人の心の奥の繊細な部分をグッと掴んでくる魅力があるよねぇ。。。演歌の心に近いような。
メロディの美しさ、ハッと心を惹かれる和音の使い方とか。ソプラノのソロで歌われるアリアを今日は合唱バージョンで聴きましたが、ソロでの表現ともまた違って、ハーモニーを伴って動いていく美しさにひたすらウットリ。メロディの良さを再認識出来るアレンジではないかと思います。
え、この後にプッチーニ『トゥーランドット』より「誰も寝てはならぬ」ですと?!(;゜0゜)!!
演奏前に軽く解説MC入れてましたが、ちゃんと歌詞を聴いてわかるアレンジになっていて素晴らしいですね。
まず演奏始まったら、いつものことだけど、吉元アレンジは「おお!この場面からキッチリやるのね!」と膝を打ちたくなる(笑)。フルオーケストラの雰囲気全開のドロドロドロとした幕開け!そうこなくっちゃ!!!
そして団員の皆様。
プロの声楽家だって苦労するような難曲を、さらに合唱アレンジとなると主旋律じゃない部分の音を覚えていくのも大変な努力があったのでしょうね。オーケストラやソリストがいるオペラのステージにも遜色ない美しさと迫力は、その努力の賜物なのですね。本当に頭が下がります。
吉元さんの、この曲大好きでたまらない!っていう愛に溢れた(笑)情感たっぷりの指揮も年々安定感を増して、説得力のある音楽が引き出されているのが素晴らしいなあ。
アンコールのヴェルディ『椿姫』より「乾杯の歌」まで、集中力に満ちた演奏をありがとうございました。やっていることがハイレベル過ぎて、アマチュアコーラスの演奏会に来ている事をほぼ忘れます、毎回( ´ ▽ ` )ノ
10月23日、同じすみだトリフォニーホールの大ホールでこの団の単独コンサートもあります。また、素晴らしい音と言葉の世界を楽しみにしております。
本日はお疲れさまでした!
プレーンなカップケーキの生地に、ゆであずきの缶詰を混ぜ込んで焼いた、ちょっと和テイストの焼き菓子です。
本番後にさっそく食べたよ、美味しかった!って吉元くんからメールもらいました。感謝感謝( ´ ▽ ` )ノ