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桜も散り春本番って感じになってきましたが、私の中では暫しの『冬の旅』ブームが続いております。
もともとこのシューベルトの連作歌曲集『冬の旅』は好きで、マティアス・ゲルネ、そしてフォルテピアノでの伴奏への興味からプレガルディエンやジョン・エルウィスと色々買ってます。
今回、プレガルディエン+管楽五重奏+アコーディオン版の面白さからまたまた冬の旅ブームが帰ってきた!!というわけでこれまでの音源をスマホに入れ直し、新たにもう一つ買いました。

それは昨年の企画で、作詞家松本隆さんの手による日本語訳詞を、好きなテノールの鈴木准さんが歌っているもの。気になってたんだけど買っていなくて。

ドイツ語の情報量に比べて、日本語にすると言いたいことの三分の一も言えないんですよね。そこを研ぎ澄まされた短い言葉を織り成していく松本隆さんの凄さを、まざまざと感じて目ん玉飛び出そうでした。これまでに色んな日本語訳を読んできたけれど、この松本版はミュラーの詩の内容をきっちり語り尽くしてるし、余分な言葉は一切ないのです。
半年間、作詞の基礎をかじった経験からかもしれないけど、「覚えやすく耳に残る言葉を選ぶ」という観点で聞いている自分がいまして(苦笑)やっぱり神様だと思いますね。
そして鈴木さんの歌い方が瑞々しく、隅々まで日本語の美しさが伝わるんです。初めて波多野睦美さんの歌う日本歌曲を聴いた時のようなハッとする感じを味わいました。
波多野さん同様、普段クラシック聴かないひとにも違和感なく届くのではと思う歌い口です。
ピアノの三ツ石潤司さんの演奏がこれまた詩的で美しい。愛聴盤になりそうです。

。。。え、なんで『風立ちぬ』なのって?

映画見た方、覚えてます?二郎たちが会社の命でドイツへ視察に行ったシーン。
夜の街の窓から蓄音機の音が聴こえてきて「『冬の旅』か。俺たちにぴったりの歌だな」とつぶやく。ここで一瞬流れてるのが『冬の旅』からの「雪解け水」ですね。

それと、4月から始まった朝ドラ『とと姉ちゃん」のととが結核で亡くなる、っていうところからも『風立ちぬ』の菜穂子を思い出したり。
新宿にある新しく出来たお店で、うまそうなクレソンバーガーをもしゃもしゃ喰った報告(笑)をSNSで見たのも、『風立ちぬ』見直したくなったきっかけのひとつかな( ´ ▽ ` )ノ

見直せば見直すほど、哀しくなるあの感じは、私が『冬の旅』を何度も聴きたくなる感覚にとても近いのかな。
そんな事を思いました。