7月28日(月)19時30分~21時35分
@本屋B&B(下北沢)内 イベントスペースにて、今一番気になって追っかけている大友良英さんと
「音遊びの会」代表の沼田里衣さん、「ブレーカープロジェクト」代表雨森信さんの御三方によるトークイベントが行われました。

イベント詳細のページはこちらです。

上のリンクからも、「音遊びの会」や「ブレーカープロジェクト」についての情報を読めるので、是非そちらのページにも行っていただけるとこれから書く私の感想もよくわかるんじゃないかと。。。

☆「音遊びの会」
知的に障害のある子どもたちや元・子どもたち(長年の付き合いでひとは成長しますね)が、色々な楽器と出逢って、彼らの中の語法で音を出したり出さなかったり、その場でしか作り得ない音空間が出来る。そんな場を月に二回ずつ設けています。そこに大友さんが関わってもう10年近くになるそうです。

以下はサイトから引用させていただきます。

「音遊びプロジェクト」を始めた理由は、知的な障害のある人との即興演奏について研究するなかで数々の疑問がわき、それに解決の道を見出したいと思ったからです。知的な障害のある人は、優れた音楽的感性を発揮し、独特のコミュニケーションのあり方を示す場合も多いのに、それが広く理解される場がほとんどない。それどころか、限定的に治療すべき行為とみなされたり、固定した表現領域の内にとどめられてしまっている。でも、こうした即興音楽はもっと広く社会のみんなで共に楽しむべきものではないか?障害にまつわる問題は、福祉に携わる人のみではなく、社会の色々な人と共に考えて行くべきではないか?そう考えて即興音楽文化をのぞいてみると、そこには変わった楽器や奏法等とても独特な音楽文化があり、それらのミュージシャンの音楽には、知的な障害のある人がすることとかなり似ている部分があると思いました。時には、障害のある人の方が高い集中力と伸び伸びとした表現を光らせることもあるとすら感じました。そこで、こうした人たちが一緒に色々な音楽を試す場を作ったら、そこに新たな文化が開かれて行くのではないか、と考えました。

☆西成の子どもたちと作る居場所「西成子どもオーケストラ」
学校に行けてない子、やんちゃな子、ひとりぼっちの子、クラスに居場所のない子、どんな子も「楽しくうれしく調子に乗れる場」

以下はサイトから引用させていただきます。

音楽家・大友良英を迎え、西成区の子どもを対象に実施した「集団即興オーケストラ」のためのワークショップ。演奏の経験や上手下手は問わず、簡単なルールと指揮者の指示にしたがって思い思いに音を出し、一瞬限りのアンサンブルをつくっていくことで実験的な音楽、文字通り、音を楽しむ場が生まれました。
今池こどもの家、南津守小学校と連携して、3年間継続して取り組むことで、子どもたちとの関係性も深まり、西成において「子どもオーケストラ」が浸透しつつあります。
参加ミュージシャン  河辺知美、横沢道治、PIKA☆、小島剛、森山ふとし、山路智恵子、井上智士、北村信二、スレンジャヴ・バトスレン 

どちらの取り組みも、ある価値観の中では収まりきらなかったり、邪魔な存在として排除されたりしてしまいがちな要素が、視点が変わると輝きを放つ存在になるということを具現化してくれてるんですよね。
私がかつて身を置いていた教育音楽の世界。私だって「どんな子も輝く場を作りたい」という理想を胸に仕事をしてたし、一体感や思い出を、、、ってどんな先生たちも思ってるのは当然。だけど。やっぱり行事や、卒業式入学式、コンクール、その他諸々、完成された楽曲の披露が当然のように求められ、そのために心血を注ぐ指導になるのは仕方がないのかもしれない。
必ず、出てしまうんですよ。
その枠からこぼれ落ちる子。
大友さんはいま、『学校で教えてくれない音楽』の本を作っているのだと言います。
興味津々の反面、「学校で教えてくれない」って言うフレーズって。。。私や今も現場で奮闘している元同業者たちの心の奥底には「チクッ」とトゲが刺さるような気持ちにもなる。そんなホンネもなくもない。
まぁこれは白黒はっきりさせる話題なんかじゃないんですよね。いいところを取り入れて明日につなげられたら!

西成の子どもたちの話を聞いている時は胸が苦しくて仕方がなかったです。
家庭環境の複雑な子、外ではタバコ吸って粋がるしか大人のまねごとも出来ない。
そういう子たちが、みんなの前で指揮をしたり打楽器を打ち鳴らして踊ったりして拍手喝采を浴びる。
他の場面で、時に勉強でなんてあり得ないであろう、「胸を張って良い意味で『調子に乗れる』瞬間」があるのだといいます。
大友さんは「オレは教育なんてことを考えたことはないし、その子の人生丸ごと引き受けてやることなんて出来ないけれど、『時々来るこのオッサン、なんか面白いからいいな』ぐらいの感覚で接してくれたらそれでいいし、そこから仲良くなってくると音楽が変わってくるのがわかる」っておっしゃってました。大人には役割がある、いろんな大人がその人の持ち味を生かして子どもたちと向き合う、それでいいんだ、って。

障害のある人たちとの取り組みは、本人たち以上に保護者や家族とコミュニケーション出来るかがカギになってる、っていう話もとても興味を持ちました。ああ、今私が一生懸命取り組んでいることにも通じるなぁと。。。
そして、生まれては消える即興演奏、それをステージに上げることに大友さんはこだわりました。音遊びの会側とは意見のぶつかり合いもあったといいます。それでも、ステージの上でライトを浴びて、そのことが子どもたちの中に何かを確実に残し、ここでこうしようという意志なんかも見えてきたりするんですって。
「世の中には立派な音楽があふれてるから、立派じゃなくてもいかにお客さんを巻き込んでみんなで参加してる思いを残せる場を作れるか、っていうのが欲しいじゃない?」っていう大友さんの言葉が、とても心に残ってます。

・・・・・・・そうだ。
7月20日(日)に私も参加してきた、『大友良英スペシャルビッグバンド アンサンブルズ・パレード/すみだ川音楽解放区』
このときにもはっきりと
「いかにお客さんを巻き込んでみんなで参加してる思いを残せる場を作れるか」
っていう大友さんの考えがあの空気を作り出していたんだなぁ。
よくわかりました。
フジロックでの盆踊りも大盛況だったようですし、札幌や福島などいろんな場所で、たくさんのひとに、あの一体感を体験して欲しいなぁって思います。
音遊びの会のメンバーも、ステージで弾けるように踊って指揮をして、スペシャルビッグバンドメンバーも会場の楽器持ってるひとも彼らの指揮に合わせて楽しく音を出したりしていました。
まだ私はこのとき「音遊びの会」のことを知らなかったのですが、障害のある子どもたちとの活動をされてるんだなぁ、とステージの上の子たちの笑顔を見てなんとなく感じていました。

7月20日の動画を貼ります。
どこを見ても楽しいんですけど、私がいっちばん心に残ってるのはこの動画で言うと23分20秒あたりで大友さんが
「手ーつなぎまーす!!」って声をかけた時です。
会場ビックリしつつも、みんな笑顔で隣のひとと手をつないで大きな輪を作りました。
知ってるひとも知らないひとも。誰かの手ってなんかほわっとあったかい。
巻き込まれたー!!って本気で楽しかった。

大友さんの音楽って通好みでマニアックで難しい、っていう印象を私も少なからず持っていたんですよね。
それが「あまちゃん」サントラでは「難しい」と思っていた語法をさりげなくお茶の間に聴かせてしまい、
各種ワークショップや盆踊りでは子どもも大人も「難しい」なんて考えずに楽しめる場を作ってしまったり
やっぱり凄いひと。

そして気さくなお人柄、あったかい笑顔。間近でお話聴けて幸せでした!!
岩波書店「MUSICS」買いました。サインも頂きました♪

長くなってホントすみません、感動すると書き残しておきたくなってしまうのです。。。。
読んで下さってありがとうございます。