昨日の夜、徳島を出発したポチは、一路奈良を目指した。
母ちゃんには、『絶対にお腹すいても、途中で食べたらアカンで!』と念を押され、背中に風呂敷包みをくくりつけられた。
中身は、これだぁ~


うまそうやないかい♪ わしの大好物のかりんとうが、2袋も入っとるやないかい。
ポチは、真っ暗闇の中を自分の鼻と、適当な勘だけを頼りに走り出した。
淡路島に差し掛かった時、ちょうど手頃な船が…。
よっしゃ、神戸回らんと、この船に乗ったれ。
ポチは、物陰にまぎれて、ほとんど、身体は、はみ出ていたが、鈍感な船員に気づかれることなく、紛れこんだ。
よっしゃ、南港について近回りできたで。
船をおりると海遊館やUSJ…誘惑を横目に、東へと急ぐ。
よっしゃ、最後の難関、生駒山の山越えや。
ポチは、頑張った。途中で、ゼェゼェ、息切れしたが、『みゆき先生~、待っててや~』その思いで頑張った。
奈良市に入り、もう少しと思ったら、奈良公園で鹿に絡まれる。
『おい、そこの犬、見かけん顔やなぁ、どこ行くねん、わしら鹿連合の許可取ってんのか?背中に持っとるんは何や?』
大仏殿春日大社前の鹿は、凶暴だ。
ポチは、『あっ!、あそこから鹿せんべい持ったオッサン来るで~』
どこや~?
えさに飢えた鹿が、よそ向いた隙に、通り抜けた。
よっしゃ、もうちょっとや~。
ポチは、奈良教育大学の横を通り、コンビニ7を横切った。
教育大学に、若いお姉ちゃんおったかなぁ…、まだ夜やから、おらんわな。
そんなことを考えながら、最後の難関(なんや、まだあったんか)登り坂を登る。
ひゃ~っ、なんちゅう坂道や~、こりゃ、自転車立ちこぎでも無理やろ。
三差路を左に曲がり、ようやく【やまなかみゆきピアノ教室】の看板が見えた。
みゆき先生~、ここへ置きますで~、確かに荷物届けましたでぇ。
さて、ポチはどうやって帰るのか?
ポチは、みゆき先生の家の門扉を閉めた。
すると、川人家の家の前に出た。
ぬぁ~んということでしょう!みゆき先生の門扉は『どこでもドア』になっていました。
なんや…、最初から『どこでもドア』で行かせてくれや。
あゆみ先生、ありがとうございます。
こんなもんで、いかがでしょう (^_^)v