なにやら、難しい病名。娘についている病名です。
正しくは、『 先天性心室中隔欠損症 Ⅰ型 術後 』となります。
要するに、生まれつき、心臓の右心室と左心室を分けている壁に、穴があいている病気 の、手術後ということです。
アメンバー記事にしようかとも思いましたが、あえて公開することで、皆さんに知って欲しいし、この病気をはじめ、他の心臓病や、難しい病気を患っておられる方々のことも、少しお気にとめていただけたらなと思いました。
決して、同情して欲しいとか、頑張ってと励まして欲しいとか、そんな気をひくためではないということも、最初に申し上げておきますね。
前置きが長くなりました。
今日は、その娘の検診でした。
3歳7ヶ月で、穴をふさぐ手術をして、今は、3年に1度。
すなわち、進学するたびに、検診するだけで、すんでいます。
今日の結果も、異常なし。
進学先の大学に、提出する診断書を書いていただき終了しました。
毎年、学校の内科検診で 『心雑音有り』で、ひっかかるので、事前に診断書を提出することで、説明を省略しています。
幸い、娘は、穴をふさげば、健常者と同じになれるということで、運動制限や、内服薬もなく、見た目は全く普通の子供と変わりなく、私達、親も、普段は病気のことは、忘れているほど、何事もなく、今日まで過ごしてきました。
ただ、娘の胸には、手術の大きな創がありますので、私達は見慣れ、何ともないですが、胸元の開いた服を着ていたりすると、気づいた周りの人が、びっくりします。
心臓に、何かしらの病気を持って生まれてくる子供は、100人に1人。
意外と多いです。
親ってね、当たり前ですけど、生まれてくる我が子に対して、五体満足に生まれて来て欲しいとか、元気に生まれて来て欲しいって思う訳ですよ。
そして、元気に生まれてくるのが当たり前 だと思って疑わない訳ですよ。
娘に、先天性の心疾患があると告げらた時は、本当に、何にも考えられなかったというか、何で!?としか思えなかったです。
それこそ、宝くじにも当たらないのに、何で、百人に1人に当たるのかって…。
ちなみに、1人目が先天性心疾患だと、2人目もそれになるリスクは、5倍、つまり、百人に5人になると言われ、本当に息子がお腹にいる時も、心配しました。
幸い、息子は、大丈夫でした。
娘を生んだ病院から、紹介状を書いていただき、専門の病院に行くのですが、ドクターに『赤ちゃんのお名前は?』と聞かれ、まだつけてない…と言いました。なので、紹介状の封筒の名前欄には『山中ベビー』と書かれていました。名前をつける…なんて、頭の中がパニックで、出来なかったんですね。
なんで丈夫に生んであげられなかったんだろう…。
お酒もタバコもしないのに、なんで、こんな子を生んでしまったんだろう…。
私、なんか悪いことした?
って、自分を責めるんですね。
でも、いつまでも、ぐずぐずしてられない、娘とこれから生きていかなくては…って。
神様が、どうしても、百人に1人、先天性心疾患の子供を作らないといけないとしたら、その子をどの親に託そうか…って考えた時、ここの夫婦なら、受け入れてくれるかな、この両親なら育ててくれるかな、って選ばれたんだと思うことにしました。
うちの家庭が、選ばれたんだ…、そう思うと少し気持ちも楽になりましたが、それでも、毎月病院に行って、検査をして…。
生後3週間で行った病院、今日は、何回目?
担当のドクターも、ずいぶんお年をお召しになられました。
検診に行くたびに、次から次へと、娘と同じ病気の子供に会います。
酸素ボンベをしている子や、遠くは和歌山県、長野県から来たという…。
『重篤な方、遠方の方を優先します』 と書いてあるような診察の科です。
私たち、元気で近くの患者は、後になっても文句もありません。
うちの娘は、穴をアップリケのようにふさいでそれで終わりの手術。心臓の手術でも、簡単な方に入ります。
それでも、言っても心臓です。
ちょっと、膝の手術とか、虫垂炎…とかとは、訳が違います (膝や虫垂炎が大したことないのでは、ありません、誤解のないように)
心臓の手術をするには、一旦心臓の動きを止めなくてはなりません。
じゃないと、動いている心臓にメスは入れられないから。
それを助けるために、人工心肺装置をつけるのですが…。
止めた心臓が再び動かない例もある…、ドクターは、手術前の説明で、万が一の事例をいくつも言います。
娘にはいつも、 『あなたは、1度は心臓を止めて、つまり、一回は死んでるから、生きてるだけで丸もうけやで』 と言っています。
心臓移植のために小さな子とご家族が、外国へ行くニュースを見聞きするたびに、胸が痛みます。
私には、何の力もない、祈ることしか出来ないけれど、そういった、難病や病気で苦しんでいる方々が、少しでも、楽しく日々が過ごせますように…と、いつも、祈っています。
娘、18歳。高校3年間、皆勤賞にて、今月卒業します。
風邪も引かず、大した病気もせず、元気に過ごして来られたこと、とても嬉しく思います。
日々、何もないことが、幸せであること、毎日、何事もなく元気に過ごせること、こんな当たり前のことが、1番幸せであるんだと、思います。
娘にひとつ、病気を持たせてもらったおかげで、私自身も、日々成長させていただいていることに、感謝です。