去年の8月から万柳入選句、特に”秀逸”についてクレーム(駄目出し)を続けてきた。

毎日新聞の万柳欄は、かって”文芸コーナー”にあった。いつからか、文芸コーナーは”カルチャー”に名を変えている。

カルチャーは”文化”とか”教養”の意味があるので、以前とそう変わらないと思っていたが・・・・?

 しかし、最近は「芸術か否かどうでもいい川柳」(22/10/6 秀逸)や、「川柳は文芸ではなく遊び。」(23年年間賞特別賞受賞者のコメント)のように、万柳が段々と”非文芸的”なものになっていくことに一抹の寂しさと、フリーペーパーじゃあるまいし購読料を取っている新聞の川柳コーナーの”お遊び感覚”に対して腹立たしさを覚え、心ある数人の仲間と万柳事務局にクレームしている。

 こうしたクレームに、遂に、選者から「ヤボ呼ばわり」(2023年10月月間賞発表の【選者から】より)されるに至り、どうも、万柳に”出禁”になってるようなので、もう、”怖いものナシ”で今年上半期の”秀逸”入選句を次の3ポイントで総括をしてみた。(以下、各句の☺マークは秀逸を表す。)

 

①類句・盗句

 昨年1年間の秀逸の類句は23句、今年は半年で6句なので、数字上は半減している。これが、クレームの効果だとしたら喜ばしいが、果たしてどうだろう。

昨年の類句の中で、「日中韓生まれた場所が違うだけ*15/1/29*中路修平」の同想句が”年間準大賞句”になったのはいただけない。

今年の1月月間賞句「☺男子ほど女子サッカーは痛がらぬ*1/17」は、

「☺女子サッカー男子ほどには痛がらず*11/8/16*日向猫」の語順を変えただけで、”オマージュ”とも”パロディ”とも言えない。

 

 これ以外にも、次の句を類推される句が秀逸に選ばれている。

「☺ウブな娘と信じ込んでるウブな彼*19/4/24*宮本佳則」

「☺社説書く人に政治を任せたい*08/5/23*寺田克」

「☺目を閉じて触れば豆腐でも怖い*19/8/11*浮々」

「☺落選をしてもポスター笑ってる*95/9/6*林道雄」

「怒るわよもう怒ってる妻がいう*16/1/13*ホヤ栄一」

 

 問題はこれら類句の作者が、”入選500句超え”や”文庫作家”と言う、超ベテランである点である(『怒るわよ』の類句作者以外)。

しかも、それらの作者はこれまでも何回も同じことを繰り返している。

 何百句と入選実績のある人は万柳DBで類似句検索を掛けて投句すべきだろう、もっとも、検索をかけないで手当たり次第投句しないと何百句も載らないのかも知れないが、投句マナーとして褒められたことではないのでは?

 

②中八句

 2023年は4句あった。今年はこれまで3句。

問題は3句の内2句は同一作者で、秀逸以外でも中八が氾濫している点。この作者、

「中八で秀逸をとる野望持つ*24/4/17」「抑止力脅し合いということね*24/6/24」(中六)

などのヒラ入選句をみると、(本来の意味で)確信犯的に中七を無視している。これを選者も面白がって採用しているようで、不快感を覚える。

 年間賞に限って中八の歴史を見ると、

 初期の頃(~1998年)、「☺ふるさとへ帰ってきたなと水を飲む」(94年大賞句)始め3句出てくる。その後、2015年までの約20年は出てこない(2016年以降で2句)。

 

③楽屋落ち句

 2022年は実に30句もの秀逸・楽屋落ち句があった。うち5句、一人の作者が占め、さらに、そのうち1句が”年間大賞”と言う気持ちの悪さ。因みに、万柳の長い歴史の中で楽屋落ち句の年間賞はこの1句のみ。

 2023年は7句に激減、今年はここまで5句(7月11日に6句になった)、楽屋落ち句は18列が良く似合う・・・・と思うのだが。

上半期の総括~万柳編~終り