夜明けのすべて | 温故知新 YEBISU NOTE

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 鳥取県中部、湯梨浜町に「ジグ・シアター」というミニシアターがある。廃校になった小学校の図工室を主宰者自らが改装してミニシアターを作ってしまった。その主宰の方は関西から鳥取県へのIターン者で、今をときめく濱口祐介監督の名前を世に知らしめた「ハッピーアワー」にも出演されてた。この作品、出演者はオーディションで選ばれた素人ばかりであったが、その後10年足らずの間にカンヌ、ベネチア、ベルリンの世界三大映画祭での受賞だけでなくアカデミー賞まで獲得してしまった濱口監督の原点的作品であった。




 今回の「夜明けのすべて」は、

濱口監督の作品にもどこか共通項がありそうな新進気鋭の三宅晶監督の作品。昨年は「ケイコ目を澄ませて」が話題になった。

あの作品も「盛り上がり」とか「感動」とか「共感」とか「泣ける」とかを求める人にはやや馴染めなかったようだが、この作品も若干そういう面があるかもしれない。月経前症候群の藤沢さん(上白石萌音)は新卒で入った会社では、それが災いして早々退職、今は中小の科学教材を製造・販売する会社で働いている。そこに、やはり転職で入ってきた新入社員の山添君(松村北斗)は、ポテンシャルはありそうなのだが、無気力、無感動でやる気なさそう、、、

 しかし、社長(光石研)をはじめ

社員は皆、暖かい視線を送っているようだ。それでも、山添はどこか無気力っぽさとギスギス感を撒き散らせていたのだが、とうとう

藤沢と衝突する!!

そこで、彼はパニック障害があることも判明してくる。

お互いの障害に気づいたふたりは

徐々に互いをカバーしあううちに

包容力など様々な事に気づいて成長していく。そして、ふたりを見つめ続ける社長、そしてかっての山添の上司(渋川清彦)も互いに接点がありともに大きな心の傷を抱えていた。その人生の先輩たちにさえ、ふたりの成長は大きな影響を与えていく。そのくだりは、中盤戦から後半にかけ淡々と進みながらも、見るものの心に大きな清涼感を与えてくれる。それはじわじわと目頭を熱くさせてくれるような清涼感であった。ふたりが勤める「栗田科学」という会社のプラネタリウム、、実際に作品上には出てきてないのだが、満天の夜の壮大な星空を見ながら、「心は広く、目は高く」などと思い、なぜか瞼が熱くなっている自分を想像した。

この作品、ミニシアター系のみで

これから上映という劇場もおおいようですけど、三宅監督の前作、「ケイコ目を澄ませて」に勝るとも劣らない秀作でした。ホント、ストーリー的な盛り上がりはない→ロマンスに発展するのではないところなど、どんでん返し的(笑

でも、心に響き、染み入る作品であり、非常に美しい映画でした。松村と上白石は朝ドラでは夫婦役だったのですな、、、

その線なら、ゴジラの神木隆之介と浜辺美波も似たようなパターンですな、、不思議にそういうのって重なるものですな(笑