子どもたちをよろしく | 温故知新 YEBISU NOTE

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 この作品、他の作品が見たかったが時間の関係でこちらを観てしまったのだが
、、、

 ウーン、やはり製作費の安そうな作品はやめておいたほうが良いかもしれないという気持ちが半分。

それでもメッセージは強く伝わってくるし、テーマは非常にグッド。もうひと工夫欲しいところだが、観終わったあとの消化不良のようなものはない。


企画は、文部省時代「ゆとり教育」を旗降った寺脇研氏とあの前川喜平氏。この二人、個人的には「なんかな〜」という感じしかしないのだ。特にゆとり教育など欧米のポリティカルコレクトネスを言う人に通じるようなものを感じるし、前川喜平氏にしてもそんな感じかな。

 この物語、2人の男子中学生を中心に物語が展開する。

1人は洋一、彼の父親はデリへルの運転手で、妻には逃げられ息子と極貧生活。

ギャンブル依存症で借金まみれ、息子の給食費や修学旅行費も払えない。たまに、パチンコで勝つと行き付けのスナックで大きな顔してその金をつぎ込む。

はっきり言って処置なしのオヤジだ。

息子の洋一は、極貧と父親の仕事のことでイジメを受ける。イジメグループは女子1人、男子3人。そのイジメグループの1人が稔。稔は両親と姉の3人家族だが、母とは血がつながってなく、姉も母の連れ子であった。父はことあるごとに稔や母に暴力をふるい、姉は性的暴力を受けていた。そしてその姉は洋二の父が運転手をするデリへルのデリヘル嬢だったのだ。

 イジメ、子供の貧困、デリへル、ギャンブル依存となかなかテーマ自体はグッドだし現実離れしているような現実に切り込んだのは悪くなかったのだが、それから先への切込みがなく、暗〜い印象だけで進んでいく。それこそ、企画の元文部省のお二人を自己満足させるだけのような作品。まあ、製作費安そうだししゃーない感じ。

特に思ったのは、そのギャンブル依存症のオヤジが
借金取りに土下座するシーン。どういう計算かは知らんが高利で借金は3千万。担保もない人間からどうやって取り立てるつもりなんだろうか?それに、金を貸す方は相手が弱そうだと面白がって脅してるだけという気もした。

でも、貧困、ギャンブル狂、浪費、イジメ、DViなど社会問題の羅列だけでなく、この父親にスポットを当てて、クライムサスペンスに出来なかったものだろうか?などと勝手に思う。やはり、負の社会問題をあつかったものには、必ず負の心理状態にもスポットが当たるものだ。

そういう見せ場的なものとしては、稔の姉は性的暴力の被害者ではなく、性的暴力を繰り返していた
稔の父=ステップファーザーと逃避してしまうというのが唯一のオチ。そこにいたる所をもっと掘り下げたらもっと面白くなったろうに、、、

ただ、ラストシーンは、現実に通じる問題を認識させてくれた。

洋一は父親に失望し、イジメグループというか、姉と父のことで八つ当たり気味の稔の攻撃もあって自殺してしまう。それ以前に、稔は洋一の境遇に気づき、分かりあえるところであったのだが、、

その後、喪服を着て、イジメが原因だと語る父親。
それに対して、イジメグループは、非常に白々しく涙を見せながら「自分の周りにイジメがあったなど信じられない」などと、全く自分とは別の世界の出来事だったように語る。このシーンを見るまでは、あ〜、観なきゃ良かった、ホンマ平淡すぎるんだよと思ってたのだが、最後の最後に、イジメの本質とは、ごく普通のよい子が集団で異端を排除していく事だと訴えてるように感じられた。

この作品の途中でも、稔の姉がデリへル嬢だということを知り、今度はあなたが洋二の役目よ。と稔を脅すイジメグループの一員がいたのだ。集団の力で
新しい獲物を探しているのもイジメの特色かもしれない。

それは、大人の世界でも同じです。ヤクザな人は怖いですよ。しかし、それとは別の意味で怖いのは、
ごく普通すぎるほど良い人達が集団で、同じ方向を向いた時は怖いです。そして、同調圧力でさらに大きな集団になるほど怖いだとも思えます。

ところで、集団で1人をいじめるのではなく、1人で誰かターゲット(但し、学生時代の教師とか大学時代は先輩とか職場では上司とか)自分より強い立場の中ではイジメやすそうなのを見つけて、嫌がらせしたりするのはイジメではありませんよね。もう一度いいますが、あくまで、自分より強い立場の人間でないとだめですよグラサン

作品としての出来は、おそらく製作費がかかってなさすぎて普通の映画と同等には語れないレベルのような気がするが、その類の中ではかなりの作品だと思う????でもな〜、駄作とも言えないし、製作費がかかってなくても面白い作品に巡り合うことはあるしな〜。金返せ〜って感じではないが、最近、良い作品に巡り合う確率が高いのでセレクトにはもっと慎重になろう。でも、洋二のダメ親父役の川瀬陽太さんという俳優が良かった。「カメラを止めるな」でブレークしたどんぐりさんみたいになるかも。

 まだ、ブログにアップしてないが、「レイニーデイインニューヨーク」「チアアップ」「アダムズアップル」「その手に触れるまで」といったところについて書く前に、早く吐き出してしまいたかった笑い泣き