無花果 39 | 独断と偏見の塊

独断と偏見の塊

妄想吐き出しブログ
スキップビートを中心とした漫画の妄想ネタを綴っています。
出版者様・原作者様とは一切関係ありません。

 

 - 目が覚めて、初めに言われたのは“敦賀蓮”の死だった -

 

 

「宰相様は、武術を嗜んでおられたのですか?」

 

「そうですね。もう十年以上、剣を握っておりませんが・・・」

 

「やっぱり!文官でありながらその体躯はズルいなって思っていたんですよ!」

 

「くすっ、ズルい・・・ですか」

 

「ええ!その長身に、服の上からでもわかる鍛え抜かれた筋肉。笑顔でありながら否やを認めぬ気迫。一回りも二回りも上の大臣たちをいとも容易く従わせていて、私なんてもう13歳なのにまだまだチビで・・・剣の稽古も全然上達できなくて、皆、私が王子だからへこへこするけど、腹ん中ではガキ扱いしてるの知ってるんです」

 

「悔しいですか」

 

「悔しい・・・し、情けないです」

 

「情けない?」

 

「私は父の子なのに、父のようにおおらかに下の者の言葉を受け入れることもできない。父のように国を守る力も、女一人・・・自分の身一つ守れない。守られてるだけだ。早く父を安心させたいのにっ・・・」

 

「・・・・・・・・・」

 

 

 - “久遠”として生きるように言われ、国のため、王のため、王妃のため、そして、王子の為に生きることを誓った -

 

 

「13歳はまだ子どもですよ」

 

「でもっ、母は13歳で王妃になりました!重臣たちが言ってました。母は父が倒れたとき、立派に国主として勤められていたって」

 

「・・・ご自分と誰かを比べても苦しいだけでしょう」

 

「っ・・・!」

 

「飛鷹様が頑張っておられることは皆わかっておりますよ。認めようとしない者より、認めてくれる人を裏切らぬよう努めていけば、おのずと自分を認めることができるようになるかもしれませんね」

 

 

 - あれ程、傍にいたいと願っていたのに・・・今は、傍にいることが苦しい -

 

 

「それに、王様は飛鷹様が愛しくて仕方ないご様子。まだ大人になって欲しくないようですから、まだ暫くは子どもでいてあげてください」

 

「はぁ~っ。あの人が一番子ども扱いしてくるんだよなぁ・・・」

 

「くすくす。そうですね」

 

 

 - 父だと名乗りたくても名乗れない。目の前にいるのに気軽に触れることもできない -

 

 

「ま。暫くは子どものふりしてやるか!」

 

「言葉遣いから、大人に近づきましょうね」

 

「ぐっ!鋭意努力中!!」

 

 

 - 人の命を奪った俺に、幸せになる資格はない -