たくさん楽しい思い出があるはずなのにどうしても頭から離れない君と過ごした最後の一年。

たぶん、これを書かないと他の思い出が全部なかなか、うかんでこない気がする。

14年一緒に暮らして、たくさん思い出があるはずなんだけど、どうしても切ない記憶が楽しかった思い出を上回る。

もしかしたら、これを欠いたら他の事も思い出せるんじゃないかな。

だから書いてみよう。


秋は切ない気持ちになる。
秋にも、たくさんぽちとの楽しい思い出があるはずなのに思い出すのは、ぽちが歩けなくなってきたのが秋だったし、天国にいっちゃったのも秋なんだよねぇ。
そういうのが強くて、他を思い出せない。
秋はせつない季節なんだよね。

散歩に行って家に着いたら、点々と赤い何かがお腹の毛に付いていた。
何だろうと思ったら、血だった。
足を上げられなくなって、足の先をアスファルトに擦り付けて歩いていたらしい。

足が弱ってるんだと初めて気が付いた。

それからはなるべく、アスファルト以外の場所を選んで歩いた。
柔らかい土の上とかね。

それから、だんだん歩けなくなって、ついには寝たきりになったぽち。

寝たきりになっても半年、頑張ってくれたぽち。

次の年の秋。
10月25日に彼は天国にいった。

もっとこうしてあげれば良かったとか、たくさん後悔した。

幸せだったのかなって思いもした。

でも、悲しんでたら、天国に逝けないと思って、泣くのは、その夜だけにした。

父と私と二人で火葬しに行った。

笑顔で見送りたくて、話し掛けながら、車を走らせた。

道があまりよくなくて、車がバウンドした時に父が「ぽち、大丈夫か?」って声をかけていた。

笑顔で見送ろうとおもったのに、涙が出た。
笑おうと思ったのに涙が浮かんでどうしようもなかった。

ダメだ。
また、泣けてくる。
これじゃ、天国のぽちが心配するよ。

ぽち。
君に伝えたいのはね、悲しみじゃないんだよ。

君が大好きだって事と、ありがとうっていう気持ちなんだ。



君と過ごした14年。
君がいることが当たり前だった14年。
君が天国に逝ってからは会話も少なくなって、君の存在の大きさを改めて知った。

今はね、君によくに似た男の子のわんこがいるよ。
その子もぽちなんだけど、君と同じでとてもいい子だよ。

ぽち。
君は今でも私達の大切な家族だよ。
だから、見守ってて。
あっ!生まれ変われるなら、またうちにおいでよ。
でも、正直にいうと、君だって気付ける自信はない。
ごめんね。
そこは勘弁して。
また、会えたら、また新しい思い出作りたいね。

それより今は今までの事書かなきゃね。

もう少し、君の事を書かせてほしい。

大好きなぽちの事忘れるなんて有り得ないからね。

君を思い出して、ありがとうって、大好きって、楽しかったって思う事が供養になると思うんだ。

ぽち。
私達は、君が大好きだ。

これから先もずっと君が大好きだよ。



天国なぽちへ。



月華