2013年9月まで堅調か? | 乖離のぶろぐ(*´∀`)吸い込んで応援
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本格的な強気相場の到来か?
マーケットウォッチ
* 2011年 2月 15日 12:27 JST
 【ニューヨーク】株式市場が2年間近く上昇を続け、S&P500指数が2倍になっても、多くの投資家には強気相場の実感がない。
 すべて連邦準備理事会(FRB)紙幣印刷工場が生み出す錯角ではないかと心配する声や、世界が米国の財政破綻に気づいた瞬間に相場が大暴落するだろう、といった警告さえも聞こえてくる。
 ウォールストリートに広がる一般的な見方はこうだ。この上げは、長期的な下げ相場における「循環回復」であり、決して2007年10月につけた高値に届くことはない。
 だが、もしかして、誰にも気づかれずに、1990年代のような長期の強気相場に入っている可能性はないのだろうか?
 そして、米国株式市場にさらなる上昇余地があり、しかも、その上昇が長期間続くとしたらどうだろう。その上、上昇の原因が分かるのはずっと先となると、残念ながら投資家の多くは上昇機運に乗り遅れてしまうはめになる。
 これを訴えているのは著者自身ではなく(著者の見解は後ほど説明する)、権威ある証券アナリストだ。
 そのアナリストとは、コネチカット州ウェストポートにあるビリ二・アソシエーツ社の創業者で社長のラズロ・ビリニ氏だ。同氏はルイス・ルーカイザー氏が司会を務めていたテレビ番組ウォール・ストリート・ウィークにパネリストとして出演していたことでよく知られている。同氏は、一見ランダムにしか見えないデータを過去の相場と鋭く照らし合わせ、規則性や類似性を見つける分析手法を得意にしている。
 ビリニ氏は、2009年にすでに、市場は上昇局面に入ったと分析した。さらに1月には、過去のパターン通りに相場の上昇が続けば、2013年9月4日までに、S&P500指数は現在の2倍以上の2854ポイントに達するだろうと述べて、投資家を唸らせた。
 その後、ビリニ氏の予想は少し控え目になったものの、7日に発表したリポートで「ベストのシナリオ」では、2013年までにS&P500指数は 2800になるとしている。また、「より現実的な」シナリオは、2100で、「最悪のシナリオ」でも史上最高値の1750に届くという。
 つまり、同氏によれば、今回の上げ相場は2009年の底値から162~210%も上昇するというのだ。それが本当だとすると、以下の表からも分かるように、過去50年間の上げ相場の中で最も強い伸びを記録することになる。
 ビリニ氏は、GDP成長率、企業業績、また株価収益率(PER)などを参考にすることなく、過去の強気相場を研究することで自らの結論を導き出す手法を取っている。(同氏によれば、これは「予想」ではなく「ロードマップ」となる。)
 同氏は、筆者とのインタビューで、今回の上げ相場については、その立ち上がりの強さに驚かされた語った。
 「この強気相場は、史上最も強いスタートをきっている。強気相場が出だしに急上昇を遂げるとその上昇トレンドが長続きすることが多い」と述べた。

 S&P指数は、2009年3月9日の大底から2010年4月23日に1217の天井を付けるまで、約410日間で80%近くも上昇した。ビリニ氏は、これを強気相場の第1ステージ、または「第1四分位数(Qartile)」と呼んでいる。同氏によれば、長期間続く強気相場は、おおむね投資家心理の4段階合わせて4つのステージに分けることができるらしい。
 最初のステージは「躊躇(ちゅうちょ)」、次に「地固め」期へ移る。その後、投資家が相場の上昇局面を信じ始めると「受容」に変わり、そして、最後に「過熱」へと至る。これがエリザベス・キュブラーロス教授の提唱する死の受容への5段階と似ているとすれば、それはまったくの偶然だ。
 ビリニ氏は、過去のパターンから第1と第4ステージの上げ幅が最も大きくなる可能性が高いことを指摘した。また、現在は市場で集約が進む第2ステージに入っているため、4つのステージの中では最も弱含みに陥りやすいという。第2ステージは、過去の平均上昇率をみても6.4%止まりである。火曜日時点では、S&P指数は、昨年4月の高値から8.8%の上昇をみせている。同氏は、このステージは真夏まで続くとみており、この期間は、平均を上回るリターンとなるか、または、調整局面に入り第2ステージ平均並みの上昇のいずれかになると考えている。
 ちなみに、ビリニ氏は、市場は正真正銘の強気相場に入っていると信じ切っている。同氏は、「現在の市況には、長期間続く強気相場の特徴がみられる」と述べる。その特徴とは低株価収益率 、過度の悲観ムード、強い立ち上がりだ。
 ビリニ氏は、今回の強気相場は、2013年9月までの1640日、つまり4年半は続くと考えている。同氏のこれまでの実績がなければ、気が触れていると思われても仕方ないほど大胆な「ロードマップ」だ。とはいえ、たとえ市場は弱気相場にあると思う投資家でも、同氏の見解を頭ごなしに却下すべきではないだろう。

 同じく著名なテクニカルアナリストのラルフ・アカンポーラ氏は、1990年代に孤立無縁な状態で、ダウ・ジョーンズ工業平均株価は一旦7,000ドル、その後10,000ドルまで上昇するだろうと予測した。
 ちなみに、アカンポーラ氏は、一時引退生活していたが、今はスイスを拠点とするアルタイラ・インベストメント・ソリューションズに復帰している。
 同氏は、「2009年3月に始まった強気相場が依然として続いており、さらに上昇余地がある」との見方を著している。「この結論は、市場のコンセンサスには程遠い少数派意見ではあるが、逆張り投資家として、この見通しに自信がある」と主張する。
 同氏は、2011年の「上値目標」をダウ工業株30種平均で1万4402ドル、S&P指数1563とし、2007年の史上最高値を超え、もしくは、それに近い数字になると予想している。ただし、最終的に株式市場がどこまで上昇するのかについては言及していない。
 また、モントリオールにあるフェージズ&サイクルズ社の著名なテクニカルアナリスト、ロン・マイゼルス氏もビリニ氏とアカンポーラ氏のような楽観的な展望を描いている一人だ。同氏も1990年代にダウ工業株平均が1万ドルになると予想していた。そして、現在の市場は、この先何年も続く強気相場に入っていると考えている。
 「過去数か月間の動きは、強気相場にみられる伸び方であり、大天井の特徴的である一方向への行き過ぎた展開ではない」
 「強気相場ではないという見解や、特に、ここ22カ月間まん延していた弱気相場における回復上昇という見方は、もはや当てはまらないだろう」という。
 さて、筆者自身の見解だが、懐疑的楽観主義に立っている。これまでのところ、自分を含めた投資家の多くがこの強気相場の勢いに驚いている。
 とはいえ、今年の市場も、ポルトガルやスペイン危機などの影響を受け、2010年並みに調整局面があるのではないかと予想している。
 ただし、米国経済に徐々にエンジンが掛かり、また、連邦準備理事会(FRB)による政策金利の引き上げも当面はなさそうなことから、長期的に株式市場が上昇しない理由も見つからない。
 米格付け機関スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)エクティ・リサーチのチーフ・インベストメント・ストラテジストであるサム・ストーバル氏は、今年のS&P500種採用企業の1株当たり利益(EPS)見通しを96ドルと予想した。それにPERとして妥当と思われる15を掛ければ S&P指数が1440に達する。この先2年間の利益成長率が年率5%まで低下した場合、PER15倍 でS&P指数は2013年までに新記録の1587を達成することができる。
 楽観ムードは、通常、高いPER につながることが多いため、ビリニ氏が言う「最悪のシナリオ」1750でさえ、それ程、的はずれとは言えないかもしれない。一方で、米国株式市場にまだまだ上昇余地があるというのは、マーケットもしくは投資家の一般的な予想とはかけ離れたものだ。
 とはいえ、市場の先行きを占うことが目的でない。投資家は、自らの資産ポートフォリオにおける株式比率が望ましい水準にあるならば、株式投資を続けた方がよい、ということだ。
 ビリニ氏は、「何といっても、慌てない、そして、焦らないないことが大切だ。これは長丁場の上げ相場なのだから」と言及している。
 あなたが一年先の相場をどう予想しているかにかかわらず、これはとても賢明な助言だ。
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