これは31歳で見つかった私の膀胱癌のキロクです。

私と同じ病気で苦しむ人の、ほんのちょっとの参考になりますように・・・。

私の膀胱癌の経過状況はこちらです。


とうとう泌尿器科を受診することにした。

もちろん、膀胱癌だなんて思いもせず・・

ただ、膀胱炎によくなってたので、ひどくなったのかな・・・

というその程度の気持ちだった。


会社帰りに駅近にある新しい泌尿器科。

待合室は男の人ばっかり。(おじさんが多かった。)


女性は私だけ。

ちょっと緊張。


受付で「どうされましたか?」と訊かれたので

ちょっと小さな声で「血尿が出るので・・」と言ったのを

覚えている。恥ずかしいから。


すぐに検尿。

びっくりしたことに、その時に限って真っ黒な血尿が出た。

正直、こんな色の尿が検尿で出てきたら、検査する人も

びっくりするだろうな・・・と思ったくらい。


血尿は毎回出るわけでもなかったです。

突然普通の尿になったりもしてたので、たまたま病院に来た

ときに一番ひどい状態の尿が出たのでびっくりでした。


呼ばれて診察室に入ったら、50代くらいの貫禄のある

お医者さんが、顕微鏡を覗き込んでいた。

私の尿を顕微鏡で見てたみたい。


ひととおりの症状を話して、先生がまず言ったのは

「うーん・・・たしかに尿の状態を見たら、

出血と細菌が多いようだけど・・・なんだろうなぁ・・・

ちょっと薬を飲んでみようか・・・」

ああ・・このまま帰されちゃうのかな。。と思った。


と、そのとき、看護婦さんが私の検尿コップを持って現れた。

先生が覗き込んで尿の色を確認。先生は色を見てなかったみたい。

看護婦さんが、あんまりひどい色だから持ってきたという感じだった。


先生の表情は変わらなかったけど、

「やっぱり検査しよう。まだ若いし・・・まあ違うと思うけど念のため。」


そのときは、何が違うのかよくわからなかったけど、

とりあえず検査してもらえるのでちょっとホッとした。


隣の検査室で人生初の膀胱鏡検査をした。

モニタを見せてもらえなかったので、先生に何が見えてるのかは

わからなかった。

検査中は先生は無言。


検査後にしばらく待たされてもう一度診察室。

先生は、手紙みたいなものをサラサラと書いていた。


至って冷静に「検査したら、膀胱の中に腫瘍がありました。」と

言われて、「えっ」と言ったのを覚えてる。


「手術して切除しないと。ここでは手術できないから、

紹介状を書きます。どこか希望の病院はありますか?」


一瞬考えたのは「仕事忙しいのになぁ・・・大変なことになっちゃった」

だった。「腫瘍=癌」だなんて発想が1ミリもなかったから、

即座に仕事のこと考えちゃったんだと思う。。。


でも先生に「膀胱内にできた腫瘍は、ほとんどの場合は悪性です。」

と言われたとき、やっと「え・・・癌ってこと??」と思った。


ここから先生とどんな話をしたか、あんまりよく覚えてない。

覚えてるのは、先生の出身である大学病院を紹介されたこと。

そこには信頼できる先生がいるから、紹介状を持って早いこと

行くようにと言われたこと。

あと、先生が「念のため検査してみてほんとによかった・・・」と言ったこと。


取り乱したりはしなかったけど、ショックだったもんだから、ぼーっと

していたと思う。

気が付いたら封のされた紹介状を持って、電車に乗ってた。


電車の中では、ダンナさんや母になんて言おう・・・と考えてた。

もう仕事のことなんて忘れてた。


まだ、自分でも「自分が癌かもしれない」というのを受け入れられて

なかったから、「家族がどんなに悲しむだろう。心配するだろう」

ということは考えられなかった。


「どんなにびっくりするだろう。どうやったらびっくりさせないように

言えるだろう」ということを考えてた。

なぜか「びっくりさせてくない」という気持ちが強かった。不思議。


とぼとぼと、家に帰ってひとり。インターネットで検索。

検索キーワードは「膀胱癌」ではなく、「膀胱 腫瘍」。

そこには先生に言われたのと同じことが書かれていた。


『膀胱腫瘍は良性のものが少なく、ほとんどが悪性腫瘍、つまり膀胱がんということになります。』


とにかく早く手術しないと。

手術するってことは、家族や周りの人に黙ってることなんてできない。

まずはダンナさん言わなくちゃ。。。


きっと、びっくりするだろうな・・

そればっかり考えていた私。