今夜みたいな静かな夜の雨音の聞き方。
湯船に浸かって電気を消して、
少し窓を開ける。
窓の外も浴室も真っ暗で、
ときどき水滴の音が響いて、
その後ろでただじっと雨音が聞こえる。
真夜中の海にボートを漕いで出かけたら、
こんな感じかもなんて事を想像する。
ある果てしない空間をたゆたう。
いろいろ妄想していると、
だんだん意識が全く別のところにいって、
我に返るまで自分が浴槽にいることを忘れてしまう。
いや、忘れてしまうという表現は実のところ違って、どちらかといえばそれは別次元の出来事に近い。
この場合、どちらが現実でどちらが異次元かなんてあまり意味を持たない。
次の瞬間、大抵その時間の世界は消える。