帰り道にすごくいやな感じのするカーブがある。
押し迫る感じの、冷たくて重い渦が殺気立ったカーブだ。
間違ったら自分もあっちの世界へ行ってしまうんじゃないかと思うので、
いつも前だけをまっすぐ見て足早に通り過ぎることにしている。
そこを曲がってくる車を運転する人たちの顔なんて、
怖くて見る気もしない。
とにかくどんなに暑い夏でも、
いやな感じのする場所なのだ。
なのに今日は街灯とかそういった光の具合のせいで、
足元がよく見えてしまった。
目に飛び込んできたのは、きらきら光るいろんな色をした硝子の破片で、
白い色の花束まで視界に入ってきてしまった。
へこんだガードレールは車が一回や二回ぶつっかてできたようなものではなくて、
その光景と今までずっと感じていたいやな感覚がしっかりと結びついた。
明日からもまた、前だけを見て家路を急ごう。