どうも佐川です。





ことのはbox『おつかれ山さん』観てきました。







細部までこだわられた舞台セットと衣装がとってもリアルで懐かしくなりました。




最後のシーンが印象的で、照明や音響、セット全てが素晴らしくて、大好きな演出でした。

一つの小説を読んでいるような感覚になりました。






計4公演を観て、


動作や台詞のトーン、雰囲気が日に日に変化していき、



本番を迎えてもより良いものにしようとする演者の熱意で

まだまだ完成されずに進化を続ける作品で最後まで楽しめました。





結末を知った上で観ると

痛々しくて見ていられないような場面もありましたが、

それくらい、人間味のある冷たくも温もりのある作品でした。









以下、

「葉チーム」の皆様の個別の感想も記しておきます。


※ネタバレ有り









【田山役 齋藤舞佳さん】

今回の作品で、個人的に一番泣けたのが田山さんのシーン。
部活を理由に退学したり、おとなは汚いと思ってるあたりが昔の自分と重なって、目が離せない存在でした。
最初はずっと怒っているような印象でしたが、公演を重ねるに連れて、トーンが抑えられてよりリアルな感情が表現できているように見えました。
山口先生の家で、菊地さんには他の先生が付いてるのに、田山さんは最終的にひとりだったので、自分がそばにいて背中でもさすってあげたい気持ちでした。





【菊地役 渋谷有紗さん】

終始不安げな表情で、気の弱い感じが上手く表現されてました。
人に相談することすら悩んで、一人で泣いていたけど、それが先生たちに見付かってくれて良かったです。
首、きっと動くようになります。






【上野役 神尾りひとさん】

初めてみたとき、肌が綺麗すぎて「た、たまご…!?!?」ってなりました。
上野さんは可愛らしい感じだけど、あまり積極的に意思を出す子ではないのかな、と観てて感じました。
八方美人というか平和主義というか、そんな印象を受けました。
自転車をこぐシーンでは、手が震えていて本当に重そうに見えました。






【宮本役 時村雄大さん】

突然の両チーム出演、本当にお疲れ様でした。
喋り方や表情が優しくて、空気を読むのが上手な子に見えました。
ゴミ袋を被るあたり、相当お金がないんだろうけど、きっと暖かい心の持ち主。
山口先生の家に入るときに、坂本先生と目が合って会釈するところが好きです。





【野崎役 上入佐秀平さん】

見た瞬間に「アニメからそのまま出て来た人」だと思いました。
そしたら、人柄もアニメによくいる「主人公のクラスメイト」的なキャラクターで妙に安心感のある存在でした。
野崎みたいな人って、全然頼りないけど、いないと物足りない感じがします。





【城之内役 岩堀美紀さん】

登場した瞬間のインパクトが凄い。
悪い人ではなさそうだけど、機嫌によって物事が左右されそうなので、できればあまり関わりたくない人種。
強烈な親だけど、今時現実世界でも珍しくないのかもしれない。
「いい女抱いて…」で坂本先生が目に入ったときの表情が最高でした。
最後のシーンでは、髪もメイクもちゃんと変わっていて、豹変ぶりに圧倒されました。





【教頭役 阿部義久さん】

登場からずっと激しく動きまわってて、衣装が破れるんじゃないかとヒヤヒヤしました。
出番はそこまで多くないものの、全出演者の中で一番カロリーを消費してそうな勢い。
福田先生が相手してくれたとき、本当に嬉しそうで可愛らしかったです。
まともに仕事してる場面はありませんが、なんだかんだ愛されてる教頭なのかも…?






【岡島役 堺谷展之さん】

岡島先生は役的に難しい単語が多いのに、それをあれだけ噛まずに言えていて、単純に凄かったです。
特に中盤の長台詞のシーンは圧巻でした。
初日は「入ってよ」の直前の間がなさすぎる印象でしたが、最終的にはしっかり間があってとても良かったです。
人を見下すような冷たい表情や目線が上手く、声には抑揚があって、喋り方もいい感じにねっとりしてて、笑い方はうっすら悪魔っぽくて、めちゃめちゃキャラクターに合っていた気がします。
いつも冷静な岡島先生が、山口先生の家では菊地さんや大山先生を必死になって止めてる姿がおもしろかったです。






【福田役 竹之内麻里さん】

最初は、体育教師にしては覇気がない気もしましたが、観て行くうちにマイペースでのんびりしたキャラクターが可愛らしく思えました。
めんどくさがりにも見えるけど、いざとなると仲裁に入ったり、生徒を家に入れて話を聞いてくれるような、不思議な先生。
福田先生の「次は大山先生」という台詞がやけに引っかかったのだが、大山先生の前にも誰かが崩壊したということなのか…?
福田先生と岡島先生は大山先生の対応にも慣れてたし、何か知ってるのかと思わず勘繰ってしまいました。






【大山役 安齋彩音さん】

とにかく真面目で、自分のキャパシティに関わらず上に言われれば断れずに何でも引き受けてしまう、現代のイエスマンがよく表れていた気がします。
手を洗いすぎて手荒れがひどそう。
山口先生の机の物に触るときはマジで汚らわしくて嫌そうだったのに、普通に山口先生の席に座ってたところは、安齋さんがどうとかではなく、演出的にちょっと違和感を感じました。
終盤の「佐々木ィ〜〜〜」からの、のどちんこのくだりが強烈で良かったです。





【坂本役 杉本玲緒奈】

最初から最後までGTOの冬月先生でしかなかったです。
唯一まともなキャラクターですが、なかなか優しくて思いやりのある人柄なので、いつか担任を持ったときに親や生徒、環境に潰されてしまわないか心配です。
「ほぼ想像できます」の後の表情の切り替えが良きでした。





【佐々木役 沼田天音さん】

小柄で病弱な感じの彼が、人妻を孕ませるということに違和感しかなくて、最後まで信じ難かったです。
千秋楽の「すまん」が最高に震えていて、とびきりに良かったです。
城之内さんからの電話に出たままフリーズするシーンでずっと下を向いてましたが、初日だけはぎゅっとした顔で反っててとても可愛かったんですよ、沼田さん。
どうか、知子とタクヤくんを頼みます。






【知子役 篠田美沙子さん】

玲緒奈が出演した作品の中で、初めて玲緒奈以外で顔面から目が離せないほどの美人を発見しました。
マジで申し訳ないけど、初日はどうしてもビジュアルに目が行ってしまって、集中しづらかったし、他の人がバタバタしてるシーンでもずっと観察してしまった、、
声のトーンや喋り方、表情が柔らかくて、本来なら物凄く心地のいい妻だろうなと思いました。
相談してるうちに…っていう設定があまりにもリアルすぎてぞっとしました。
感情が高ぶった時の早口だったり、苦笑だったり、意味深な間や表情が上手な女優さんでした。
途中からタクヤの服を畳むシーンが追加されていて、地味な変化ではあるけど、個人的にはすごく良かったです。






【山口役 崎山新大さん】

山口先生にも崎山さんにも、とびきりの「おつかれ」を送りたいです。本当に。
どこにでもいるようなキャラクターではあるけど、全部に一生懸命でまっすぐで、回を重ねる毎に逆にその姿がしんどかったです。
劇団のみんなといる時の顔や、原始人の話が来た時の顔が、本当に嬉しそうで、子どもみたいでした。
最後のシーンは、まさに役者の本領発揮するような見せ場で、すべてはあの場面の為に積み重ねられていて、なんかもう、何とも言い難い感情になりました。
千秋楽での最後の台詞は、今まで聞いたことないくらいに、本当に大切に丁寧に発されていて、それを聞いて「本当に終わるんだ」と寂しくもなりました。
これからの山さんに幸あれ、と強く願います。







山口先生の家で次々に問題が明らかになる中で、劇団員に解散を告げられた瞬間が、山口先生の中では一番決定的な瞬間だったのではないかと、個人的には思います。


世間的には「妻が他人の子を孕んだこと」の方が重大そうだけど、山口先生には「演劇ができなくなること」の方がよっぽど大きいように見えました。




家庭を顧みずに演劇に夢中だった結果だから自業自得でもあるけど、演劇を中途半端にして家庭に集中するのが山口先生にとって幸せかと言われたら、そうでもない気がします。





この作品で「この時にこうしていたらもっとこうだった」とか「あそこではああするべきではなかった」とか色々考えるけど、それってそこを変えてもまた違うどこかが変わって、結局は一緒だったりして、簡素だけど人生や人間そのものを表す作品だと感じました。





どんなに一生懸命になっても報われないこともある。

自分にとって正しいことは、みんなにとって正解なわけじゃない。

好きな気持ちが大きいほど、生きる理由も生まれやすいし、失ったときの反動は大きい。

人の考えてることってわかったつもりでも実際は半分もわかれてなくて、でも、その欠片は日常のいろんなところに散りばめられてて、それに気付ける力はかなり大きいのかもしれない。









そんなことを考えた、素敵な作品でした。





この時世の中で最後まで公演してくださった演者様やスタッフの方々

本当にお疲れ様でした。