ありがとうって伝えたっけ | ポバコの日常

ポバコの日常

胸腺がんステージ4、2020年に余命3カ月と宣告されてから抗がん剤治療を経て奇跡の復活。しかし肝臓や骨の転移が見つかり抗がん剤や免疫療法を試すも効果なく治療終了。2度目の余命宣告をされたのでゆっくりお休み中。ハンガリー人の夫クリボーと現在日本で生活しています。

昨夜

死ぬかもしれないって

思った

 

そしたら

クリボーにちゃんと

ありがとうって

伝えなきゃ

写真整理しなきゃ

手紙書かなきゃ

って思った

 

抗がん剤の副作用で

リンパが痛いとか

話したけど

どうやら

首に作用するみたいで

 

昨日はとうとう

喉が潰れてしまった

 

 

おまけに食欲が落ち

体重はどんどん減っていく

 

もうほとんど動けなくて

ほんとにヤバいから

病院に電話して

抗がん剤服用を

中止にしてもらった

 

 

 

昨夜もう

死ぬのかなと思ったのは

 

喉が潰れて

ガァガァと

アヒルのような音が

咳をすると出て

ガァーーーオエッ

と吐きそうになった

 

ゴホンとしたいのに

ガーーーと鳴る

更に喉が狭くなって

息苦しく感じた。

 

呼吸が

できなくなるかもしれない

恐怖に襲われた。

 

 

 

夜22時に電気を消した

またガーと咳をした

更に喉が狭まった

 

パニックで急いで

クリボーの部屋へ行った

 

『大丈夫だよ

ボクがいるからね』

 

痰が出始めたので

喉を詰まらせないよう

水を飲み続けたら

深夜2時までトイレに

行く羽目になった

 

眠りたいのに

起き上がるのも辛いのに

トイレへ行く

 

隣のクリボーは

眠りにつくたびに

私に起こされた。

 

 

 

 

 

またクリボーが

眠りにつく頃

今度はアヒルみたいな

クシャミをしてしまった

 

グワッグワッ

 

クリボーは楽しそうに笑い

私のあごを

指で

ちょちょっと触った

 

 

愛

 

 

ああこの人は

出会った頃から

何も変わらない

 

ただ真っ直ぐに

1ミリの愛情も減ることもなく

私を大事に大事にしてくれる

 

私はどうだった?

私はこんなに優しく

愛せてる?

逆の立場なら?

こんなに献身的に

看病できるだろうか?

 

アスペルガーの

彼だからこそ

こんなに真っ直ぐ

私に愛情を

向けられるのかもしれない

 

子供みたいに純真に

 

私を失いたくない一心で

 

毎日毎日

変わらない愛情を

注いでくれる

 

 

愛

 

 

私は時にママのようで

時に孫のようで

 

コロコロと

役目を変えながら

クリボーと仲良く

暮らしていく