西遊記 | やるせない読書日記

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 私の家は商売をやっていたので日曜日、父は休みではなかった。


 多分、木曜日が休みだったので木曜日の午後、学校が終わってから映画につれていってもらったの


だと思う。当時、各駅に一つか二つは映画館があった。今で言えばビデオショップがそこらにあるような


ものだろう。上板から三つ目の大山に大山東映がありここは東映映画の封切り館だった。


 今、見るとどうか分からないがこどもには頭がしびれるほど西遊記は面白かった。多分、小学校の低学年


だったと思う。映画を観終わるととっぷり暮れていた。父親と二人でも何故か自分のテリトリーから遠く離れた


街は心細かった。東上線に乗ると上板とは反対に向かって電車が走っているような錯覚を覚えた。


 私は父が本当の父ではなく自分をどこかに連れ去ってしまうのではないかという暗い想像に酔った。


 だが電車はちゃんと上板橋に着き、私の危惧は杞優に終わったのである。