超こだわりの店 乱れ食い        伊丹由宇 | やるせない読書日記

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池袋に大門という居酒屋があり、時々のみに行っていた。西口を出てすぐの雑居ビルで


ごちゃごちゃしている一画の地下にある。入口も建物もきれいではないが、いつも満員である。


しかもオヤジばかりで若い女どころかオバサンでさえも客としてみたことがない。小汚い地下で


お運びのお姐さん二人を除いて四十人くらいのオヤジが赤黒い顔をして酒を飲んでいるのは一種


異様である。でまあ俺は一人で来ることが多く、散歩の帰りなどカウンターに座って飲むのだが、板場


は三人で年長の親父さんが煮込みで左側、真ん中に体格のいいお兄さんが刺身とか煮物、右側の眼鏡


をかけた若いお兄さんが焼き物の担当をしている。俺はまず手羽先ともろきゅう でホッピーを飲んで安逸


とした夕暮を楽しむのだ。ここの手羽先は油がしつこくなく美味い。そして煮込みを頼むのだが上品な味噌味


でうまい。変な店の生臭い煮込みとは大違いだ。


この本を読むと大門の煮込みが絶賛されていた。


三十年位前、筆者は偶然に茗荷谷で煮込みのうまい店を見つけ、その店に二百回は通った。ところが突然


の店じまい。その後渋谷で開店している店を発見するが渋谷での営業も直ぐ終わってしまった。そして池袋


で「名物煮込み鍋」の赤提灯を見てぶらっと入ると茗荷谷の店と同じ煮込みがあった。


さらにそこで「茗荷谷の店で修行した」店主の野崎栄次郎さんに、この煮込みのルーツをうかがう。


「私が茗荷谷の親爺さんのところで修行したのは三十年前。この煮込みは、秋葉原のある店で親爺さんは


習ったらしい。ウチと加賀屋さんが、この煮込みをやっているけど、みんな石川県の出身・・・・・・・・」


といって、石川にはこんな煮込みはないという。さて、お立合い私がかくも執着する煮込みの特長とは、


①土鍋で出てくる(ヴォリュームがあってかつ冷めにくい)。


②味噌スープの中にモツが潜む。


③豆腐入りである。(絹に限る)


さらにモツは鉄砲(直腸)しか使わないので臭くならない。味噌は特注の白味噌、さらに煮込み加減が色


だけで分るようになるまでの十年の年季などがここの煮込みを競馬の馬券売り場にあるような生臭い


煮込みとは一線を画しているのである。筆者は最高5杯食べたそうである。


本で絶賛されるとた普通に食べていた煮込みがものすごく大したものに思えてくるから不思議である。


筆者は音楽のライターもやっていて、ジョン・レノンの「ロックン・ロール」のライナー・ノーツも筆者。


東京編、関東編、他都道府県と分かれているが、俺はこの手の本は自分が実際に行ける地域のも


のしか読まないことにしている。鶯谷のマムシ料理も掲載されている。これも俺実際いったことがある


がここは「うまい」という部類には入らない。どうしてもマムシの生臭さが消えない。


バーからホルモンまで色々東京の店が掲載されているが気になっているのが足立区の大松である。


他の情報によるとここのモツを喰いたさに足立区まで引っ越してきた人もいるらしい。ネットにもよく


のっている。豚モツ専門で一人2,000円もあれば十分酔っぱらえるそうだ。


う~ん。行ってみたい。