たくさんの蟻がいる。
食べ物を出しておくと直ぐに群がる蟻。
こっちの蟻は半端ない。
直ぐ大群で押し寄せる。
蟻は「全く抜け目がない」とずっと思ってた。

気づくと、洋服ダンスの中の服にまで蟻がいた。
払っても払ってもまた次の日には蟻が発生している。
洋服ダンスの中には彼らの食べ物などない。
なのに何故、こんな所にも蟻が毎日来るのか??

水を入れたコップを机の上に一晩おいておくと、
翌朝、コップの中の水には必ず蟻が入っている。
自滅覚悟で水にも突っ込んでいくのか?
それとも蟻ものどが渇くのか?
蟻って水が苦手じゃなかったのか?

自宅の台所に菓子パンのかけらを置いておくと、
ものの数秒で1匹目の蟻が近寄ってくる。
何故そんなに気づくのが早い?
あんなに小さい体で、
さほどたいした機能がついているとは思えない。

蟻が冷蔵庫の中にも来てたときには本当に驚いた。
しかもバターに群がっている。
むむぅ、バターがごま塩入みたいになってるぞ。
しかも君たち、動けなくなって死んでるではないか。
冷蔵庫は蟻が来ない聖地だと信じてたのに・・・。
変なホラー映画か?

彼らはいったい・・・。

ある日、
タンスの中の服に相変わらず群がってる蟻を見てふと気づく。

ああ、そうか、
蟻は食べ物にありつくために常に探しているだけなんだ。
「見つかるまで探す」
「とにかく歩き回る」
「いつも探し続けているから必ず食べ物にありつける」
タンスの中、台所、風呂場、机の上、ベッド、コップの中・・・。

彼らは「抜け目がない」のではなく、
小さい体でたいした機能もないので、四六時中、
命を犠牲にしながらも、歩き回り、探し続ける事しかできない。
いや、たいした機能もないので日々探し続けることができる、
と言うべきか。
しかし、とにかく日々探し続ける。
仲間が死んでも探し続ける。
彼らにできる事。
一つのことを出来るまで続けること。
そして、彼らは、必ずやり遂げる。

もう蟻を見ても潰せないなぁ。

感謝。