Costas Cotsiolis Plays Un Dia De Noviembre Leo Brouwer live

 

 

Greek classic guitar player Costas Cotsiolis plays Un Dia De Noviembre by Leo Brouwer live At Chech TV 1994

 

 

作曲者、指揮者としても大活躍のキューバ出身のギタリスト、レオ・ブローウェルの比較的新しい作品です。近年のスタンダードと言っていいほど人気の高い美しい曲で、多くのギタリストがコンサートのプログラムに取り上げています。ブローウェルは現代ギター界のリーダーとして世界的な音楽活動だけでなく、重要なギター作品を書き続けています。彼の作風は非常に幅広く、前衛的な現代音楽風のものから、キューバの民謡を題材にしたポピュラー風のものまであらゆるスタイルのものが含まれています。

「CD付き 気楽にクラシック・ギター」津田昭治・江部賢一 株式会社ヤマハミュージックメディア 2005年より

 

 

 

私は2006年あたりに、初めてクラシック・ギターを購入しました。エレキとアコギ(所謂フォークギター)は中一から弾いていて、クラギはギター教室に通っていた友人から借りたりしていた時期もあったけど、なぜか自分では所有していませんでした。

 

初めてクラギを買おうと思い立ったきっかけは、せっかくイエスの楽譜を持っているんだから、スティーヴ・ハウの「ムード・フォー・ア・デイ」を完コピしておきたいという動機、、だった気がします。中古国産の安物クラギを買って一週間くらいで譜面どおりには一応弾けました。

 

Mood for a Day (2008 Remaster)

 

 

Mood for a Day (2008 Remaster) · Yes Fragile

℗ 1972 Atlantic Recording Corporation

Acoustic  Guitar: Steve Howe

 

雰囲気の耳コピで長年弾いていたので、そんなに難しくはなかったです。ギターの楽譜、というか「教則本」では一応の目安として「初級」「中級」「上級」の三つに振り分けられる事が多いです。「Mood for a Day」は難易度的には「初級の上」くらいでしょうか。明確な基準はないけれど、そういう分類は譜面どおりに弾くときの難易度というか、ギターを初級から始めた人が、どの順番に弾いて行けばいいかの目安として記されている場合が多いです。だから、教則本の「難易度」には個人差などが大きいです。

 

で、せっかくクラギを買って、一曲くらいはそれなりに弾けるようになって、さあ次に何を弾いてみようか・・・と思った人に人気があるのが、上掲のブローウェル作曲「11月のある日」(Leo Brouwer 『Un Dia De Noviembre』)です。

 

ネット動画で検索するとプロからアマチュアまで色々な人の演奏を観る事ができます。取っつきやすくて、良いメロディーで、ちょっとトライ感も得られる、そんな曲です。

 

 

私は、クラシック・ギターの教則本に付属している「模範演奏CD」がけっこう好きです。トップ・プロの個性的で独創的で芸術的な演奏ではなく、音符を一つ一つ追っていく目的で、アマチュアが参考にするために演奏された付属CDの音楽は、面白味に欠けると思われる人も多いでしょう。正直、「これって『模範』演奏なの?」と思うような『模範』とは聴こえない演奏もあります。だが、それが面白い。

 

そして、作曲者が意図していた「音符」そのものに、良い意味で素直で実直な「好演」を聴けることも意外にあります。村治佳織さんや、木村大さんや、福田進一さんのような、日本を代表するギタリストの演奏よりも、実は「ずっと好き」な「教則本CD演奏」がけっこうあったりします。あくまでも私個人の感想ですけれど。

 

ジャズ・ギターの「教則本CD」は、それ自体であまり面白いと感じたり、CDそのものを愛聴するくらいの演奏にはまだ出会えていません。なんだか不思議だけど理由もありそう。ジャズはやっぱり一流のギタリストの個性に多くを拠っている音楽だからなのか。そして、クラシック・ギターで弾く事を想定して作られている楽曲の方が、「楽譜」に記された音符自体に汎用性があるのか・・・と、ちょっと思ったりします。

 

遠方へのマラソン大会参加の帰路では、パット・メセニーのギター曲をよく聴きます。そして、そういう気分のときには、この「11月のある日」はトップ・プロの芸術性の高い演奏よりも、教則本CDの方をよく聴きました。2010年頃でしたかね、長野マラソンの帰路で、長野県飯田市から岐阜県中津川市に抜ける山道で聴いた、教則本CDの「11月のある日」は、今までの「旅」の中でもかなり印象に残った「音楽」でした。天上界を後にして「下界」「奈良の住み処」へ帰る郷愁と疲れが混ざった心境で、旧中山道の宿場町、馬籠宿あたりで夕暮れ時に聴いた「教則本CD」が、ホントに良かったんです、、

 

 

 

「11月のある日」を練習するときに、私は教則本の付属CDを参考にして演奏してみました。楽譜どおりに、なんとか、それなりに? は弾けるようにはなりました。自分としてはそこで満足してしまって、以後は教則本で「中級」と記されている楽曲を何曲か弾いてみて、一曲を除いて途中で弾くのをやめてしまいました。やはり「基礎の基礎」が出来ていないとクラギは納得の行く所までは行けないと痛感しました。(ただ唯一の例外は、以後5年間弾き続ける事になるアンドリュー・ヨーク「サンバースト」でした。この曲を自分なりに納得が行くまで弾けるようになるために、国産の新品クラギに買い替えたりもして。)

 

でも、2013年くらいから、またエレキをメインで弾くようになったのでクラギを弾き込むという事は、あの時期以来はあまりしていません。

 

 

昨年末の大掃除をきっかけに、断舎利というか、大量の書籍、雑誌、カセットテープ、MD、DVDなどを整理、処分していました。その中で2006年に自分で弾いて自分で録音した「11月のある日」のMDをみつけて、つい先日聴いていたら赤面してしまいました。まあ、それなりに弾けてはいる(?)とは思うのですが、演奏が前のめりで力が入り過ぎていて、聴いていて「恥ずかしい」という気持ちと、「もっと落ち着いて弾けよ・・・」と、過去の自分に言ってしまいました。たぶん当時は、自分ではトップ・プロのような流麗な弾き方をイメージして悦に入っていたんだろうなあ・・・と思いました。

 

そんな時に「教則本付属CD」のような良い意味で「実直」な所に立ち返って、落ち着いた、丁寧な演奏というのを聴きたくなります。上掲のギリシャのギタリスト、Costas Cotsiolis氏の演奏は、そういう私にとっては、聴いていてとても心地よく、そして、また自分で弾いてみる時には参考にしたいと思った演奏でした。

 

聴いていて「凄い!」と驚嘆する演奏と、何度も繰り返して聴いていたいと思う演奏。この「11月のある日」というギター曲は、私にとっては後者のようです。

 

 

ちなみに、Costas Cotsiolis氏の演奏で「凄い!」と思ったのは、コレでした。

(「姓」「名」表記が逆だけど、同一人物だと思います)

 

Cotsiolis Costas - Sonata Ginastera Scherzo ( Live )

 

 

 

アバンギャルドでもあり、プログレでもあるかも、、

 

 

 

「11月のある日」といえば、やっぱり大萩康司さん。

 

Yasuji Ohagi plays Un Dia de Noviembre

 

 

 

こちらは文句なしに「凄い!」「素晴らしい!」という演奏ですね。

自分には絶対にマネはできないけれど・・・