しあわせの一番星 浅田美代子

 

 

 

 

 

 

浅田美代子さんのシングル曲としては5作目になる『しあわせの一番星』です。作詞は、安井かずみさん。作曲・編曲は、筒美京平さんです。

 

浅田美代子さんの全てのシングル曲(B面も含む)で、私は一番くらいに好きな曲です。『しあわせの一番星』は1974年3月1日発売の曲です。この曲の発売は、浅田さんのデビュー曲としてオリコン1位になり、80万枚を売り上げた『赤い風船』(こちらも作詞は、安井かずみさん。作曲・編曲は、筒美京平さん)から約1年がたっております。

 

浅田さんが『赤い風船』で歌手デビューする時に、作曲者の筒美京平さんは「現代の童謡」という、それまでの日本の歌謡界では「手つかずの領域」とも言えるコンセプトで、この楽曲を作られました(以後も筒美さんは浅田さんに対しては、その路線を踏襲され、深めて行かれました)。そして、見事に大ヒットしました。『赤い風船』は年末のレコード大賞・新人賞を獲得し、年間売上も1973年の全ての楽曲で10位に入るヒットとなりました。大人気テレビドラマ「時間ですよ」の中から生まれた曲なので、国民的大ヒットと言えると思います。

 

浅田さんの歌手活動は『赤い風船』が発売された1973年4月21日から、昭和では最後のシングル曲となった10作目の『この胸に この髪に』が発売された1975年10月21日まで、足かけ約3年の期間がありました。決して『赤い風船』だけの歌手活動ではなかった事が伺えます。

 

そして『赤い風船』以来のヒット曲として、5作目の『しあわせの一番星』がオリコン7位、年間62位の中ヒットとなったので、意外と長く歌手活動を続けられたように思われます。歌があまり上手くない浅田さんが、それほどまでに「歌手」として成功した事と、『赤い風船』『しあわせの一番星』などの楽曲が広く支持されたのは、作曲者の筒美京平さんの作曲家としての「職人技」が発揮されたからだと、私は思っています。

 

 

 

しあわせの一番星 【浅田美代子・西城秀樹】

 

 

 

 

 

『赤い風船』という意外と歌うのが難しい楽曲。しかし、おそらくは筒美さんの音楽家としての「こだわり」が込められた楽曲から1年後に、筒美さんは今度は『赤い風船』とはまた少し違う、浅田美代子さんの自然な歌声の良さを十二分に引き出した『しあわせの一番星』で、再びヒット曲を生み出されます。

 

テレビドラマ『寺内貫太郎一家』で、西城秀樹さんと一緒にリラックスしたデュエットで歌われる、浅田美代子さんの歌声。そして優しい歌詞と、どこまでも穏やかで温かいメロディ。良い時代だったんだなあと思います。私がまだ物心がつく以前の時期ですが。

 

 

 

2020年10月7日に、作曲家・編曲家の筒美京平さんが、お亡くなりになられました。享年80歳でした。

 

謹んで御冥福をお祈りいたします。