ミュージカル「オン・ザ・タウン」(東京文化会館)2019.07.27 | 今日もこむらがえり - 本と映画とお楽しみの記録 -

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備忘録としての読書日記。主に小説がメインです。その他、見た映画や美術展に関するメモなど。

 

佐渡裕芸術監督プロデュースオペラ2019

ミュージカル オン・ザ・タウン ON THE TOWN

http://www.gcenter-hyogo.jp/on-the-town/

 

音楽:レナード・バーンスタイン

台本・作詞:ベティ・コムデン、アドルフ・グリーン

原案:ジェローム・ロビンズ

 

指揮:佐渡裕

演出:アントニー・マクドナルド

振付:アシュリー・ペイジ

 

《出 演》

ゲイビー:チャールズ・ライス

チップ:アレックス・オッターバーン

オジー:ダン・シェルヴィ

アイヴィ:ケイティ・ディーコン

ヒルディ:ジェシカ・ウォーカー

クレア:イーファ・ミスケリー

ワークマン1、ピトキン判事:スティーヴン・リチャードソン

マダム・ディリー:ヒラリー・サマーズ

ルーシー・シュミーラー:アンナ・デニス

ダイアナ・ドリーム、ドロレス・ドロレス、老女:フランソワ・テストリー

 

会場:

東京文化会館 大ホール

 

 

またまた時間が経ってしまいましたが、7月は「王様と私」に続いてもうひとつ、ミュージカルのチケットを買ってありました!1944年にボストンのコロニアル・シアターで初演されたレナード・バーンスタインの初の舞台作品。そしてバーンスタイン最後の弟子のキャッチコピーの佐渡裕さんのプロデュースオペラの15作品目。バーンスタイン生誕100周年メモリアルの締めくくりに向かうイベントです。超激務シーズンにバーンスタイン、そして佐渡裕プロデュースというだけで、内容も確認せず取り合えずチケット確保して、その後色々あったので実際に劇場で公演前に開いたプログラムで初めてあらすじを確認。

 

1940年代のエネルギッシュな大都会ニューヨーク。世界はまだ第二次世界大戦の最中にあります。ブルックリンに停泊する軍船から、3人の水兵、オジー、チップ、ゲイビーが登場。24時間の上陸許可をどうやって過ごすか、とにかくマンハッタンの観光名所を巡りたい!イケてるニューヨーク女性とデートしまくりたい!とウキウキワクワク。あれ、この設定、そして3人が歌う《ニューヨーク、ニューヨーク》の楽曲!間違いない!そう、大好きなジーン・ケリーが、フランク・シナトラと共演したミュージカル映画『踊る大紐育』のオリジナル舞台版!映画の方は邦題でインプットされていたから、うっかり気が付いていなかった・・・!なんて嬉しいサプライズ!

 

映画のレビューはこちら:

https://ameblo.jp/pmds90l80/entry-12323945254.html

 

ついでにミュージカル映画のインデックスもあります:

https://ameblo.jp/pmds90l80/entry-12316207615.html

 

自分の『踊る大紐育』の記事を読み直したら、しっかり「舞台版も観てみたい」なんて書いてあるじゃないですか(笑)。自覚せず、夢かなえましたよー。映画も大好きですが、舞台もサイコウ!映画では、商業的戦略からバーンスタインの音楽は結構カットされてしまったのですが、舞台版はオールバーンスタイン!テンポ、勢い、哀愁、ストーリーと世界観に完璧にマッチ。バーンスタインってどんんだけ天才なんでしょう。

夢想シーンなどで繰り広げられるバレエシーンの音楽と振付も素敵。

 

乗り込んだ地下鉄で「6月のミス改札口」アイヴィのポスターを見て一目惚れしたゲイビーの為に、親友チップとオジーは自分たちのやりたいことを後回しにして、協力して夜までにアイヴィを探し出してゲイリーにデートをさせてあげよう!ということになり、手分けしてそれぞれ捜索開始。なんてキュートな男の友情( *´艸`)。でも、一筋縄ではいかず・・・思いがけない出会いと偶然と展開がどんどん進んでいきます。退屈する暇なんてないのです。

 

チップはタクシー運転手のヒルディに強引に逆ナン?されて、オジーは美術館と間違えて入った自然史博物館でお堅い学者かと思えば実は奔放な情熱家のクレアと出会い、ゲイビーの恋の応援のはずがあれあれ、おかしな顛末に巻き込まれていく2人。戸惑いながらもなんだか楽しい。でもゲイビーのことも気になる。そしてゲイビーは案外あっさり本物のアイヴィと出会えちゃったり。そして不思議で愉快であわただしいグループデートが実現?!

 

話の筋は映画版『踊る大紐育』とほとんど同じ。面白いのはお墨付き。そして当然、舞台ならではの楽しさが満載。この舞台、まっさきにアントニー・マクドナルドさんに演出をお願いしたいと思ったと佐渡裕さんが公演プログラムの挨拶文に書かれていますが、そのお気持ち、よーくわかります。本当に演出が楽しい。素晴らしい。切なさとユーモアとのバランス最高です。楽しくて、そしてふと、背景にある戦争や呑み込まれてしまいそうな時代の渦のようなものの気配も感じさせられて、だからこそ今目の前の饗宴や出会いと交流の温かさがより一層際立ちます。

 

個人的に大好きだったのが、映画では1度しか出てこない、地下鉄でアイヴィのポスターを剥がして持ち去ってしまうゲイリーたちに「ちょっと、あなたそれは泥棒よ!」と叱るお婆さん。おまわりさん、おまわりさーん!と曲がった腰もなんのその、どこまでも3人を果敢に追いかけていきます。このお婆さんの正義感は相当強いらしく、まったくあきらめません。いろんな場面で、ちょいちょい出てきてはずっと3人を追いかけ続けるんですよー。そして、毎回必ず最後は追走するお巡りさんたちに両脇抱えあげられて、その体制で足を大車輪のようにコギコギ。なんて元気で楽しいおばあちゃん!彼女、最後の最後まであきらめないので、だんだん「出てくるかな、そろそろまた追いかけてくるかな」と楽しみに( *´艸`)。

 

クレアの婚約者ピトキン判事が、目の前で婚約者が見ず知らずのオジーとイチャイチャしていても、婚約記念のディナーのはずがクレアはグループデートで夜の街をあちこちうろうろ、その行く先々で「あなた、お会計はよろしくね♡」なんていう酷な扱いを受けても《I Undarstand》(君のことはわかっているよ)、とすべて受け入れる寛容な大人の態度を貫ていたけれどついに最後にはたまらなくなって「I DON'T Understad!」と物分かりのいい自分と決別するくだりもいいですねぇ。

 

基本キャラは全然違うのですが、自分の本音を胡麻化してやり過ごすことで愛を守ろう、理想の結婚という幻想に依存しようと一所懸命な夫という広い意味での類似でミュージカル『シカゴ』の、ロキシーの夫エイモスと彼の名曲《Mister Cellophane》を思い出しました。クレアとピトキンは、もっとあっけらかんと楽しい雰囲気がありますけれどね^^。殺人事件も起きませんし(苦笑)。

 

そして一番ヒットしたキャラは、アイヴィの歌の先生、マダム・ディリー!アル中のマデム・ディリーの支離滅裂な言動や無駄にドラマチックな自己演出力。そしてちょいちょい、台風の目になっても本人はまったくブレない。とにかくお酒。すべてはお酒。登場シーンからもう心わしづかみです。バロック音楽から現代音楽まで世紀を超えてレパートリーを持ちオペラにも出演すればバンドミュージックのツアーにも参加するというヒラリー・サマーズさん、一瞬でファンになりました。

 

他にも、たくさん、たくさん、楽しい場面、印象的なシーンがあって、この記事をアップしてから「あっあれもあった!」と思い出すことも山ほどあるに違いないのですが、キリがないのでこの辺で。長々とお付き合いいただき(しかも終わってしまった公演なのに)有難うございました。やっぱりエンターテインメントっていいですねぇ♪また色々、アンテナ広げなくちゃ。

 

去年から世界中でイベント盛沢山だったバーンスタイン生誕100周年メモリアル。時間とお金の制約があったり思いがけない病気や転職があったりでこの1年は思うようにエンタメ参加できなかったのですが、それでもそれなりに色々楽しめたなぁ、とちょっと振り返り。

 

私のバーンスタイン生誕100周年イベント、まずはシアターオーブでのミュージカル公演「ウエスト・サイド・ストーリー」で幕開けでした。

https://ameblo.jp/pmds90l80/entry-12295476333.html

 

そしてNHKホールで佐渡裕さん指揮のトーンキュンストラー管弦楽団による記念公園。

Aプログラム

https://ameblo.jp/pmds90l80/entry-12378576095.html

Bプログラム

https://ameblo.jp/pmds90l80/entry-12378553078.html

 

英国ロイヤル・オペラ・ハウスのスペシャルプログラム「バーンスタイン・センテナリー」を映画館で堪能。バレエを通じてバーンスタイン。素敵だったなぁ・・・このプログラムは先日WOWOWでも放映していたので録画して永久保存♪

https://ameblo.jp/pmds90l80/entry-12382573344.html

 

そして、ミュージカル「オン・ザ・タウン」でたぶん締めくくりでしょうか。振り返ってみると、ミュージカル、音楽、バレエ、少ない参戦の割にはいろいろな角度からバーンスタイン100周年を楽しむことができたような気がします!ありがとう、バーンスタイン。そしてBlogのおかげで、忘れっぽい私も自分で時々振り返ってあの時の感動を思い出すことができるシアワセ。今週もまた頑張りましょう~。