マリアンヌ | 今日もこむらがえり - 本と映画とお楽しみの記録 -

今日もこむらがえり - 本と映画とお楽しみの記録 -

備忘録としての読書日記。主に小説がメインです。その他、見た映画や美術展に関するメモなど。

2016年 アメリカ
監督: ロバート・ゼメキス
原題: Allied
 
 
~ 美しくて切なくて哀しくて号泣、正統派で魅せる実力 ~
 
WOWOWにて録画鑑賞。ロバート・ゼメキス監督にブラピにマリオン・コティヤール。豪華な顔ぶれだこと~と思ったらその字面の通りに豪華で美しくて切ない正統ラブロマンス&サスペンスでした。キャスリン・ターナーの「ロマンシング・ストーン/秘宝の谷」とか、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」三部作とか、ジョディ・フォスターの「コンタクト」とか、ゼメキス監督の作品にはお気に入りのものが結構多いです。
 
 
第2次世界大戦下の1942年、モロッコのカサブランカから物語は始まります。カナダ出身の諜報部員マックス・ヴァタン(ブラッド・ピット)とフランス人レジスタンスのマリアンヌ・ボーセジュール(マリオン・コティヤール)は夫婦を演じ、共にカサブランカのドイツ大使暗殺作戦に参加します。緊迫感溢れる命がけのミッション。熱愛夫婦であると周囲に信じ込ませる演技にリアリティを持たせる為の作戦や互いの呼吸を探り合う会話もまたスリリング。それがこの美しい2人で、WW2中のカサブランカというシチュエーションだから尚更にノスタルジックで美しくて目が離せません。
 
戦争、カサブランカ、レジスタンス、訳あり男美女の悲恋・・・となると必然、往年の名作「カサブランカ」が思い出されます。いや、実際同時代、同時期、同場所が舞台になっている訳ですが。もちろん「カサブランカ」とはまた別の物語ですけれど、何十年も前に作られた(当時は)モノクローム映画が21世紀に製作された映画の世界にオーバーラップして、ハンフリー・ボガードとイングリッド・バーグマン、ブラッド・ピットとマリオン・コティヤールの2組のカップルが同時にいるカサブランカ、を空想すると益々この映画の世界観が味わい深いものに感じられてきます(*'ω'*)。
 
 
作戦実行日の前夜、緊張と興奮で落ち着かないマリアンヌを砂漠のドライブに誘うマックス。砂漠の夜明けを一緒に眺めながら心の距離を縮めて互いの魂を寄り添わせる2人。どこまでも広がる砂漠の映像も美しい。そうそう、言い遅れましたがこの映画のオープニング、任務に着任するためにモロッコへやってきたマックスが機上からパラシュートで砂漠に降下するシーンも印象的で、映画のオープニングに相応しいワクワクドキドキ感を演出。そして砂漠が美しい映画、というとニコール・キッドマン主演の「アラビアの女王 愛と宿命の日々」も思い出しました^^。
 
 
- 男が皆僕に嫉妬している
- 当然ね。私があなたに恋をしているんだもの。
 
- 感情は偽らないことにしているの。それが今まで生き延びている秘訣よ。
 
- この仕事で「腕利き」って、嫌なことね。
 
- フォークを使ってでも殺してみせるわ。
 
カサブランカ編でのマリアンヌとマックスの会話、特にマリアンヌの台詞には印象的なものが多いです。その台詞の裏にある説明しきれない沢山のもの、マリアンヌの表情、間合い・・・映画を観ている私たちも、マックスと同時進行的にマリアンヌにどうしようもなく惹かれていく感じ。流石の演技力。
 
 
難しい任務をやり遂げ、共に生き延びた2人。ロンドンへ戻ったマックスはマリアンヌを呼び寄せて親しい人たちに祝福されて結婚します。「仕事一筋の堅物な兄がついに恋に落ちた」「作戦がきっかけの結婚なんて上手くいくわけがない」と妹や同僚に冷やかされたり揶揄されたりも甘い幸福にとろけきってる2人にはどこ吹く風。マリアンヌはレジスタンス活動を辞め、専業主婦として夫を支え、家庭で家事をこなしたり得意の水彩画を描いたりという生活へ。
 
 
相変わらず戦争は激化の一方でロンドンも度々空襲にみまわれる不穏な世の中ですが、2人の間には美しい娘も誕生し、ロンドン郊外のハムステッドでの生活は、夫の不在がちや軍部からの呼び出しや空襲警報の不安と常に隣り合わせではあるものの、幸せに満ちた平穏な日々。結婚後はマックスも内勤になっていましたが、そのうち特殊任務を管轄するVセクションに呼び戻されるのではないかという噂もありましたが・・・マックスに突き付けられたのは、最も思いがけなかった言葉でした。
 
 
マックスの妻のマリアンヌは、ドイツのスパイである。
 
マックスにはとうてい信じられない、あり得ない疑惑。マリアンヌの無実を証明するためにも、彼女を罠にかける作戦を実行しなければなりません。万が一マリアンヌのスパイ容疑が確定した場合は、自らの手で彼女の存在を消さなければならない・・・結論が出るまでの72時間。スパイ容疑だけでなく、マリアンヌが本物のマリアンヌ・ボーセジュールではないという疑いまで浮上します。妻を心から愛するマックスのとった行動、そしてマリアンヌの事実・・・。
 
特別奇をてらったところや目新しさはない、ごくごく正統なラブロマンス&サスペンスですが、それを舞台装置(役者も含め)の豪華さと内容の密度をしっかりと確保してキチンと魅せる、というのは奇想天外な映画を作るよりもある意味難しいのではないでしょうか。どっぷり世界観にはまり込み、最後は予想がついていてもあまりにも切なくてたまらなくて、お酒も飲んでいたのでソファでワンコを抱っこしながら号泣でした。あぁ、スクリーンでも観たかったなぁ。
 
とにかく主役の2人と映像が美しくて酔いしれちゃう映画ですが、脇を固める役者さん達もみんな素晴らしかったです。特にお気に入りは、マックスの妹でレズビアンのブリジット(リジー・キャプラン)と、気難しい偏屈オヤジのようで実は心優しいマックスの上司フランク( ジャレッド・ハリス)です^^。ありがちなメロドラマ、とタカをくくらず機会があれば是非どうぞ、とお勧めしたくなる映画でした。一度観て全てわかった上で、もう一度最初から観るとマリアンヌの台詞や表情のひとつひとつがさらに深く、意味深で、1回目と全然違って観えてくるという醍醐味もあります。
 
余談ですが。スクリーンで観たかった、と残念な気がしましたが、実はその残念さが何割か削減できる秘密兵器を最近手に入れました( *´艸`)。それはサラウンド・ヘッドフォン!

去年・・・いやもう一昨年か。不測の事態によりBlu-rayレコーダーと4Kテレビを買い替えた時に家電に詳しい友人にヨドバシに付き合ってもらったのですが、その際に教えてもらってずっと指を加えていたのを「知らない間にがん完治しちゃったお祝い」というこじつけを得てとうとう購入!2017年のモデルで、それより新しくてお値段も買いやすい2018年モデルもあったのですが、チャンネル数が7.1chにダウン・スペック。どうやら9.1chのがハイスペックが故に高すぎてあまり売れなかったので少し廉価なものを発売したようです。

 

最初は7.1chの方でもいいかなーと思ってヨドバシに行ったのですが、店員さんの説明を聞いているうちに、やはりその2ch分が勿体ないような気がしてきて・・・一昨年はまだ確か5万円近くしていたのですが値段も大分下がって2018年モデルとの差も縮まって大分買いやすい値段になっていたしテレビ&Blu-rayレコーダーを買った時のポイントも残っていたので、思いがけずお得なプライスでゲットできてHappy♪

 

マンションだし、色んなWiFi電波が飛びまくっているのでたま~に電波干渉してしまうのが玉に瑕ですが(少なくする方法はあります。一軒家や立地によっては全然気にならないようです。こればっかりは買ってきて使ってみないと確かめようがないですよね)、夜遅くでも気にせず映画が楽しめるし、音響も立体的に聞こえて台詞もクッキリ。映画だけでなくクラシック・コンサートやオペラの音楽も別格!ヘッドフォンの耳にあたる部分も柔らかいクッションがふかふかで、2-3時間装着しっぱなしでも疲れません。4Kテレビとサラウンド・ヘッドフォンで、自宅での映画鑑賞が益々充実なのでした。ふふふ。嬉しさのあまり余談が長くなって失礼しました^^;。

 

 

※戦争関連の映画まとめ、第二次世界大戦②にこの映画も追加しました。

 

 

 

 

マリアンヌ [Blu-ray] マリアンヌ [Blu-ray]
1,349円
Amazon