『クレーの絵本』 パウル・クレー 著 / 谷川俊太郎 著 | 今日もこむらがえり - 本と映画とお楽しみの記録 -

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備忘録としての読書日記。主に小説がメインです。その他、見た映画や美術展に関するメモなど。

 

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昨年の「オットー・ネーベル」展をきっかけに興味を持って、『もっと知りたいパウル・クレー 生涯と作品』を読んで益々好きになった最近気になる存在、パウル・クレー( *´艸`)。本屋さんでもつい目がいってしまいます。そんなわけで、見つけたこの本。表紙があの黄金色のお魚さんというのもポイントですよね。

 

若い頃からクレーの絵に刺激を受けて詩を制作していたという詩人の谷川俊太郎さん。クレーによる40点の絵と、クレーの絵に添えられた谷川俊太郎さんの14編の詩で構成された、美しい絵本です。クレーのお気に入りの作品、展覧会や画集で観たことのある作品、初めてみる作品。それに字面もリズムも音も美しい優しい谷川俊太郎さんの詩。クレーの絵も、谷川さんの詩も、同じように視覚にも訴え、リズムを持ち、ふかい、ひろい、世界に繋がる入り口。

 

全ての絵に詩が添えられているわけではなくて、特別説明もないのがほんの少し寂しいような気もしますが(ビデオコメンタリーのように、ご本人のコメントを同時に聴きたいような無理な欲求が湧いてしまいます^^;)、それだけに想像の余白がたっぷり広がって、その時々、自分だけの世界に浸ってどっぷり楽しむという贅沢な喜びが(*‘ω‘ *)。

 

詩が添えられた絵は、自分が最初にその絵を観た時の印象、谷川さんの詩から受ける印象を比べたり、谷川さんがその絵から何を感じ取ってこの詩を生み出したのかと想像したり、ではクレーはこの絵を描いているとき、どんなことを考えていたのだろう、という想像に転じたり。ひとつの絵、ひとつの詩を軸に何枚も鏡が重なったどこまでも果てのないワンダーランドを気ままに散策。

 

これは是非、皆さんそれぞれが手に取って、その時感じるものを味わって頂きたいので内容についての細かい解説や紹介は野暮かと。でも、自分の備忘メモというのがそもそものBlogの目的でもあるので、厳選した3点の詩の、それも一部分のみ、ここに記載しておきます。

 

パウル・クレー 《黄金の魚》 1925年 ハンブルク美術館蔵
 
いのちはいのちをいけにとして
ひかりかがやく
しあわせはふしあわせをやしないとして
はなひらく
どんなよろこびのふかいうみにも
ひとつぶのなみだがとけていないというこもはない

パウル・クレー 《死と炎》 1940年 パウル・クレー・センター蔵
 
かわりにしんでくれるひとがいないので
わたしはじぶんでしなねばならない
だれのほねでもない
わたしはわたしのほねになる


パウル・クレー 《黒い王様》 1927年 ノルトライン・ヴェストファーレン美術館蔵

 
おなかをすかせたこどもは
おなかがすいているのでかなしかった
おなかがいっぱいのおうさまは
おなかがいっぱいなのでかなしかった
 

日本語って、音も美しいと思うのですが文字も、漢字・カタカナ・ひらがなと数種類あって、それぞれ単発で、または組合せでのバリエーションも無限に広がる、複雑だけれどよく出来た言語&文字だなぁと思います。外国人がこれを使いこなし理解するのはかなりハードルが高いでしょうから、小さい頃から訓練を積める日本人でよかった、といつも思うのですが。ひらがなだけで構成された谷川さんの詩を眺めていると、ひらがなっていうのはなんて素晴らしい文字なんだろう、イマジネーションを刺激する形態をしているんだろう、としみじみ思いました。発する声の音質まで変わってきそうな気がしてきます。

宝物の蔵書がまた一冊、増えました( *´艸`)。大切な友人にもプレゼントしたくなります^^。他にもこのシリーズあるようなので、折を見てちょっとづつ、見ていけたらいいなと思います。
 

 

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