オズの魔法使 | 今日もこむらがえり - 本と映画とお楽しみの記録 -

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備忘録としての読書日記。主に小説がメインです。その他、見た映画や美術展に関するメモなど。

 

1939年 アメリカ

ヴィクター・フレミング 監督

原題: The Wizard of OZ

 

 

秋のミュージカル祭り、この辺で古典の名作を(*‘ω‘ *)。大、大、大好きなオズの魔法使い!母や祖母がリアルタイムで観た時代の作品なのに、未だに色あせない、私も大好きで何度観たかわからない名作中の名作♪この映画は観ていなくても、物語自体は絵本やアニメや新しい映像作品や劇で、今の子供たちにだってきっとお馴染ですよね。同じく時代を超えて残り続ける大作「風と共に去りぬ」も同じ監督です。

 

 

物語の冒頭部分で主人公のドロシー(ジュディ・ガーランド)が歌う「Somewhere over the rainbow (虹の彼方に)」はこの映画の挿入歌で最も重要で、最も有名な心に残る名曲。未だに数多くの大物アーティストにカバーされているし、映画を観たことがなくても曲だけは知っているという人も多いのでは^^。

 

 

もう今更説明不要、なほど有名なお話ですが・・・念のためざっくりおさらい。カンザスの農場で叔母夫婦と、気のいい下働きのハンク(レイ・ボルジャー)、ヒッコリー(ジャック・ヘイリー)、ジーク(バート・ラー)と愛犬トトと暮らすドロシー(ジュディ・ガーランド)。ある日、意地悪な隣人のガルチさん(マーガレット・ハミルトン)がドロシーの愛犬トトのことを畑を荒らす害犬だから処分してやる、と保健所の命令書を持って乗り込んできます。必死に抵抗するけれど、無理やりトトを連れていかれてしまいます。

 

 

ところがガルチさんの自転車に括りつけれられたバスケットからちゃっかり逃げ出すトト( *´艸`)。このトトちゃんがとってもラブリーで、トトと同じテリア犬を飼いたかったなぁ、子供の頃(*^-^*)。実際にはトイ・プー、トイ・プー、ミニチュア・ダックス+ミニチュア・ダックスが我が家の歴代家族。このトト、今だったらきっと「パルムドッグ賞」候補ですね^^。

 

ここにいたら、またガルチさんがトトを捕まえにくるし、叔父さんも叔母さんもきっとかばってくれない・・・と思ったドロシーは、トトと一緒に家出しますが、占い師マーヴェル(フランク・モーガン )に「叔母さんが重い病気で苦しんでいる」と言われて慌てて家に帰りますが、ドロシーとトトは家ごとハリケーンに巻き込まれてしまいます。

 

 

目が覚めたドロシーはオズの国にいました。最初と最後のカンザスでのシーンはセピア色(モノクロ)で、オズの国のシーンはカラーという演出が効いています。それにしても、考えてみたら80年近く前のカラー!当時はまだ珍しかった時代ですから、相当大胆で斬新だったのではないでしょうか。コストもかかったのでは・・・と余計な心配までしちゃう世知辛い大人です^^;。ドロシーが戸惑っていると、北の良い魔女グリンダ(ビリー・バーク)が表れて、ドロシーと一緒にハリケーンで飛ばされてきた家の下敷きになって「悪い東の魔女」が死んだと教え、東の魔女が履いていたルビーの靴をドロシーにプレゼント。

 

 

グリンダはオズだけでなく色々な物語に登場する、シンボリックな存在ですね。キラキラ素敵な衣装ですが・・・「美しいのは、いい魔女だけよ。悪い魔女は醜いの」とサラっと断定的発言をしちゃったり、意外と冷酷というかシビアというか^^;。

 

 

東の魔女に苦しめられていた小人族のマンチキンたちは、大喜びでドロシーとトトを熱烈歓迎。このマンチキンたちのお祭りもカラフルで曲とダンスの楽しいシーンです(*^-^*)。楽しい時間を過ごすドロシーですが、どうにかしてカンザスのおうちに帰る方法を見つけなくちゃ・・・するとグリンダが、黄色いレンガの道を辿った先にあるエメラルド・シティにいる大魔法使いのオズに会ってお願いすればいい、とアドバイスをくれます。

 

 

トトと一緒に黄色いレンガ道を進むうちに、知恵(脳ミソ)が欲しい案山子(レイ・ボルジャー)、ハートが欲しいブリキ男(ジャック・ヘイリー)、勇気が欲しい臆病ライオン(バート・ラー)と出会い、一緒にエメラルド・シティへ向かうことになります。

 

 

ところが、死んだ東の魔女の妹、悪い西の魔女(マーガレット・ハミルトン)がドロシー達の道中をあの手この手で邪魔します。でもグリンダの助けもあって、ようやく一行はエメラルド・シティへ到着♪

 

 

その名の通り、人々の衣装も、建物も、全てがエメラルド色の美しい街。そして、派手な炎と煙と音の演出付きのおどろおどろしく恐ろしげな大魔法使いオズといよいよ対面。彼らの話を聞いたオズは、皆の願いをかなえる交換条件として、西の魔女のもつ魔法の箒を要求します。願いをかなえるため、西の魔女の城へ向かう一行は、罠にはまって魔女の奴隷にされてしまったりもしますが、ドロシーのラッキー・ホームラン的アクシデントで西の魔女が消滅し、ドロシー達は見事箒を手に入れることができました。

 

 

意気揚々とエメラルド・シティのオズの元へ戻ったドロシー達ですが、あれ、こっちの扉は何処にでるんだろう・・・ん?あそこにいるオジサンだぁれ?

 

 

人の気配に振り返って、はっ・・・ギクゥっ!!!Σ(゚Д゚)

み、見られちゃった・・・?!(;゚Д゚) 焦る謎のオジサン。

 

 

なんと、大魔法使いオズは実はただの普通の人間。気球に乗ってオズの国へ迷い込んでしまったマジシャンでした。特技を生かして、イリュージョンを作り出す仕掛けでこけおどしの「偉大な魔法使いオズ」を作り上げていたのでした・・・あら、まぁーびっくり(笑)。

 

 

魔法使いじゃない・・・じゃあ、ボクらの脳ミソも、ハートも、勇気も、もらえないの・・・?!いえいえ、実は彼らは魔法になんか頼らずとも、これまでの困難な旅の中でちゃんと自分達の力で欲しいものを既に手に入れていました。後は、気持ちの持ちよう、自分を信じて誇れるシンボルとなるものをオズおじさんから各々プレゼントしてもらいます。ドロシー達に正体がバレたのでオズも踏ん切りがつきました。気球を作って、再び人間世界に戻って見よう!ドロシーも一緒に乗せてあげるよ。別れは辛いけれど、皆の願いが叶ってバンザイ、よかったね^^。

 

 

ところが最後の最後でアクシデント。ドロシーが気球に乗り損ねてしまって、1人オズの国へ取り残されてしまいます。もうおうちに帰れない・・・と悲しむドロシーの元にグリンダが表れて、魔法の力をもつルビーの靴と魔法の呪文で帰る方法を教えてくれます。その呪文は、「There is no place like home.(我が家が一番)」。このフレーズも、ものすごく有名ですよね(*'ω'*)。

 

目を覚ますと再びカンザスで、叔父さんや叔母さんたち皆が心配そうにドロシーのベッドを取り囲んでいました。ドロシーが目覚めて喜ぶ家族を眺めて、おうちに帰れたことを喜ぶドロシーですが、あれれ?!どうして、オズの国で別れた案山子やライオンがいるの??ハンク、ヒッコリー、ジーク、私たち一緒にエメラルド・シティへ行ったよね??やーだよ、何寝ぼけてるのかねこの子は。夢でも見たんだね、ドロシー。

 

お気づきの方も、勿論ご存じの方もいらっしゃることと思いますが、オズの国でドロシーが出会う主要キャラたちは、現実のカンザスでの知り合いとそれぞれが一人二役。案山子=ハンク、ブリキ男=ヒッコリー、ライオン=ジーク、悪い西の魔女=ガルチさん、オズ=占い師マーヴェル。マーヴェル役のフランク・モーガンはオズだけでなく、エメラルド・シティの門番と馬車の御者も演じてます。現実の彼らも、オズの国でのキャラクターを彷彿とさせる言動に溢れています。というよりもドロシーが持っている印象がオズの国でのキャラクターに反映されているというべき?

いわゆる”夢落ち”ってヤツですが、どうしても夢のようには思えないドロシー。


元はライマン・フランク・ボームの書いた同名の児童文学が原作ですが、実は全部で14作品からなる「オズ」シリーズ。大人の目には夢を見ている間に、別の世界を行き来して冒険を重ねる童話は、「不思議の国のアリス」や「ナルニア物語」にも通じます。大抵、少年少女が大人になると魔法の国へは行けなくなりますが・・・オズの続編『オズの虹の国(The Marvelous Land of Oz)』ではなんと、オズの国の話ばかりをするドロシーは、困ったよこの子頭がおかしくなったに違いない!と無理やり精神病院に連れていかれちゃうらしいですΣ(・ω・ノ)ノ!次の『オズのオズマ姫(Ozma of Oz)』と合せて映画化されたのが1985年の「オズ(Return to OZ)」だそうです。そういえば原作本って読んだことなかったかも・・・この機会にシリーズ全作読んでみようかな(*'ω'*)。

 

 

それにしても、ジュディ・ガーランドの天才子役ぶり(*‘ω‘ *)。ドロシーといえば、ジュディ。自分が産まれる前に死んでしまった女優さんですから実際にはずっと年上の人なんですが、この映画と、リアルタイムでジュディの活躍をみていた祖母や母の話の影響で私まで「子役時代から知ってる女優さん」気分になっちゃいます^^;。でも、往年の大女優&歌手のライザ・ミネリが、ジュディの娘さんですからね~!びっくり。

 

薬物問題を抱えていたジュディ。睡眠薬の過剰摂取で1969年に死亡したのは47歳の時。若いですよね・・・(T_T)。惜しまれるのと同時に、子役時代からスターだったジュディの肉邸的、精神的な負担の過酷さは相当だったのだろうな・・・と思われます。今回初めて知ったんですが、短い生涯で5回の結婚をしたジュディは性的にかなり開放的なことで有名だったらしく、かつあの時代にバイ・セクシャルとして有名だったそうで今でもゲイのアイコン的存在だとか。

 

実は偶然、今読んでいる本の中でLGBTの社会運動の象徴アイテムがレインボー・フラッグだということを知ったのですが、それはジュディがこの映画で「虹の彼方に」を歌ったことに由来するそうです。なんて偶然。思いがけないところでまた知識の「小さな円」が繋がりました。まさか「オズの魔法使」がLGBTに繋がるとは。世の中、まだまだ知らないことが沢山あります。

 

 

それはさておき、もう一度映画に戻りますが(ウロウロ余談に寄り道してすみません^^;)、ジュディの技量と存在感はもちろん揺るぎないものですし子供の頃はジュディ=ドロシーあってのこの映画、と思っていましたが大人になってから気が付いたことがあります。それは、ジュディもさることながら、脇を固める俳優たちの演技力も半端ない!むしろジュディより筋金入りの彼らのサポートがあってのジュディの輝き。CGもなければ特殊メイクも限られていて、要するに手の込んだ舞台装置と衣装、で演じているわけですが、不自然さとか安普請さが全くない。

 

特に案山子、ブリキ男、ライオンの演技は神がかり的ですΣ(゚Д゚)。案山子のレイ・ボルジャーとブリキ男のジャック・ヘイリーは共にハリウッド・ウォーク・オブ・フェームも授与されているし、ライオンのバート・ラーも、長くヴォードヴィルから始まり人気コメディアンとしてブロードウェイ、ハリウッド、テレビドラマと幅広く活躍した方です。この時代にカラーフィルムを使ったこともそうですが、細かいところまでこだわったセットや衣装・・・どんなに最新技術を駆使しても、これに匹敵する映画は作れないでしょうね。この先もずっと、永遠の名作だと思います。

 

では、最後に不屈の名曲「Somewhere over the rainbow(虹の彼方に)」ともう一曲、楽しく弾む雰囲気がお気に入りの「We're Off To See The Wizard(オズの魔法使いに会いに行こう)」をお楽しみください(*‘ω‘ *)。