ズートピア | 今日もこむらがえり - 本と映画とお楽しみの記録 -

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備忘録としての読書日記。主に小説がメインです。その他、見た映画や美術展に関するメモなど。

2016年 アメリカ
バイロン・ハワード/リッチ・ムーア 監督
原題: Zootopia/Zootropolis 


ちょっと疲労とストレスがたまってヘタって、体調も崩して、とにかくハッピーを求める自分の状況がまるわかりなチョイス(笑)。動物たちが主人公の可愛くて楽しくてハッピーなディズニーアニメ映画^^。

ズートピアは、動物たちの高度で洗練された画期的で文明的な大都市。肉食・草食、種の違いにとらわれずあらゆる動物が共に文明的で平和な共生を実現している動物たちのユートピア。田舎育ちのウサギのジュディは、大きくなったら大都会ズートピアで警官になって正しい行いで世の中をよりよくするのが小さい頃からの夢。


いじめっ子はそんなのちゃんちゃら可笑しいと鼻で笑って馬鹿にしますが、ジュディは、本気で願って努力すれば、どんな動物でも何にでもなれる、夢は叶うと信じてひた向きに頑張ります。ニンジン農家を営む両親も、そんなジュディを心配しつつも、応援しています。


努力の甲斐あって、警察学校を見事にトップ成績で卒業、晴れて初のウサギの警官としてデビューするジュディ。夢がかなってズートピア警察署(ZDP)に配属になります。ズートピアの副市長、羊のベルウェザーもジュディを応援してて心強い味方になってくれそう。


ZDPでのジュディの最初の友人、チーターのクロウハウザーは受付係。チーターらしからぬメタボ体型におっとり優しいクロウハウザーが、本当にいいヤツでお気に入りのキャラクターのひとり(一匹?)です^^。なんだか妙に懐かしい気がするなぁと思っていたら、ちょっと、昔の職場の部下に似ている・・・( *´艸`)。

夢が叶って希望に燃えるジュディですが、警察署内は理想と裏腹に封建社会・・・いや、弱肉強食世界?最近一般市民の動物たちが14人も立て続けに行方不明になる事件が発生していて警官たちは大わらわなのに、ボゴ署長は非力なウサギのジュディを鼻からアテにしてくれません。捜査に関わらせてほしいと直談判も空しく、ジュディに与えられた役割は駐車違反の切符切り係り。

ガッカリするジュディですが、見習うべきジュディのポジティブ優等生シンキング!「どうせやるなら完璧な仕事をしてみせよう!よし、午前中までに200枚の切符を切ってみせるわ!」と素早く発想の転換。そして有言実行の活躍ぶり。さすが警察学校での成績トップ、ものすっごい有能っぷりです。有能な人材を手に入れるのも育てるのも非常に困難な昨今、ジュディを手に入れたZPDはめちゃくちゃラッキーです。


何事も一生懸命に取り組む人間には必ず結果が伴うし、神様も味方する。任務の途中でたまたま助けたマウスのお嬢ちゃんは、実はマフィアのボスMrビッグの可愛い愛娘フルー・フルー。以後、愛娘の命の恩人ジュディを問答無用で歓待、サポートする暗黒街のボス。初孫のゴッド・マザー(名づけ親)にまでなっちゃいます^^。


行方不明者の家族の悲しみに触れ、どうしても役に立ちたいと切望するジュディは、ボゴ署長とハードネゴの結果、クビを掛けて48時間の猶予をもらいます。行きがかり上、詐欺師のキツネのニックも手助けすることに。画像はニックの紹介の陸運局で働くナマケモノ「最速のフラッシュ」とののーんびりなやりとりと、ニックのちょっとした意地悪が楽しいシーン。このフラッシュ君、エンドロールのコネタでも美味しい登場しますので最後もお楽しみに^^。

なんとも憎らし気に飄々としたニックですが、彼も根っからの悪人で詐欺をしているわけではなく、キツネ=卑怯者という偏見で子供の頃から辛い思いをした屈折した傷を抱えているのです。本当はボーイスカウトに憧れるキラキラしたオメメの男の子だったのに。だからこそ、ジュディの気持ちに共感して文句をいいつつ協力したくなっちゃうんですね。

ジュディとニックの活躍と副市長のサポートで無事に行方不明者たちの居場所を発見し、事件解決のヒーロー(ヒロイン)になるジュディ。一件落着・・・かに見えたのですが、行方不明になっていた動物たちが全員何故か凶暴化していたこと、凶暴化したのが全て肉食獣だったことで事態は思いがけない方向に向かいます。ジュディも、悪気の無かった自分の発言のせいで事態が悪化し沢山の動物を傷つけてしまいます。ニックのことも。そしてそんな自分に失望します。

種の多様性を尊重し合うユートピアだったはずのズートピアですが、ほんのちょっとしたことで均衡が崩れてしまい、風評や偏見が横行し対立が生まれてしまいます。イスラム過激派のテロ事件を糾弾するあまり、ごく普通にアメリカ市民として暮らしているだけのイスラム系の人たちまでいわれのない責めや差別を受けたり、震災での原発事故は不幸な災害で辛い思いをした人が大勢いるのに、日本人というだけでバイキンのような目で見られ、あからさまに避けられたり、大人げない偏見や差別があっという間に広がる現代社会の写し鏡。

ですがジュディは決して絶望して諦めたままでは終わりません。ちゃんと自分の未熟だった部分を反省し、誠意をもってニックとの友情も取り戻し、事件の影に潜んでいた大きな陰謀と黒幕も突き止めて、世間の誤解をといて見事に問題解決まで成し遂げます。やったね、ジュディ!

ちょっと若い頃は、この手の道徳的教訓めいたメッセージを映画に込めるのをナナメに穿っていた部分がありましたが、最近は、素直にいいなぁと思います。わかりきったようなことでも、こうしてメッセージを発し続けること。子供たちも大人たちもそういったメッセージに触れることでその瞬間だけでも何かを感じること。それを繰り返し思い出すことって、すごく基本的で大切なことなんじゃないかなぁと、思えるようになった今日この頃です^^。