『せんせー!』
繋いだ手を振り払った小さな手が
勢いよく駆け出した
セミが見たいという息子を連れて
近所の緑の多い公園を
歩き出したところだった
少し離れた木陰のベンチで
本を読んでいる視線の先が
本から走り寄る息子に移る
『なんのご本よんでるの~?』
息子が本を覗きむ
大きな手が息子の頭を撫でた
綺麗な微笑み。
彼は4月から新しく入った息子が通う
保育園の新米先生
背が高くてイケメンでマジメ
おまけに脱いだらスゴイとかw
↑ママ友情報w
そんな先生だから
あっという間に園児にもママたちにも大人気!
保育園のご近所さんまでもが
用もないのに保育園をチラチラ(笑)
とにかくウワサの新米先生
しかし本人的には
周りの騒ぎは全く気にならないようで・・・
園児たちがいない園内では
いたって物静かで口数の少ない青年だとか
息子の担任ではないので
もっぱら情報通のママ友から聞いた話だが・・・
『ほら、ヨウくん、先生ご本読んでるから邪魔しちゃ・・・』
『せんせ、あそぼー!せんせー』
せがむ息子を膝に乗せ
ニコニコしながら息子の頭をハムハムした
・・・ドキッとした
『先生、すいません。お休みの邪魔しちゃって』
『大丈夫です。気にしないでください(*´ー`)』
静かな言葉と綺麗な笑顔
息子を抱く白く太い二の腕
うっすら光る首もとの汗
腕にも首もとにもホクロがあった
本のタイトルは【道徳の系譜】
どうとく?
難しそうな本とファスナーが開いた
デイパックからはバナナが覗いていた
バナナ?アスリート?
《にしても、綺麗だなぁ、ホント♡》
少女漫画からでてきたような綺麗な横顔
見れば見るほど、吸い込まれそうな瞳と長いマツゲ
ぽーっと数秒、見とれていたら
嫌な羽音とともに肩に何かが近づいた
『ッア!』
ハチだ!
肩がすくんで動けない
その瞬間、ぶわっと大きな手がハチを追い払う
何度か近づくハチを何度も手で追い払う
『大丈夫ですか?』
動けない背中を大きな手がそっと触れた
『は、はい…』
一言が精一杯だった
私の顔を覗きこむ、長いマツゲ
さっき見とれていた大きな瞳が
体温を感じとれるほどの近さにある
『ハチーハチー♪』
息子は手を叩いて喜んでいる
ハチのドキドキなのか
覗きこむ先生の顔のせいでドキドキなのか
わからなくなる
『チューしてるの?』
先生と私の足元から、息子の声
パっと体を離した先生が
『ヨウくんママとチューしたら
ヨウくんパパに先生怒られちゃう~よ!』(笑)
そういいながら、息子を高い高いしてくれた
下から見たらキスしてるように見えるくらい
近くに顔があったってことだよね・・・
セミの声が、急に大きくなり
さっきの出来事が、少女漫画の世界から
カラーの現実に引き戻された・・・気がした。
つづく
*ファクションです(笑)
↑わかったちゅーねんw
