flatless -novel type- | PLUS09386 Blog

flatless -novel type-



何処にでもいる一人。

何処にでもある一つの生活。


ただ宛のない、途方も無い


静かな闘いのようなものに向かって


毎日を過ごしているようなものだ。



平坦な日々。


平坦な暮らし。


でもそんな平凡な生活にも



静かな 闇 のような部分は




誰にも 確かに 存在しているのだ。

_

家族は 元々 離れていた。


繋がってるんだけども、離れてた。


壊れてなさそうで


でも中身覗いてみたら壊れてて。


アンバランスな家庭の中で生活していた。



そんな家族だったけれども、不自由は無かった


逆になにも不自由がないのが不自然だった。


ある時からだっただろうか。


一人になったのは。


きっかけは分からなかった。

理由もはっきりとは分からなかった。


ただひとつ言えるのは



僕の家族は


本当の 意味 で離れてしまったということだ。

_

家族で唯一の癒し。

それは どこの 家庭でもある

食事 という行為だった。



そんなのも 当たり前のような

行為に思えたが


いざ離れてしまうと

一人で 食べる時に 使う 平坦な 皿も


ポツンと 一人


何処かに取り残されてしまったかのような

自分に 思えてしまい

悲しくなった。




一人になってからの 仕事も
単調 に なっていた。
普通で 平凡 で。


でも

そうでもしないと

自分を保てないと強く思ったからだ。


そういう思いで

毎日を生きなければならないという 現実 に

慣れなければならなかったからだ。


_

何日か 経って
気持ちの方も 平坦 になっていた。

毎回作る 食べ物 も

毎回洗っている 食器 も

平坦な 何か に見えてしまうようになった。



波長が 安定 したのだろうか。


自分は 麻痺 しているのだろうか。



分からないが、今まであった
塊のように 重く 暗く 不安定 な 気持ちは

何処かに ストン と 落ちてしまったようだった。



外へ出ても


いつも向かう 平凡な スーパー も

綺麗に 整頓 された 住宅地も

何もかも


何もかもが


全て 眼に映る 物が


平坦になっていた。




今日は そんな 休みの 日 だった。

_

公園へ出かける。


自分の どうにもならない 感情を


押し殺すために。



人工の草原 に 寝転んで


まわりからの 余計な情報 を 消していく。




その草原はとても居心地がよく


家のベッドよりも 遥かに 快適だった。

_


気持ちは、それから安定しなかった。



どんな時も。

どんな時でさえも。


仕事も、平凡とはいかず、

だんだん降下していくように

うまくいかなくなった。



そんな時でも

公園 は


そんな自分のことを


温かく包み込んでくれた。



その時には


あまり 人 と関わらなくなっていた。

_

一人になると

引き篭もりがち になった。


離れた家族は


今、何処で 何を してるのだろう。


今は 簡単な 料理 を 作っている。

まだ 何か できる 力 はある。




でも

そんな 孤独の窮地 にたたされても


家族が戻ってきてほしい


という 切実な思い は 捨てきれなかった。


だが



平坦 な

無 と似たような 日常を

何日も繰り返してからは


そういう 思い は無くなってしまった。

_


何もない日には


何もしなくなった。



たまに 外 に出る時もあったが


すぐに引き返した。



身体が 拒否 していた。



どんどん



身体に おもり が乗っかるような 感覚 だった。






何もない 日 は


平日 にまで あるように なった。






その頃

ある こと をしようと


色々と 準備 をしていた。



_


時間が


止まる感覚。


もう、既に止まっていた。

秒針 も 止まったままだ。



もう、後戻りはできない。

自分に そう 言い聞かせながら

言い聞かせながら



ただただ

平面のフローリングを見つめていた。




自分の部屋で ただ 只


平面 を 見つめ続けた。


只 只


見つめ続けていた・・・


_




僕は

小さな 脚立 の 上 にいる。


もう


今は


何も 怖くない。




今までの 情景

今までの 会話

今までの 思い


全て すべて


全て 良い 想い出 になっている。



繋がっている気がする。

離れていても何処かで。


離れていてもどこにいても



入り混じった気持ちを胸にしまい

ぐちゃぐちゃになった今の状況を

部屋に散らばせながら



溢れる涙を拭いながら


覚悟を決めて



足を 踏み 外した。






(お父さん)


(お母さん)


(弟)



『ただいま。』








------f l a t l e s s-------



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