DOUBT あるカトリック学校で
ジョン・パトリック・シャンリィ監督 2008年 アメリカ
1960年代半ばのカトリック学校を舞台に、厳格な女性校長（メリル・ストリープ）と、黒人生徒との関係を疑われる神父（フィリップ・シーモア・ホフマン）との苛烈な心理戦を描いた作品。
もともと優れた舞台劇だったというだけあって、ふたりの名優のやり取りと心理戦が息もつかせぬ迫力です。
昨今、公に問題となっている神父や牧師の子どもへの性的虐待に加え、作品中で示される教会内での男尊女卑的な状況をもって、「疑うこと」の難しさを考えながらも、私の心情は校長サイドに立っていた。
で、制作年などを確認しようとネット検索して、確証なく疑いを強めて人を責めることの怖さばかりを強調したいくつかの評に驚いた。
いや、もちろんそれは大きなテーマなのである。けれど、この映画は、もっともっと多重的に問題を描き込んだものなんじゃないのかしら。
だって、校長はここで絶対権力者ではないし、描き方も好意的。神父は責められる立場弱い人物というよりは、認めるべきろころもあるのかと思わせる策士という感じ。
疑わしきは罰せられない。でも、生徒たちを守るためには、うそをついてでも（！）果敢に攻め込む。それは男性優位社会の中の女性という足元の危うい弱者だからこそ理解の範疇である。いや、正直、あのウソすごいなぁと喝采を送ってしまった。。。
さらに複雑なのは、この黒人生徒である。人種的偏見だけでなくゲイということでも苦しんで、それを訴える母親（ビオラ・デイビス）には泣かされます。
それから一番罪のなさそうな修道女の教師、彼女みたいな存在が実は怖い。雰囲気に流され、見方をコロコロ変えていく人。そうならないように気をつけよう。
あぁ、、、難しい。。。
メリル・ストリープ、ここでもすごい！ホントに七変化ですね。
フィリップ・シーモア・ホフマンって確か「カポーティ」ですよね。こちらもびっくり。
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