千年の祈り

イーユン・リー 新潮クレスト・ブックス


 父と娘のあいだの埋めようのない秘密の溝。年を取って初めて知るほろ苦い恋心。

 10の短編どれもが、ずっしりと心に響く。


 背景も状況も自分とはずいぶん違っているのに、彼らの気持ちが少しは分かるような気がするのはなぜだろう。



 この、しんしんと降るような孤独。


 読みながら、ジュンパ・ラヒリの短編を思い出した。


 共通するのは、異国に暮らす人々の、決してぬぐえない違和感?


 いや、こちらは母国に生きる人の話が大半だ。


 でも、北京生まれの北京育ちでアメリカに暮らす著者の思いが反映しているのか。


 どこかしっくりいかないものを抱えた人たち。

 そんな心を凝縮した、小さくて美しい水晶玉。。。もっともっとのぞいてみたい。




 新人ながらフランク・オコナー賞を取ったのもなるほどとうなずけます!

 短編の名手ウィリアム・トレヴァーの愛読者だとか・・・。こちらもなるほど!



 表題作が映画化され、もうすぐ公開されるので、慌てて読みました。

 なんで今まで放ってあったのか( ゜∋゜)


 最近、文庫化されたのを知って、ありゃ~!と思いながら積読の山に分け入ることも多し。反省!o(TωT )