北朝鮮による拉致被害者、蓮池薫さんの手記。

 韓国への取材旅行と、日本で翻訳者として生きていく思いを綴ったものだが、気取りがなく誠実な人柄がしみじみと感じられるものだった。



 拉致と北朝鮮での暮らしについては、抑えた記述。それでも、その動かしがたい年月と思いは、抑えるほどににじみ出る。


 まさに拉致されてゆく瞬間に腫れた瞼の下から見た故郷の温かい灯りと、北での暮らしの第一印象となる裸電球のわびしい灯り。


 北朝鮮に奪われたものは、夢を、希望を持つということだったという。


 それを、奪われた歳月を取り戻したい、そして残る拉致被害者やその家族にも一日も早く心の安寧が得られる日を取り戻して欲しい。そんな切実な願いがどうか叶うようにと、読み終えて願わずにはいられない。



半島へ、ふたたび/蓮池 薫
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 長い間、ベストセラー本を借りっぱなしだったお詫びとお礼の気持ちから、先輩に回して読んでもらおうと(返す本と合わせて渡そうと)、「宵山万華鏡」をはさんで2日にまたがり読み終える(・・;)

 本来は、もっとゆっくり読みたい本でした。