DAS LEBEN DER ANDEREN / THE LIVES OF OTHERS

フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク監督 2006年 ドイツ


 1989年のベルリンの壁崩壊の5年前。一党独裁の東ドイツの強大な監視組織「シュタージ」の優秀なメンバーの1人が、劇作家の家を盗聴する。

 盗聴器から聞こえてくる、人々の自由な会話と愛、美しい音楽が、いつしか彼を変えていく。


 邦題「善き人のためのソナタ」は、劇作家の誕生日に失意の芸術家仲間から贈られた楽譜のタイトル。そこには「この曲を本気で聴いた者は、悪人になれない」という言葉が添えられており、まさにその調べがひとりの人間を「善き人」へと導く。


 心の、とても深いところから感動を呼び起こすような作品。こういう静かだけれど力強い映画って、久しぶりに観た気がします。アカデミー賞の外国語映画賞受賞も、大納得!という感じ。抑制の効いたラストシーンも印象的です。


アルバトロス
善き人のためのソナタ スタンダード・エディション