中国から届いた一通の手紙がある。今年4月にフト思い立ち、小田原からマカオ方面へと旅立った先輩Nさんからの手紙だ。


Nさんには学生の頃から世話になり、かれこれ10年の付き合い。

10ヵ国語以上を流暢に話すNさんは、時折、思い立ったように国外へと旅立つ。

今回は約1年の旅を予定しており、生活や移動の資金は現地で日本語教師をやりながら稼ぐのだという。



第一回報告書


「小生只今、ガードマンつきのマンションの28階という、まあどう考えたって小生には似合いそうもない所に住んでおります。窓の外を見ると、ギンギラギンと黄金色に輝く派手なビルヂングが2棟も建っていて、我が窓を睥睨しております。


小生のいる所は、香港から鉄道で1時間、広東の広州市からは鉄道で2時間ちょいというところの深圳(しんせん)市の中心部であります。(正確にはマカオではありません。マカオの近くです)


深圳市は経済特区とかいって、制度上、香港と似たような扱いになっているようで、北京や上海に次ぐ中国のビジネスセンターのひとつに数えられる場所ということです。これまた小生には似合わない!」



「こちらでの生活は至ってノンキであります。こちらの学校に入って驚いたのは、学習者のほとんどが20歳前後の女子だということです。日本のビデオ、DVDも手に入る上、日本料理店も街に4,5軒はあり、カラオケも多数あるようで、やろうと思えば、日本の知識は思ったよりカンタンに入手できるようです。生徒も、結構ヘンなことを知っていたりします。


さて、面白い話があります。


中国でも、風呂敷とコケシがよく知られているようです。特に風呂敷には興味がある人が多いようで、ちょっとしたブームだそうです。風呂敷もコケシも、こちらで買おうと思えば買えるらしいのですが、まだ未確認です。(できましたら風呂敷送ってください)


これも聞いた話ですが、深圳には「小田原」というカラオケがあるそうですが、可能であれば接触を試みます。


こちらには吉野家、マクドナルド、ケンタッキーがあり、同じ通りにごちゃっとまとまっています。香港にもそれらがありますが、深圳のほうが日本に近いスタイルです。吉野家の牛丼は特に、日本のとソックリに出来ています。


先週デカいスーパーに行ったら、2階の飲み物売場でアサヒ緑茶のデカーいペットボトルがありました。高そうだったので恐ろしくて手が出ませんでしたが、早速来週あたり根性試しに買ってみようと思います。


また、本屋で合気道や空手道、さらに柔術の本もありました。感動しました。合気道の本は髙木流という日本ではメチャメチャ特異な流派のやつだったので、小生、度肝を抜かれました。日本よりも、まずは世界進出というワケか。スゴイ!!」



「この郵便物は、運送中湿潤して到着しましたので、当局で乾かしました。おわび申し上げます。 成田国際空港郵便局」


なぜか水没して届いた手紙。郵便局の皆さん、どうもありがとう。


絵ハガキが一枚と、手紙が3枚。一度水没したので、しわしわになってインクもにじんでいる。



「わたしの怪奇ミステリー体験」「伝染る“怖い話”」「午前0時の怪奇夜話」「あなたの知らない世界」――


日本を脱出するにあたり、Nさんが残していった怪奇本コレクション。その数、ざっと30冊。


読んでみると、これが意外にオモロイ。


最近は夜中2時まで読み漁るのが日課となっている。