この情報は、IT Proの記事で知りました。
米ナイアンティックのスマホゲーム「Pokemon GO(ポケモンGO)」(写真1)。
先週、ついに国内配信が始まり、さっそく日本でも大人気になっています。
ポケモンGOのヒットの物凄さは、以下のような事実でも明らかです。
- 1日の「課金者数」が他の全てのモバイルゲームを抜く。
- 任天堂の時価総額が7営業日に2倍になる。(その後下がりましたが…)
- 1日あたりユーザー数で「Twitter」を抜く。
- 1回の滞在時間で「Facebook」を抜く。
- 翌日継続率が7割を超える。
- 日本のApp Store売り上げランキング1位を半日で達成。
こんな凄い話が、連日次々とニュースになっています。
今回は、まず、ヒットに込められたカラクリを探ってくれて記事の紹介です。
Ingressとどこが同じでどこが違うか?
よく知られているように、「ポケモンGO」は、ナイアンティックが2013年から配信しているスマホゲーム「Ingress(イングレス)」のシステムやデータを流用しています。
イングレスも、実際に街を歩いて遊ぶゲームで、現在、「ポケモンGO」で「、ポケストップ」や「ジム」と呼ばれる拠点になっている場所は、イングレスのプレーヤーが登録した「ポータル」のデータを流用して作られています(ITpro、Ingress関連記事:今からはじめるIngress、最速レベルアップ完全マニュアル)。
ですが、「イングレス」と「ポケモンGO」の両方をプレーするとすぐわかるそうですが、両者の共通点は、「街を歩く」、「拠点の場所が同じ」というくらいで、それ以外はかなり違います。
具体的にまとめてみましょう。
実は、この違いが、「ポケモンGO」がとてつもない人気を博してる理由の一つだと考えているそうです。
- ポケモンという既によく知られたIP(版権のあるキャラクター)を採用し、最初から幅広い層に受け入れられている。
- ゲームの主な目標は収集と育成で、イングレスの中核だった陣取りは二次的な目標の扱い。
- その陣取りにも、囲碁的な「先読み」「布石」の要素が今のところない。
まず、このゲームは、ちょっと信じられないほど最初から幅広い層が楽しんでいます。
これは明らかに、「ポケモン」という既に幅広い層によく知られ、人気のあるIP(知的財産権)の力です。
「IP」というのは、版権のことで、ゲーム業界では、マンガやアニメなど他のジャンルで既に実績があって、それなりに利用料を支払う必要があるキャラクターやタイトルの版権を「IP」と呼びます。
どちらも、リリースからわずか数時間後の話です。
これが、夕方になると渋谷の街は10秒歩けば1人はプレ—ヤーとすれ違うような状況になっていました。
この土日には地元で70過ぎと思われるご老人が二人連れだって「ポケモンGO」を楽しんでいる姿も見付けました。
幅広い層に受け入れられているのは、「IP」の力だけではありません。
ゲームの設計も寄与しています。
最初から幅広いユーザー層を狙い、ゲームシステムをものすごくシンプルにしているのです。実際のゲームの内容を見てみましょう。
- 歩いているとポケモンが出現する。
- ボールを投げて捕まえる。
- プレーヤーは経験値とポケモン強化用、進化用のアイテムが入手する。
- ポケモンを捕まえるためのアイテムは歩いていると見つかる「ポケストップ」で補給する。
基本的には、これだけです。
ゲーム機版の本家ポケモンと同じく、プレーヤーの最終目標は「図鑑を全て埋めること」になります。
人間は、「隙間があると埋めたくなる生き物」なので本能に抗えず、せっせと図鑑を埋める作業に勤しむことになります。
この設計に、強い意図を感じます。
ゲームに慣れていない人も遊べるように、あえてシンプルで誰でも楽しめるように作られているのです。
実は、育成したポケモンを戦わせる「ジム」といった拠点もあります。
「ジム」は、勝負に勝ったプレーヤーが占拠できるので、陣取りの要素にはなります。
しかし、単に拠点を「取り合う」だけで、イングレスのように味方の拠点間を結んでエリアを確保するといった囲碁的な戦略要素は今のところまったくありません。
イングレスのような複雑な操作や戦略性は、あえて廃しているのでしょう。
それどころか、「ジム」の占拠はゲームの基本的な進行に関係ありません。
プレーの中心は、あくまでも収集と育成にあり、「ジム」に一切立ち寄らなくても楽しめるようになっています。
ゲームに慣れ親しんでない人も楽しめるようなシンプルなゲーム、それが「ポケモンGO」なわけです。
任天堂の携帯ゲーム機で遊ぶ「ポケットモンスター」シリーズの中核ユーザーは、今も昔も小中学生です。
一方、「ポケモンGO」は、もっと上の層が支えています。
現在、25歳~31歳の「ポケモン世代」の社会人が、中核ユーザーのはずです。
この年代は、爆発的にヒットした1999年のポケモン第2作「ポケットモンスター金・銀」の発売時に、小学校高学年~中学生でした。
また、初代のポケモンアニメが始まった1997年に小学生だった層ともほぼ重なります。
この世代こそが、世界的にもまさに「ポケモン世代」であり、いま、スマホでいちばん遊んでくれる世代でしょう。
25歳~31歳であれば、おおむね社会人になって数年、仕事も覚え、生活も落ち着いているころでしょうし、彼らは「怪盗ロワイヤル」がリリースされた時点で高校生~大学生だったソシャゲの第一世代でもあり、課金にも抵抗がなく、友達同士でゲームを遊ぶのが「ネイティブ」な層です。
そんな彼らが、懐かしい「ポケモン」がスマホでプレーできると聞いたら?
休日や終業後に友人同士で楽しむゲームとして、「ポケモンGO」は話題性も含めぴったりです。
ポケモン世代がちょうど、スマホユーザーの中心層におり、彼らがブームの先頭に立ったという事実は、ポケモンGOの世界的なヒットの大きな背景なのは間違いありません。
このほかの隠れボリュームゾーンとしては、ポケモン世代が小中学生だった頃に付き合わされて、ポケモンに親近感がある彼らの親世代があります。
もちろん、ポケモン本来のユーザーである現在の小中学生やその親世代も見逃せません。
このように、普段ゲームをやらない層も引き込むだけの吸引力を「ポケモン」という「IP」は持っています。
しかし、二人連れのご老人が「ポケモンGO」を楽しむ姿など、過去のゲームではまず見ることがなかった光景を引き出したのは、シンプルだけど新しい体験が得られる、「ポケモンGO」のゲーム設計のおかげだと思います。
これまで紹介した以外にも、例えば同じ場所でプレーする見ず知らずの人同士のコミュニケーションを促すような仕掛けが設計に組み込まれています。
同じ場所には、ほぼ同時に同じポケモンが登場し、そこにいるプレーヤーみんながゲット可能になるのです。
ポケモンの奪い合いにならないから、お互いが声掛けし合う余裕が生まれます。
この設計は、「○○にピカチュウが居るよ」といったSNSでの情報共有にも向いています。
またね。

