この情報は、ITmedia PCUSER_の林信行さんの記事からです。
昨日、24日に米国で行われたAppleのメディア向けイベントで、Retinaディスプレイを搭載した13型MacBook Proや、極薄ボディに生まれ変わったiMac、7.9型のiPad miniなど、年末を飾る新製品が一挙に公開された内容を林信行氏が現地からリポートした記事です。
タイトルは、「ジョブズ不在を乗り越えた過去最強のラインアップ――「iPad mini」「13インチMacBook Pro Retina」「薄型iMac」に見るアップルらしさ」です。
記事の内容から、気になる内容を一部抜き出してブログ記事として記載しますね。
「後継者」の重責を、強い新製品発表で乗り超えた。
「スティーブ・ジョブズ」という強烈な個性が去った後の今のアップルもまさにその状態で、何か新製品を発表しても、「やはり、ジョブズがいなくなると~」、「ジョブズだったら、そんなことはしなかった」という批判の言葉をよく耳にする。
そうした思いに捕らわれすぎている人には見えないかもしれないが、きちんと目を見開き、今回の新製品発表に正面から向き合えた人には、クック新体制のアップルが、まさにこの「倍くらいの成果」を出したことが十分感じ取れたはずだ。
今回の新製品発表イベントは、ただ小さなiPadが発表されるだけだと思っていた多くの人にとって、「いい裏切り」の連続だった。
製品だけではない。
CMでも「テクノロジーだけでは何かが足りない」とうたっているアップルらしく、発表会場は趣のあるシアターで非常に美しい場所だった。
新しい製品発表のスタイルも確立されたと思う。
これまでは製品担当の上級副社長が代わる代わる登壇して製品をプレゼンするスタイルだったが、あまりにも登場人物が多すぎたために、誰が誰だか分からなくなることがあった。
一方、今回は「目玉の製品を発表するならこの人」というワールドワイドマーケティング担当上級副社長のフィル・シラー氏と、CEOのティム・クック氏の2人だけ。
クックが概要を話すと、シラーが製品の具体的説明をする、というスタイルは非常に講演がスッキリとシンプルになり分かりやすかった。
米国でのiPad miniのキャッチコピーは、「every inch an iPad」――製品の中のどの部分をとってもiPadらしさが増すといった意味だが、そういう視点でいえば、新しいiMacも、新しいMacBook Proも、iPad miniも第4世代iPadも「every inch an Apple」と言っていいかもしれない。
アップルの強さを示した実績の数々。
アップルの新製品発表は同社の業績を振り返ることから始まる。
製品の詳細を見ていく前に、クック体制でさらに加速しつつあるアップルの勢いを示した数字を簡単に紹介しよう。
まず、先日登場したiPhone 5は、販売開始の最初の週末だけで500万台が売れ、携帯電話の歴史上、最も速くその台数に達成した記録的な製品となった。
その後、同時に発表された「iPod」にも触れ、これらの機器に搭載された最新の「iOS 6」搭載デバイスが2億台に達したことが発表された。
このiOS 6では、Mac用OSの「Mountain Lion」と「iCloud」を通して、常に同じ書類が使えることが最大の強みだが、現在、すでにiCloud上には1億2500万の書類が置かれているという。
さらにすごいのは、iPhoneやiPad、Macからメッセージを送受信できるiMessage機能を使ったメッセージの数で、ここまでの累計はなんと3000億回。
毎秒2万8000ものメッセージが世界を飛び交っている計算になる。
ゲームのハイスコアなどを共有できるGame Centerの登録利用者だけでも1億6000万人と日本の人口よりも多く、フォトストリーム機能を使って共有されている写真だけで7000万枚もある。
一方、iOS用のアプリ数はついに70万本の大台にのり、iPadに最適化されたものだけでも27万5000本に達した。
そして、それらのアプリがこれまでに350億本ダウンロードされ、65億ドルのお金が開発者に支払われたという。
電子書籍サービスのiBooksでは、150万冊の本が売られ、4億冊がダウンロードされた。
Macの好調ぶりについては、PC業界の成長率が年2%なのに対してMacの成長率が15%で、Macは過去6年にわたって成長率でWindows機を上回っていると紹介。
米国のそうそうたるメジャー雑誌で、デスクトップPCとしてもノートPCとしても顧客満足度1位を獲得していることをアピールした。
ノートにはノートならでは、デスクトップにはデスクトップならではの強みを。
まず発表されたのは、「13インチMacBook Pro Retinaディスプレイモデル」だった。
15インチMacBook Pro Retinaは、これまでで最高のディスプレイを備えたMacBook Proとしてさまざまなメディアで高く評価されていたが、アップルのノート型Macで1番の売れ筋は安価な13型モデルだ。
今日、その13型モデルにも高精細なRetinaディスプレイモデルが加わった。
新時代の到来を感じさせる超高解像度ディスプレイを搭載しながらも、光学式ドライブなどを取り除いたことで本体は20%ほど薄くなり、約1ポンド(約450グラム)軽量化。
MacBook Proシリーズ史上、最も軽いモデルに生まれ変わった。
最新OSのMountain Lionが、ハードウェアの性能をフルに活用してくれるおかげで、例えば、ユーザーもMacBook Proも休んでいる間に、ファンの音を一切ならさず、その日作成した書類をすべて自動バックアップしてくれる「PowerNap」機能も利用できる。
こうした性能だけでは語り尽くせない使い心地への配慮は、まさに新時代のノートPCといえる。
そして価格。
これまでの13型モデルは優れたコストパフォーマンスが魅力の1つとなっていたが、Retinaディスプレイを採用したこの新時代のノートも14万4800円から提供されることが明らかにされると、発表会場には大喝采が鳴り響いた(しかも本日から出荷開始だ)。
続いて、シラー氏は「miniを発表する、みなさんが期待している“あっちのmini”ではない」と言って、「Mac mini」の新モデルを紹介した。
こちらはUSB 3.0を搭載し、Apple Online Storeからの購入時、BTOで「Fusion Drive」も選択できる。
実は、このFusion Driveも今回の目玉の1つだ。
最近のアップル製品は、HDDに比べて圧倒的に高速なSSD搭載モデルが増えてきた。
しかし、SSDのフラッシュメモリはまだ高価で、どうしても容量が小さくなってしまうため、ディスク容量でHDDを選択する人も多い。
Fusion Driveは、SSDのスピードとHDDの大容量の“いいとこ取り”をした、いわゆるハイブリッドドライブだ。
どのアプリケーションがどのくらいの頻度で使われているかをOS側で監視し、よく使うものを自動的にSSDへ、あまり使わないアプリケーションを自動的に1TバイトのHDDへ移す仕組み。
ハードとソフトの融合を目指すアップルならではといえる。
初代iMacの登場は今から14年前の1998年。
それ以来、iMacは常にアップルの看板製品であり続けたが、進化を積み重ねて登場した今回の新型iMacは、正面から見た感じはこれまでのiMacそっくりなのだが、少し斜めから見ると非常に薄いことに驚かされる。
最薄部の厚さはわずか5ミリ。
巨大な液晶ディスプレイと、あまりにも薄い縁取りが、これまでになかった美しさと存在感を醸しだし、強烈なインパクトを持つ製品に仕上がっていた。
Retina版MacBook Proなどにみられるディスプレイの薄型化技術に加えて、すでに多くの人がほとんど使わなくなった光学式ドライブを取り除いたことにより、この超薄型ボディを実現している。これまでの着実な進化をうまく積み重ねて、さらに上のレベルに到達する、という実にアップルらしい進化だ。
こちらのiMacでもFusion Driveが用意され、容量は1Tバイトと3Tバイトが選べるようになっている。
そして、これだけ大きな画面を備えているにも関わらず、消費電力は最大で50%ほど低減したという。
なお、各製品の出荷時期は13インチMacBook Pro RetinaディスプレイモデルとMac miniが本日からなのに対して、新しいiMacは21.5インチモデルが11月、そして大画面の27インチモデルが12月からとなっている。
第4世代iPadはLTEに対応、ソフトバンクとKDDIを選択可能に。
新しいMacの発表だけでもかなり満足できるものだが、今回の主役はやはり何といっても「iPad mini」だ。
だが、クック氏とシラー氏は、これを披露する前にもいくつか重要な発表を行った。
iPadは歴史上最も勢いよく売れている家電製品だ。
2010年の夏に発売されてから2年強で、すでに累計1億台を出荷している。
HPやレノボといったメーカーが販売するPC全モデルの合計台数よりも多い台数が毎四半期ごとに売れているという。
また、最近では他社からタブレット製品が出てきてiPadのシェアが下がってきたという報道もあるが、実際に使い勝手がよく、本当にユーザーが使っている率では圧倒的に他社を上回っているとクックCEOは説明する。
調査会社がタブレットからのWebアクセスの頻度を調べたところ、91%がiPadであり、他社のタブレットはすべてをあわせても9%にしかならない、つまりほかのタブレットは、買ってはみたもののなんらかの理由で使われていない、ということを指摘した。
アップルは、「ただ作るだけでは意味がなく、本当に人々が使いたくなるような製品に仕上げてこそ初めて製品として意味を持つ」と強く信じている会社だ。
後述するが、この後のiPad miniの発表でも、既存の7型タブレットとの比較でその点が強調された。
そして今回、2012年春に登場した「新しいiPad」からわずか半年強で、第4世代のさらに新しいiPadへ生まれ変わった。
第4世代モデルは、「A6X」という最新チップを搭載して、CPUとGPUともに性能を最大2倍ほど高速化したうえ、テレビ電話機能に便利なフロント側のFaceTime HDカメラが720pのハイビジョン撮影に対応した。
そしてLTE対応を強化し、新たにソフトバンクやSprint、そしてこれまでiPadを扱っていなかったKDDIからもLTE対応製品として出荷される。
日本のユーザーにとっては、かなり大きなニュースだろう。
小さいだけではない、薄いのに非常に“深い”「iPad mini」。
シラー氏が一通りiPadの紹介を終えると、スライドのiPadが回転し、その裏には「iPad mini」がスッポリと隠れていた。
片手で持てるサイズ――これがiPad miniの最大の魅力だ。iPadが“開いた状態の新書”だとしたら、iPad miniは“閉じた状態の新書”。
これなら満員電車でつり革を持ちながらでも、もう片方の手で読める。
だが、実機を手にとってさらに驚かされたのがその軽さだ。
おそらく、細かく重さのバランスを調整したり、重心点をどこに置くかを考えて、その上で中のパーツを配置しているからだろう。
ホームボタンが下に来る形でiPad miniを持ったとき、手に伝わる軽さがすごい。
さらにカメラレンズの表面処理から、本体のエッジの処理、iPhone 5をイメージさせるマットなブラックの背面、そしてきれいに掘削されたボタンなど、どのディテールをとっても、まさに「every inch an iPad」という言葉が頭に浮かぶ。
ここでシラー氏も悪ノリをし、アップルらしい「どうだすごいだろう」と言う比較をして場内の笑いを誘う。
いわく「鉛筆くらいの薄さ」「ペーパーパッドよりも軽い」といった具合で、その度に場内も爆笑があふれた。
アップルが何よりも重視するのは、Webページの閲覧やアプリの活用といった実用面だ。
そして、そうした実用性と「片手で持てるサイズ」という製品のそもそもの狙いのバランスを徹底的に吟味した結果、7.9型というサイズにたどり着いたとシラーは語る(ちなみに、iPadの9.7型に対して、iPad miniは7.9型とサイズも覚えやすい)。
7.9型とはいえ、実は画面の解像度はこれまでのiPad 2と同じなので、iPad用に作られたアプリケーションであれば、わざわざ作り直さなくても画面の解像度をきちんと生かした表示になるという(ただし、アプリによってはボタンの大きさなど、インタフェースを一部変える必要が出てくるかもしれない)。
シラー氏は、アップルのすべてのiPadアプリが、すでにiPad miniでも最良の状態で使えることを強調した。
そもそも、Androidタブレットで人気の7型サイズとiPad miniの7.9型サイズを比べた場合、たった0.9インチしか差がないように思えるが、これは対角線でサイズを測る画面サイズの計測法のマジックで、実際の画面は35%も広くなっている。
そして、タブレット端末の用途で最も多いWebページの閲覧でいえば、iPadはうまくフルスクリーン操作を確立したために画面を目いっぱい有効に活用できるが、Androidでは余計な操作ボタンなどが表示されるため、画面に表示されるWebの中身で比較するとiPad miniのほうが縦表示で49%、横表示で67%も広く表示できるという。これだけで、Webページの閲覧の体験もかなり大きく変わってくる。
新生アップルの強さを見せた2012年。
iPad miniに関する報道で、7型は故スティーブ・ジョブズ氏が反対していたサイズだと強調しているものもある。
しかし、スティーブ・ジョブズ氏は常に間違いも起こし続けてきた。
ジョブズ氏の“反対”は、多くの場合、本当の意味での反対ではなく「おまえはきちんとほかのオプションも吟味したうえでその結論に達したのか?」という禅問答の一環でしかない。
ジョブズ氏が常に求めていたのは、考え抜かれた最良の製品であって、自分の直感通りの製品ではない。
そういう意味では、2012年のアップルは、ジョブズ氏の時代を乗り越えて、これまでにない過去最強のラインアップを、MacでもiOS機器でも用意することができたと思う。
そして、これらの新製品がApple Storeに並ぶころには、「ジョブズがいなくなって、アップルはダメになった」といったお決まりの嘆きごとも、少しずつ収まっていくことだろう。
以上です。
アップルのクック新体制の土台が2012年にやっと確立したと言えるでしょう!!!
2013年は、さらにクック新体制で革新的なデバイスを顧客のために提供する飛躍の年になることは間違いないでしょう!
またね。


