イモ掘りでたくさん掘って食べ残って
忘れかけられた、ジャガイモ
スーパーで買ってきたのだけど、
ちょっと意外なところに転がってしまい
しばらく経った、ジャガイモ
そんなジャガイモは、芽が出ていたり、
時間が経つと皮が緑色になっていたりします
光が当たると緑色になりやすいですね
で、その芽や緑色の皮には毒があります
その毒とは、ソラニンやチャコニンで、
ステロイドグリコアルカロイド
(SGA, Steroid Glycoalkaloid)
の仲間です
ソラニン(Wikipedia)
https://ja.wikipedia.org/wiki/ソラニン
何も気にせず食べちゃうと、食中毒に
吐き気、嘔吐、下痢、腹痛、頭痛、めまい
などなど
症状が数日後に出ることも
大人でも、200mg以上摂取すると
死ぬ可能性があるようです
この有毒なSGA、
コレステロールを元に合成され、
ジャガイモでは芽や緑色の皮に蓄積します
コレステロール?
あの、血液検査で数値が出る、アレ?
そうです
そのコレステロールです
意外に思われる通り、
コレステロールは動物に多く、
植物にはほとんどありません
ところが、ナス科の植物には、
割と多く含まれるのですね
そして、
合成反応により、コレステロールから
有毒なSGAが作られます
ナス科ってことは、
ナスとかピーマンも危ないの?
良い点に気付かれましたね
ナス科の植物に含まれるとは言え、
多くの食用作物は品種改良で食べる部分に
有害なSGAなどの物質が含まれないように
なっていますので、ご安心ください
最近、
理化学研究所・大阪大学・神戸大学の
研究グループは、
そのSGAができなくすることに成功した
という論文を発表しました
SGAの合成で想定される化学反応過程から
その反応に関わる遺伝子である、
「PGA1」と「PGA2」を発見
そして、
その PGA1 と PGA2 の発現を抑制した
遺伝子組換え植物体を作成し、
ジャガイモを収穫してみました
すると、
そのジャガイモには SGA がかなり少なく、
光を当ててもSGAは増えなかったそうです
また、保存しておいて芽そのものが出ず、
土に植えると芽が出たとか
さらに、
その遺伝子組換えをしても、
収穫量は減らなかっととのこと
ところで、
サツマイモの芽は大丈夫なのでしょうか
ジャガイモは、ナス目「ナス科」です
一方のサツマイモは、
同じナス目でも「ヒルガオ科」なのですね
ですから、
サツマイモの芽は大丈夫なのです
近い将来、時間が経ったジャガイモも
毒を気にせずに食べられるように
なるかもしれませんね
【原論文】open access
Umemoto N, et al. (2016)
“Two Cytochrome P450 Monooxygenases Catalyze Early Hydroxylation Steps in the Potato Steroid Glycoalkaloid Biosynthetic Pathway”
Plant Biology June 15, 2016 pp.00137.2016
doi: 10.1104/pp.16.00137
PUBMED
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27307258
(おしまい)
文:生塩研一
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