前回は

側頭葉が記憶に関わっているかどうか

を調べた、宮下博士の論文の入口まで

ご紹介しました




拙ブログ『記憶と側頭葉(1)』





今回は、中身を見ていきましょう



Miyashita Y & Chang HS (1988)
"Neuronal correlate of pictorial short-term memory in the primate temporal cortex"
Nature 331: 68-70.





実験にはサルを使っていて

遅延見本合わせ課題をさせます


Delayed Match-to-sample task




サルがレバーを引くと課題が開始



まず、

見本の図形が 0.2 秒表示されます



それが消えて 16秒後に

判断すべき図形が表示されます



16秒後とは、結構長いですよね



そして、

それが見本と違っていれば

レバーを離してビデオ画面をタッチ



もし、見本と同じなら

その判断すべき図形が消えるまで

レバーを引いたままにします



レスポンスが正しければ

サルはその都度ジュースをもらえます



これを

遅延見本合わせ課題といいます



ちなみに、

このサルの判断させ方を

Go / No go 反応と言います




この課題を毎日毎日こなして

正答率が85%以上になったところで

ニューロン活動の記録を始めます



頭蓋骨を外して

細い針電極を刺し込んでいって

目的である側頭葉のニューロンの

活動を調べます



fMRI や PET では

頭蓋骨を外したりはしませんが

その分、大雑把なデータしか

得られません



きっちりとしたデータは

上述のように、頭蓋骨を外して

針電極を刺し込むことで記録します



このような記録法を

ユニットレコーディング

とか

細胞外記録法

と言います



ご参考:拙ブログ『脳の活動はどうやって調べるの?(1)細胞外記録法』




これまで、

側頭葉の背側部(上の方)などは

特定の複雑な図形だけに

反応するニューロンはあったものの

その図形が消えると

ニューロンの反応もなくなっていました



つまり、

特定の図形を記憶しているわけでは

なかったのです



宮下博士らは

側頭葉の腹側部、

つまり、側頭葉の一番下側で

脳の底に回り込んだ部分の

ニューロン活動を調べてみました



すると、

特定の複雑な図形に反応し

しかも、その図形が消えても

反応が持続していたのです



特定のニューロンが

図形の情報を短期記憶している

ということが

初めてきっちりと分かったのでした



次回は、

この論文と同じ1988年に

また Nature に載った実験を

ご紹介しますね





(つづく)





文:生塩研一





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