前回は、

脳の機能はいろいろとスゴいけれども、

その中でも格段にスゴい機能の

「可塑性」について書きました



脳が勝手に回路をつなぎ変える

ということでしたね



脊髄損傷や脳梗塞で失った機能を

回復するリハビリでは

この可塑性のサポートをするのですが、

現実問題として難しい点が多々あると



で、最近、

日常生活を送るだけでリハビリが進む

という、夢のような話につながる

かもしれない研究成果が発表された

というところまででしたね



拙ブログ『脳が勝手に回路を変える ~脳のスゴい機能「可塑性」』





では、その先を、、



これは、日本の生理学研究所と

ワシントン大の研究者らによる

研究成果です



生理学研究所のプレスリリース
「脳と脊髄の神経のつながりを人工的に 強化することに成功」




Nishimura Y, et al. (2013)
“Spike-timing dependent plasticity in primate corticospinal connections induced during free behavior”
Neuron





実験では、ブタオザルを使っています



まず、

脳の運動野にあって手に司令を送る

ニューロンの信号を

脳に刺した針電極で検知します



このニューロンは、

すーっと軸索を伸ばして

背骨の中の脊髄にある、

手の筋肉に情報を送って

手を動かす運動ニューロンに

情報を送ります



その情報をバトンタッチするところを

シナプスというのでしたね



脳に刺した針電極で

運動野のニューロンの信号検知したら

先ほどの、脊髄にあるシナプスを

適切な時間の後に電気刺激します



適切な時間を空けるといっても

0.02秒といった、非常に短い時間です



実験で使ったサルは

脊髄損傷などの損傷はなく、

脊髄も正常に機能していて

今回電気刺激した脊髄のシナプスも

スムーズに情報伝達しているのですが、

電気刺激を加えることで

シナプスの情報伝達が

さらにスムーズになったとのことです



電気刺激をする、ということですが

ニューロンの情報伝達自体

NaイオンやCaイオンといった

陽イオンの流入という

電気的なものですし、


シナプスでも、

送り手のニューロンが神経伝達物質を

放出するのに電気的な変化が起こり、

また、

受け手のニューロンも神経伝達物質を

受け取ると電気的な変化が起こって、

次のニューロンや筋肉に

情報を送る準備をします



ですから、

ニューロンやシナプスを電気刺激する

というのは、ニューロンの情報伝達を

強制的に起こさせることになります




手にもたくさんの種類の筋肉が

あるわけですが、

今回の実験では

脳の運動野のニューロンからの

信号を検知して、それをきっかけとして

特定の筋肉を動かすニューロンをつなぐ

シナプスを、電気刺激することで

さらに増強させたことになります



シナプスが増強されたかどうかは

どうやって調べるのでしょう?




この続きは、次回に。




(つづく)





文:生塩研一





お読みいただきまして、ありがとうございました。
コメントもお待ちしています。お気軽にどうぞ~!


応援してくださる方は、下のバナーをクリックビックリマーク
ランキングサイトが開いたらOK! 


自然科学 ブログランキングへ

にほんブログ村 科学ブログ 自然科学へ
にほんブログ村


Facebook の「いいね!」も嬉しいです!


Twitterもやってます




読者登録してね