前回、前々回と
世界最強の毒素である
ボツリヌス菌を紹介しました
『世界最強のボツリヌス毒素(1) ~ 神経毒からニューロンの機能をみる(13)』
『世界最強のボツリヌス毒素(2) ~ 神経毒からニューロンの機能をみる(14)』
今回は、それにつぐ毒素で
同じく細菌が出す毒素を、、
それは、
破傷風菌毒素(テタノスパスミン)
致死量でみると
ボツリヌス菌毒素の方
6, 7倍強いようです
破傷風菌は
動物の糞 や 土の中に存在していて
汚れた傷口から体内に侵入します
違法薬剤投与、刺青、ピアスなど
滅菌していない針を使うことで
侵入するケースもあります
途上国では
出産時、へその緒の不衛生な切断
により新生児破傷風が多くみられます
人獣共通感染症の一つですが
鳥にはあまり効かないとか
破傷風菌が体内に侵入して
破傷風菌毒素を出すわけですが
どのように作用するのでしょうか?
まず、毒素は神経と筋肉の接合部で
神経の中に入り込みます
ここまでは
ボツリヌス毒素と同じですね
ボツリヌス毒素が最初に取り込まれた
ニューロンだけで作用するのに対して、
破傷風菌毒素は
軸索を逆行性に輸送されて
脊髄や海馬に到達して作用します
今までの毒素と動きが違います
脊髄などで
抑制性シナプスを遮断するため
激しい強直性痙攣などが起きます
マチンという木の種から抽出される
ストリキニーネという毒素
の作用に似ています
破傷風菌毒素は
筋肉を硬直させますので、
筋肉を弛緩させる
ボツリヌス菌毒素と反対の作用です
この作用機序や毒素、抗毒素は
1890年頃、北里柴三郎により
世界で初めて発見されました

(北里柴三郎)
破傷風菌の形は特徴的で
太鼓をたたくバチのように
先が丸まっています
この形は北里大学の校章にも
使われています
背部の筋肉が硬直することにより
後弓反張という、全身が弓なりに
反る姿勢が発現したりします
症状が筋肉だけに現れるため
意識は保たれ
苦しみながら死に至ります
ワクチンが有効で
日本では三種混合ワクチンなどに
含まれています
傷をしたら
傷口を素早く徹底的に
洗浄することで予防できます
細菌が作る毒素は
毒性が強いものが多いです
(つづく)
文:生塩研一
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