10月というのに

ここ大阪の最高気温、32.5℃


10月の観測史上最高だそうです


ふぅ~




皆さま、お元気でいらっしゃいますか?




さて、




前々回と前回の2回にわたって

神経系の情報伝達について

少し追加事項を加えながら

おさらいをしました


『神経毒からニューロンの機能をみる(1)』


『K と Ca の役割 ~神経毒からニューロンの機能をみる(2)』






皆さんは、フグ、お好きですか?



私はちょっと苦手なのです



美味しいフグを食べたことがない

のかもしれませんが、

フグ毒が脳裏をかすめるのも

苦手意識を助長しているような。。




フグ毒の成分は、


テトロドトキシン



$プラスサイエンス ~ 科学が気になるアナタのために-テトロドトキシン


C11H17N3O8




フグが危ないということは

5000年前からエジプトなどで

知られています



1909年、

東大の田原良純博士が単離して

テトロドトキシン(Tetrodotoxin)

と命名



その由来は、、



テトロは「4」を意味します



テトラとも言いますが、

海岸のテトラポットとか

三角錐の牛乳パックのテトラポット

などで使われていますね





フグは、上下に大きい板歯を

合わせて4枚もっているので

学名が「4枚の歯」という意味の

テトラドンティタエ(Tetradontidae)

になっていています



そこから取って「テトロ」



「4」はフグの代名詞なのですね



トキシン(toxin)は毒素ですから

4枚歯のフグがもっている毒

ということで

テトロドトキシンです



ちなみに、

田原博士は日本で最初の薬学博士



このテトロドトキシンですが、

フグ自身は毒を作っていません



細菌が作って、その細菌を

捕食したヒトデや貝類に蓄積され



そのヒトデなどをフグが捕食して

フグの体内に取り込まれます



ですから、

その海藻を食べさせないようにする

養殖フグには毒性はありません、


とされることもありますが、

天然フグを同じ生け簀に入れたりして

毒性をもつこともありますので

要注意です




テトロドトキシンは

フグだけではなく

ヒトデ、カエル、イモリ、カブトガニ

などにもあります





では、神経系には具体的に

どのように作用するのでしょうか?



ニューロンが伝える情報は

「興奮」という形であって

それは、ニューロンの外から

Na イオンがチャネルという穴から

流入するということでした



なんと恐ろしいことに

テトロドトキシンは

この大事な Na イオンチャネルを

外側から塞いでしまうのです



そのため、Na イオンが流入できず

ニューロンが興奮できません



ということで、

ニューロンが情報を伝えられなくなる

つまり、全身に麻痺が起こります



細かいことを言いますと

テトロドトキシンが

チャネルを塞いでも

チャネルの開閉自体は起こります




開閉はしても

外からテトロドトキシンがフタをして

Na イオンが入れないのです




外側から塞ぐので

テトロドトキシンを

ニューロンの中に直接入れても

害はありません



これ、

ちょっと変わってます



というのは、

例えば、局所麻酔薬などは

細胞膜と通過して

チャネルの内側から邪魔をして

Na イオンを流入させるのです




致死量は成人で1~3mg



熱分解されず

解毒剤もありません




ただ、

呼吸筋は早く麻痺してしまいますが、

心臓の Na チャネルは

テトロドトキシンがやや効きにくく

心臓はもう少し頑張れます



ですから、対症療法として

人工呼吸が有効となります





次回は別の神経毒を見てみましょう






(つづく)





文:生塩研一





お読みいただきまして、ありがとうございました。
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