随分と長い間、
意外にスゴい腎臓
の話を書いてきましたが
今日の第8回で、一応、最終回とします
昨日のブログは、電解質である
Na イオンと K イオンについて
その調節機能の話と、
血液の酸性・アルカリ性の調節の話の
準備として、一般的な化学平衡について
書いたのでした
『電解質と酸アルカリの調節 ~ 腎臓って、意外にスゴい(7)』
話を腎臓に戻しましょう
血液の酸・アルカリを決めているのは
二酸化炭素 と 重炭酸イオン(HCO3-)
二酸化炭素が水に溶けると
水素イオンと重炭酸イオン(HCO3-)
になって、水素イオンを出すので
酸性化します

血液の pH は
7.35~7.45 の非常に狭い範囲に
保たれるようになっていますが、
調節するのは
二酸化炭素と重炭酸イオンです
肺の疾患などにより
血液中の二酸化炭素が体外に
放出されにくくなると、
二酸化炭素が増えて
ルシャトリエの原理で
上記の反応式が左に進んで
血液が正常範囲を超えて酸性になります
これを呼吸性アシドーシスと言います
どうやってアルカリ性に戻すのでしょう?
肺がうまく働かないので肺は使えません
その代わりに、腎臓が働きます
まず、
腎臓で水素イオンの排出を進めます
それから、
上記の反応式で左向きの反応を弱めるため
重炭酸イオンの再吸収を進めます
このような過程を、腎性代償と言います
また、それとは逆に
過換気症候群などで
過剰に二酸化炭素が体外に出ると
水素イオンが減ってアルカリ性になります
これを、呼吸性アルカローシスと言います
このときは、
重炭酸イオンの排出を進めて
反応式の左向きの反応を進めることで
水素イオンを増やして酸性に戻します
これも腎性代償の一つです
では、
腎臓がダメなときはどうでしょうか?
腎機能に障害があって水素イオンが
排出できなくなったり、
下痢などで重炭酸イオンが失われて
反応式の左向きの反応が進んだりして、
水素イオンが増えて酸性になるのを
代謝性アシドーシスと言います
このときは、呼吸を促進して
肺から二酸化炭素を放出して
反応式の右向きの反応を進めて
水素イオンを減らしアルカリ性に戻します
これを呼吸性代償と言います
また、胃液は塩酸が多く
水素イオン濃度が高くなっていますが
頻繁な嘔吐で水素イオンが失われると
血液が正常範囲を超えてアルカリ性に
なります
これを、代謝性アルカローシスと言います
このときは、呼吸を抑えて
二酸化炭素を排出しないようにして
反応式の左向きの反応を進めて
水素イオンを増やすことで酸性に戻します
これも呼吸性代償です
何だか難しい感じですが、
要は、血液の酸性アルカリ性は
腎臓と肺が相互にカバーする形で
維持されているということです
さて、
8回にわたって見てきましたように
腎臓は、老廃物の排出だけでなく
電解質や酸性アルカリ性の調節
ホルモンの分泌など
いろいろな役割をこなしている
スゴい臓器なのですね
長らくのお付き合い
ありがとうございました
(おしまい)
文:生塩研一
お読みいただきまして、ありがとうございました。
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